(小動物だけでなく、カモシカやジャッカル、サーバルキャットも襲うゴマバラワシ(Wikimedia Commons) )
① ""干支のイノシシVSワシ 激闘を制した勝者は…?南アフリカ(動画)""
2019年01月12日 06時30分
2019年の干支はイノシシ。なかでもアフリカのサバンナに暮らすイボイノシシは、日本のイノシシに比べるとひと回り小さく、頭から背中にかけて、たてがみのようなフサフサとした毛が生えているのが特徴だ。そのイボイノシシの親子が猛烈な勢いで走り回っているときに、事件が起こった!
事件が起きたのは昨年12月17日、南アフリカ北東部のクルーガー国立公園でサファリツアーを楽しんでいたグループが、4匹の子供を連れたイボイノシシの家族に遭遇。「猪突猛進」のことわざどおり、土煙をあげながら縦横無尽に走りまわる姿を眺めていた。
② 空からサッと飛翔したワシの正体は…
(とらえた獲物を横取りされないための「マントリング」)
② イノシシ親子から十分に車間距離を取って、通り過ぎるのを待っていたところ、左手から翼を広げた猛禽類がサッと現れ、逃げ遅れた1匹のうり坊の背中に爪を立てた。
しかし、体は小さくてもさすがイノシシ。ただやられるだけではなく、ワシの鋭い爪から逃れようとグイグイと前に進む。空のハンターの正体はゴマバラワシ。狙う獲物は野ウサギやカモシカなどの小型動物から、ときにはジャッカルやサーバルキャット、カラカルなどの肉食動物も襲うアフリカ最大の猛禽類だ。
③ ワシにも弱点がある
しかし、この種のワシやタカには、獲物を引き裂く「牙」がなく、くちばしには「噛む力」がないため、獲物の息の根を止めるには、ただひたすら鋭い爪を駆使するしかない。
そこでゴマバラワシは、獲物を横取りしようとする敵の接近に備えて周囲を警戒しながら、マントのように大きく広げた翼でイノシシを覆い隠す「マントリング」行動を取った。この間も、イノシシは最後の力を振り絞って抵抗を続けていたが、そのとき、1台の車が接近。驚いたワシがマントリングを止めてその場を飛び立ったが、イノシシの子はすでに息絶えていたという。
ここまでなら「可哀想だけれど、自然の摂理ね」というお話だが、面白いのはこの後の行動だ。車が行き交う車道での食事を諦めたワシは、なんと片足でイノシシの死骸をつかみながら、まるで靴が片方脱げたときのようなスタイルで悠然と車道を横切り始めた。
狩りから獲物の回収まで約2時間。ようやくご馳走にありついたワシも飛ぶ体力を使い果たしてしまったのだろうか?動画では短くまとめて紹介している。