川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

コンプラを変え,会社を変え,日本を変える!

宗教法人の解散 -民法が「法令」に含まれるか

2024年11月28日 | 法律・海外法務
民法が「法令」に含まれるか

宗教法人の解散原因の「法令に違反」(宗教法人法81条)につき、簡単に意見します。

私も家庭連合と同様、民法の不法行為事例が「法令に違反」といえないと思っています。理由は以下のとおりです。

1 国際法・国際常識

パトリシア・デュバル仏弁護士が国連に意見書を出しているとおり、抽象的な「法令」「公共の福祉」違反を解散原因とすることは、国際人権規約18条3項に違反します。

諸外国の宗教法人の解散でも、不法行為が原因となるところはありません。

2 民法709条に「違反」していない

民法が日本で制定されてから128年経ち、法曹が何万人も居ましたが、不法行為責任を負う者を「709条に違反する」と表現する法曹は一人もいなかったはずです。

実際、何万件の判例を検索しても、不法行為に基づく損害賠償を709条「違反」の賠償と表現する法曹は一人も見当たりません。

我々法曹は709条に「基づく」賠償請求をしてきました。709条「違反」の賠償請求ではありません。家庭連合は709条に基づく賠償義務を果たしてきたのです。

法曹が128年間も守り続けてきた伝統と表現を、今回の解散命令請求の裁判所が変えるのでしょうか。

3 オウム高裁は事例判例ではない

家庭連合田中会長に対する過料裁判の地裁判決が、「刑法等の禁止規範…」と判示した平成7年のオウム事件高裁判決を、事例判例だとして排斥しています。

これにはびっくりしました。日本に法曹は5万人居ますが、このオウム高裁判例を読んで「事例判例」だと思う法曹は一人もいないはずです。

司法試験に受かった私の事務所のパラリーガルも「これは事例判例とは言えません」と言っていました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岸田首相の一夜の解釈変更は... | トップ | 家庭連合は解散すべきなのか »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

法律・海外法務」カテゴリの最新記事