◎◎ ファナック株が2年ぶり高値、今期営業益予想を2.2倍に上方修正
-
一時6.2%高と急伸、18年9月25日以来の高値水準
-
幅広い産業や地域で需要に回復感、中国も高原状態に-アナリスト
ファナック株が2年ぶりの高値。29日に今期(2021年3月期)の連結営業利益予想を従来比2.2倍の854億円に上方修正した。市場予想(684億円)を上回った。中国の自動車工場向け自動化(FA)関連や産業用ロボットを中心に復調が目立つ中、売上原価の低減などコスト削減も奏功する。
△△ 30日の取引で株価は一時前日比6.2%高の2万2695円と2018年9月25日以来の高値を記録した。日中上昇率は9月7日(7.5%)以来。
¤¤¤⇨ 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の佐々木翼アナリストは29日付リポートで、今期予想の上方修正などは株価に「ポジティブ」と評価。幅広い産業や地域で同社の需要に回復感があり好印象だと指摘した。中国でのFA需要も「高原状態が続く」とみている。
今期の業績予想 |
|
□□☞☞ 29日の発表によると、中国市場がいち早く回復する中で情報技術(IT)関連やロボット需要の好調を見込む。今期の想定為替レートは1ドル=103.46円(従来101.91円)、1ユーロ=120.65円(同115.87円)とした。中間配当87.93円を実施する。前期の配当合計は300円だった。
◇◇ ファナックはFA事業やロボットを手掛け、工作機械に組み込む数値制御(NC)装置では世界シェアトップ。ブルームバーグのデータによると韓国サムスン電子やトヨタ自動車、台湾の鴻海精密工業など幅広い製造業を顧客とする。
▼△△ 7-9月期は売上高が前年同期比4.1%減だった。ただ、ロボドリルが好調な中国が2倍超の370億円に急回復し、日本国内や欧州、米州、中国を除くアジアでの不振を補った。売上高が減る中、原価低減などで営業利益は4%増加した。中国向けの受注高は2倍以上の417億円に拡大した。
□□☞☞ 山口賢治社長は決算会見で、下期の受注見通しについて、中国向けのFA関連は一段落する可能性もあると示唆した一方、コロナ禍でパソコンやタブレット向けロボドリルの「引き合いが多い」と説明。ロボットは米国の自動車関係が回復基調で、一般産業向けも堅調が目立っているという。
7-9月期の業績 |
---|
|