水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (13)発想

2021年02月22日 00時00分00秒 | #小説

 発想が豊かだと疲れることは余りない。意固地(いこじ)に思いつめそうな想いを捨て、他の発想へと移動できるからだ。♪京ぉの五条の橋の上ぇ~~♪ の歌で知られた牛若丸さんの八艘跳(はっそうと)びのような感じ・・と思っていただければいいだろう。^^ 弁慶さんは四苦八苦(しくはっく)した挙句(あげく)、降参して家来になった・・という逸話(いつわ)が残っている。嘘(うそ)か誠(まこと)かは別として、発想の貧(まず)しい者が豊かな発想の持ち主に話を合わせれぱ、かなり疲れることは、はっきりしている。^^
 とある観光地へ向かう鈍行列車内の風景である。子供連れの夫婦が話をしている。
「… だから、冷えた茶じゃ美味(うま)くないだろ」
「そんなこと言っ立ったって、今、買っとかなきゃ、あとから買えるかどうか分かんないじゃないっ?」
「んっ? ああ、そうか…。いや、待てよっ! 次の次は静岡だろっ!? 静岡っていえばお茶じゃんっ! きっと、売ってるさっ!」
「それもそうね…」
「だろっ!? …それにしても、この流れる風景… いいねっ! ずぅ~~っと見ていて、疲れることがないっ!」
「新幹線じゃ、もう着いてるもんねっ!」
「ああ…。早く着き過ぎて、逆に疲れるぜっ!?」
「まあ、お安くついたしねっ!」
「お泊りのクーポン券は当たりくじだしなっ!」
 三人はその後、ゆったり気分の旅を満喫(まんきつ)した。
 このように、何かにつけてゆとりのある気分だと、疲れることから解放されるようである。^^

                  完


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