人には好(この)みというものがある。その人その人の思いようで好みは違うが、これだけはどうしようもない。^^ Aという人がCという人に好感を持っていたとしても、Bという人はCという人を好きじゃない・・というようなことはよくある。分かりよい例が選挙で、立候補者をどれだけの人が選ぶか? は、好みによるところが大きい。お好み焼きは人が好きという理由で名がついた? かは不明である。^^
とある服の専門店である。一人の客が服を買おうと、あれこれと陳列品を物色している。
「お客さま、いらっしゃいませっ!」
店の店員がそれとなく近づき、声をかけた。
「あっ! これなんかお似合いでございますよっ!」
客の選んでいる服と同等品を店員は自分で選んで客に示した。
「いや、その色合いは僕の好みじゃないんで…」
「あっ! でしたら、これなんか?」
「… それも好みじゃないんで…」
客は、自分で選ぶから放っといてくれるっ! というような迷惑顔で店員に言い返した。
「じゃ~これなんかは?」
客は店員のしつこさに少し切れ始めた。
「いいですよっ! 僕の好みで決めますからっ!」
「はあ、さよですかっ!? それじゃ…」
店員が去ったあと、しばらくして客は買う気を削(そ)がれたのか、店から出ていった。閉店後、店員は客に勧(すす)めた好みの品を買って帰った。
好みは人によって思いようが異なるから、強制するものではない・・ということになる。^^
完