物事には始まりがあれば、必ず終わりがある。始まれば、必ず終わる・・ということである。私達が生きるこの銀河系星雲の三次元世界では、科学的にそう説明されている。ものは思いようで、他の星雲や他次元の科学的な説明については、そこに存在していないのだから、まったく分からない。^^
話がグローバル[広範囲]になったので、話を身近(みじか)な私達の世界へ戻(もど)すことにしよう。始まりと終わりは物事や物質の全(すべ)てに言えることである。書けば減るボールペンの替え芯、誕生した人の命など、すべて同じである。この短編集にしたって、(100)だから、科学的に終わる予定だ[論拠(ろんきょ)は、全ての短編集を100話までにしていること]。^^
とある町工場の作業現場である。ヘルメット姿の責任者らしき男と作業員の二人が話をしている。
「本当に納期までに出来るのかい? 河馬田君っ!」
「大船さん、そりゃないですよっ! 私って信用されてないんだなぁ~」
「いや、そういう訳じゃないんだがっ!」
「でしょ!? 今までに出来なかったことってありますっ?」
「いいや、それはないんだけどね…。余りに量が多いもんだから…」
河馬田は思わず口籠(くちごも)り、言葉を飲み込んだ。
「そうなんですよっ! 始まりゃ、必ず終わりますって! 終わってみせますっ!!」
「そう力まなくても…」
「やらせてくださいっ!」
「… まあ、君がそこまで言うんなら、続けなさいよっ!」
「有難うございます。必ず終わりますからっ!」
「そりゃ終わるだろうさっ! 問題は納期までに、だよっ!?」
「はいっ! 納期までにっ!!」
「頼んだよっ!!」
そう言い残し、河馬田は不安げにその場から去った。
人の執念(しゅうねん)とは怖(こわ)いものである。納品量は納期の日の前日、全て完成を見た。
汚(きたな)い話ながら、食べて入ったものは、必ず出る訳である。ものは思いようで、全てはその過程[プロセス]に意味があるように思える。
…ということで、終わります。^^
完