人の世では全(すべ)てにおいて多かれ少なかれ妥協(だきょう)が求められる。それは個人であろうと国家であろうと、全(まった)く同じである。誰だって思い通りにコトを進めたいに違いない。しかし、相手があればその相手の言い分も聞かねばならない。少し自分が凹(へこ)んだとしても、それはそれで仕方がない…と譲(ゆず)る必要に迫られる訳だ。それが妥協である。対象となるコトに対し、甘(あま)く出るか、あるいは辛(から)く出るかの態度の差により、結果も大きく変化する。個人の間なら多くの機会があるからまだいいが、国家間ともなれば、交渉を辛く出たことにより、一度(ひとたび)関係を拗(こじ)らせれば、これはもう修復が容易でなくなり、大問題となる。かといって甘く出過ぎれば、自国の不利益となり、これもそう簡単には変えられないから大問題である。妥協の程度を探るのは非常に難しい訳だ。学生諸君が小遣いの額を、まあ、いいか…と親に対して妥協するのとは大違いの話だ。^^
A国とB国が交渉の席についている。双方ともに十数人づつが対峙(たいじ)し、中央には両国の国旗がクロスする形で立ち、友好関係を象(かたど)っている。
「#$◎%&’%&’’”%%&」
『お土産をつけましょう、と申されております』
「お土産ねぇ…。それは甘(あま)いですか、辛(から)いですか?」
『#$◎%&’…。$◎$&%$●#$%&’# ?』
「%◇&$$’#”$ #$#%#$&&’」
『それは、あなた方の好みですから、私どもには分かりません、と申されております』
「分かりませんか…。美味(おい)しいことを祈っております」
『#$#%#$&$%’(%〇…。◇%&%’(%#$#$%&』
「””#$%$$%く●◎ ”$%%#’’」
『私どもも、美味しく召し上がられることを祈っております、と申されております』
「いや、どうも…」
『”#$”…』
「”#$”」
両国の代表は起立し、笑顔で握手した。双方の出席者から割れんばかりの拍手が起こった。
妥協とは甘くも辛くもない微妙な味なのである。^^
完