水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

思いようユーモア短編集 (96)がむしゃら

2021年02月05日 00時00分00秒 | #小説

 今朝の新聞の運勢に、がむしゃらさを忘れるな・・とかなんとか掲載されていたのが気になったからタイトルにした次第である。^^ この[がむしゃら]というのは、ひたすらに何が起ころうとも構わずに集中するという気分を表現した言葉だ。[がむしゃらにやる]と言えば副詞的な表現になるし、[がむしゃらさ]と言えば名詞となる訳で、この気分は本人の思いようの深さによるところが大きいようだ。^^
 日曜の朝である。大山家のご主人は、かねてから思っていたDIY[DO IT YOURSELF]の椅子作りを始めた。始めて完成したのはいいが、どうも四本の脚がガタつくのである。
「妙だなぁ~…これが長いのか?」
 ご主人は一本の脚をノコギリで数ミリ短く切った。
「どれどれ…これでいいだろう」
 ところが、ちっともよくはなく、今度は反対側にガタついた。
「妙だなぁ~…これが長いのか?」
 ご主人は反対側の脚をノコギリで数ミリ短く切った。ところが、またまたガタつくのである。なぜだっ! とご主人はがむしゃらに原因を探ろうとした。しかし、原因は判明せず、しかもいつの間にか四本の脚が消えた椅子はただの板に変身していたのである。
 がむしゃらも思いようによっては失敗するから注意を要する。^^

 
                  完


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