水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

甘辛(あまから)ユーモア短編集 (59)予想

2021年07月19日 00時00分00秒 | #小説

 予想が甘(あま)いと残念な結果となる。かといって、予想が辛(から)いといい結果になるか? と問えば、必ずしもそうならない・・というのが事実である。それなら予想などせず、なるがままに…という生き方もあるが、それも現実は許さないのだ。そんなことをすれば、社会から爪弾(つまはじ)きにされ、ホームレスのような惨(みじ)めな生き方をしなくてはならない。では、どうすれば? ということになるが、ピンポイント予想というのが正解だろう。ピンポイントというのは、飽くまでも重要なポイントだけということだが、まあ、甘く見るか辛く見るかの線引きはあなたにお任せする以外にはない。^^
 とある競馬場である。
「あの馬は見るからに勝てそうじゃないよ」
「あの馬というと、ノ-ウインですか?」
「そうそう。なにせノ-ウインだからね」
「ノ-ウインだと勝てない? 僕には、その予想、よく分からないです」
「ウインがノーなんだから」
「ウインがノーだとダメなんですか?」
「ああ、ダメダメ! イエスじゃないとっ!」
「そうなんですか? 僕、買っちゃいましたっ!」
「なんだ、そうだったの? もう少し、早く言やよかったな」
「はあ、ありがとうございます…」
 レース後である。
「万馬券ですねっ!」
「ああ。まあ、そういうこともあるさっ…」
 ノーウインは大方(おおかた)の予想を覆(くつがえ)し勝ったのだった。
 予想は、飽くまでも予想で、必ずそうなるというものではない・・という、ただそれだけのお話である。^^

 
                  完


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