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水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

甘辛(あまから)ユーモア短編集 (46)物事(ものごと)

2021年07月06日 00時00分00秒 | #小説

 物事(ものごと)を甘(あま)く捉(とら)えるか辛(から)く捉えるか? は、人それぞれで異なるが、『暑くなってきたなぁ~』と、つまらなく思いながら、その辺(あた)りを書いてみたいと思う。^^ そんな、いい加減なことでは困るっ! と辛く思われる方は無視して戴(いただ)いて結構です。^^
 とある町役場である。無味(むみ)課長が書類を見ながら加糖(かとう)課長補佐を叱咤(しった)している。
「君ねぇ~! この前、言ったろっ! ったくっ! 予算要求書は辛く考えておけとっ!」
「やはり、ヒアリング対策ですか?」
「言うまでもなかろうがっ! 豚尾(ぶたお)助役はシビアなんだからっ!」
「でも、蚕(かいこ)収入役はソフトですよ」
「蚕さんは蚕さんだよっ! あの人は絹(きぬ)のように滑(なめ)らかな人だからな…」
「そうですねっ!」
「馬鹿野郎っ! そんなこと言ってんじゃないよっ! 豚尾対策をしとけっ! と言ってんだよ、私ゃ! 豚、豚っ!」
「はい、分かりましたっ! 考え直しときますっ!」 
「頼むよっ! 去年なんか不用額を流用充当しなかったから削(けず)られたじゃないかっ!」
「はいっ! 今年は予算執行率を100%に近づけときますっ!」
「加糖君、頼むよっ!」
「はいっ!!」
「君は返事だけはいいんだがな。ったくっ! もう、いい…」
 加糖課長補佐が次席へ戻(もど)ったあと、無味課長は半分、諦(あきら)めたかのように欠伸(あくび)をした。
 物事を上手(うま)く運ぶか運べないかは運ぶ本人の能力にもよるから、甘くなるか辛くなるかは、その人次第という結論になる。^^


                   完


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