(孫正義社長)
11月5日、ソフトバンクグループの孫正義社長(写真)は決算会見で、同社が運営する10兆円規模の投資ファンドに資金を拠出しているサウジアラビアが国家ぐるみでジャーナリストを殺害した疑惑が浮上していることについて「今回の事件は、決してあってはならない大変悲惨な事件だ」として、強い遺憾の意を表明した。都内で撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)
① ""サウジ共同ファンド、新資金受入は真相究明後に=ソフトバンク社長""
2018年11月5日 / 17:04 / 1時間前更新
[東京 5日 ロイター] - ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義社長は5日の決算会見で、同社が運営する投資ファンドに資金を拠出しているサウジアラビアが同国のジャーナリストを殺害した疑惑が浮上していることについて「今回の事件は、決してあってはならない大変悲惨な事件だ」として、強い遺憾の意を表明した。
その上で、事件発覚後にサウジに訪問したことについて「直接会って懸念を伝える目的があった」と説明。今後のファンド運営に関しては、預かっている資金はサウジ経済の多様化という責務を負った資金だとして「悲惨な事件があったのは事実だが、サウジ国民の将来に対する責務を果たす」と述べ、これまで通り共同運営していく方針を示した。
ソフトバンクグループが設立した10兆円規模の投資ファンド「ビジョン・ファンド」には、サウジが450億ドル(約5兆円)出資。殺害を指示した疑惑が浮上しているムハンマド皇太子は、将来設立される可能性の高い「ビジョン・ファンド2」への投資にも意欲を示している。
孫社長は、今後もファンドを拡大させていく方針に変わりはないとしながらも、「ビジョンファンド2は少し時期尚早。もう少し慎重に考えていきたい」と語った。
新たなファンドでサウジ資金を受け入れるかどうかについては「真相究明後にあらためて考える」と述べ、慎重に判断する姿勢を示した。
トルコのエルドアン大統領は2日付の米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏の殺害事件はサウジ政府の「最高レベル」の指示によるものとの見方を示した。
こうした中、英国の実業家リチャード・ブランソン氏がサウジとの投資協議を停止するなど、サウジマネーを受け入れる側にも変化が出始めている。
孫社長は「現時点ではビジョン・ファンドのお金を受け取りたくないという話はあまり来ていない。若干の影響はあるだろうが、真摯に対応していきたい」と語った。
サウジ関与の疑惑が報じられて以降、ソフトバンクグループ株価の下落率は2割超に達している。
<通信事業の人員4割削減>
孫社長は国内通信事業について、業務の自動化を進めるなどして、人員を4割削減する方針を示した。
国内通信事業を手掛ける「ソフトバンク」は年内の株式上場を検討している。
孫社長は「低価格の色々なサービスをやっていくためには、業務の効率をよくしていかなければならない」と説明。「人員を4割削減し、コストダウンして増益を図っていきたい」と語った。
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ソフトバンクの上場をめぐっては、携帯電話料金の値下げ圧力の強まりを背景に、成長性に懸念が出ていた。通信事業に関わる人員を2─3年かけて成長事業に振り向けることで、グループとしての成長とコスト削減の両立をめざす。
孫社長は値下げについて「すでに大幅な値下げを繰り返し行っている」としながらも、今後も競争状況などをみながら値下げを検討する姿勢を示した。
志田義寧