川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

コンプラを変え,会社を変え,日本を変える!

「辞世の句」の日本的意義

2024年12月15日 | 唄・詩・都々逸
「辞世の句」を詠む習慣は海外にはない。日本だけの慣行らしい。
その「辞世」の句、字義通りには「世を辞する」際に詠むものと思われがち。

でも、事故で死んだり、病気が旧に重篤になったりするから、イザというときにいい句が詠めるとは限らない。

だから、古来、人々は辞世の句を、死の数年前(人によってはもっと前)から、準備していた。あらかじめ用意していた。老齢の方が遺影写真をあらかじめ撮影しておくが如くに。

____________

だから、この辞世の句には、「人生のテーマ」が詠み込まれている。死生観が凝縮されている。

オレはこうやって生きて、だから、こうやって死にたい

って心、志、夢、希望、後悔、恨みつらみ、、、 みんな辞世の句に入っている。

これがまた執行草舟好みで、なにか崇高で壮大でとてつもない志に向って、その達成途上で、常に「未完」で死ぬのが人生だと考えている執行草舟は(私もそうですが)、辞世の句こそはその人の人生観を端的に示すものと考えている。

って観点から、いろんな有名人のインパクトある辞世を拾ってみると、、、

◆ つゆとをちつゆときへにしわがみかな 
  なにわの事もゆめの又ゆめ
  豊臣秀吉

◆ 散りぬべき時知りてこそ世の中の
  花も花なれ人も人なれ 
   細川ガラシャ

~~~↑ の2つはいい歌だと思いますが、本当に秀吉・ガラシャが言ったと言う証拠はない。~~~

 願はくば花の下にて春死なむ
  その如月の望月のころ
   西行

◆ 旅に病んで夢は枯野をかけめぐる 
  松尾芭蕉

 これも芭蕉が死のだいぶ前から温めていた。
 でも、この通りには全くならず、旅どころか、弟子に囲まれて(取り囲まれて、身動き取れなくなって)、功成り名を遂げた俗物みたいな形になって死んだ。

◆ あら楽し思ひは晴るる身は捨つる
  浮世の月にかかる雲なし
   大石内蔵助

◆ 大山の 峯の岩根に 埋めにけり 
  わが年月の 大和魂
   真木和泉 1864年8月(松蔭より2ヶ月前)

◆ 身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも
  留め置まし大和魂 
   吉田松陰 1864年10月27日(真木和泉より2ヶ月後。真木和泉のをパクったか?)

◆ おもしろきこともなき世をおもしろく
  高杉晋作
 …これも晋作の直筆とかが残っているわけではないから、後世の創作の可能性もある。

◆ これでよし百万年の仮寝かな
  大西瀧治郎

◆ 大ばくち身ぐるみ脱いですってんてん
  甘粕正彦

◆ 大笑い三十年のバカ騒ぎ
  石川力夫

 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 民主政とは | トップ | 鴻毛の軽さ → 地球より重い »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

唄・詩・都々逸」カテゴリの最新記事