水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

甘辛(あまから)ユーモア短編集 (55)嗜(たしな)み

2021年07月15日 00時00分00秒 | #小説

 嗜(たしな)みとは社会常識を備えた佇(たたず)まいである。個人的だと、ほう! あの人は嗜みがいいなっ! とか蔭(かげ)で言うことになる。嗜みを辛(から)く考えるか、甘(あま)く考えるかはその人次第だが、辛く考える人は気苦労が多く、心が繊細な人が多いようだ。逆に甘い人は、のんびり屋で大らかな性格の人が多い・・と統計的には考えられる。私は? ははは…まあフツゥ~~だと思っている。^^
 とある普通家庭の日常である。主婦が買い物に出ようと支度(したく)をしている。
「どの服がいいかしらっ!?」
「なんだっていいだろっ! 早く買ってきてくれよっ! ビールと摘(つ)まみっ!」
「もうっ! 主婦は嗜みが大事なんだからっ!」
「君の嗜みはいいからさっ! 俺への嗜みをしっかり頼むっ!」
「もうっ!」
 主婦は主人に愚痴られ、追われるように家をあとにした。
 嗜みを忘れさせるには愚痴ることに尽きるようだ。^^


                   完


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする