高校生の息子が、将来の仕事のことで悩んでいる。
進路指導で希望の職業を尋ねられているが、なりたい仕事がないんだとか。
うん、うん、そうだろう、君は正直だ、と私は心のなかでひっそり思う。
パイロットだとか、電車の運転手だとか、ピューンと一直線に気持ちが飛んでいけた小さいころとはちがって、すこし、ほんのすこ~しだが、社会が見えてきた今の彼は、例えばパイロットになった自分を想像して、想像上の、勤務の大変さや税金やローンなどに押しつぶされているようだ。
「生きていくだけのお金でいいから、気楽な仕事はないかなあ~」 だって。
「火もまた涼しっていうでしょ、何事も、考え方次第で、ツラくも楽しくもなるもの」
「大変、大変って言っている人も、その反面、うれしいことや楽しいことがいっぱいあってるはず」
と母親面して言ってはいるが、気持ちが届いていないだろうなって わかっている。
私が高校生の時には、何になりたいなんて決めてなかったもんね。
周りの友達でも、学校の先生になりたいから教育学部にいくとか、医者になりたいから医学部だ、とかはあっても、ほとんどの人は、のんびりかまえていたもんね。 そして、それで何とかなったし、もう一度、過去に戻って、将来設計やり直したいなんて思っていない。 口では言うかもしれないけれども、少なくとも私は、過去に戻ってやり直す気はない、やり直すなら、今からだと思っている。
息子へ。
仕事のこと、必死で調べてみてもピンとくるものがなかったならば、成り行きにまかせるって方法もあるよ。 真面目な君にとっては、それは勇気がいるかもしれない。でも、かえってその方がうまくいくこともあります、コレ、お母さんの経験からのアドバイスです。