幸福実現党は、「国粋主義」か?(前編)[HRPニュースファイル1334]
http://hrp-newsfile.jp/2015/2145/
文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩
◆幸福実現党にかかってきた電話
幸福実現党は、戦後70年を迎え、戦後の「歴史観」を問う大々的な啓蒙活動を展開しています。
先日、ポストに投函された下記の幸福実現ニュース(レギュラー版) を見た方から政党に電話がかかってきました。
【幸福実現ニュース(レギュラー版) 第67号】
日本の誇りを取り戻せ「ぺリリュー島の戦い」の真実
http://info.hr-party.jp/files/2015/03/BM58TOD1.pdf
電話を掛けてこられた方は、次ように私に言いました。
「幸福実現党は、国粋主義的な危険な思想をもっていますね。」
辞書(三省堂)を引くと「国粋主義(こくすいしゅぎ)」とは、「自国民および自国の文化・伝統を他国より優れたものとして,排外的にそれを守り広げようとする考え方」だそうです。
「国粋主義」は、「軍国主義」にも共通するイメージがあるかもしれません。電話を掛けてきた方の考えは、戦後の日本人の一般的な意識ではないでしょうか。
「戦争を美化することは、軍国主義、戦争につながる怖い洗脳だ」という思いは、戦後生まれの者にとっては、少なからず心のどこかに持っています。
◆洗脳された戦後の日本人
実は占領政策によって「戦争を美化したら軍国主義が復活する」と思いこまされています。占領軍は、二度と日本が立ち上がれないようにするために「日本軍=悪」の洗脳を行ったのです。
ですから、日本人は「戦前が軍国主義で、その洗脳から米国が解いてくれた」と思っていますが、実は逆で「米国から日本は軍国主義で悪い国」という洗脳を掛けられたのです。
歴史観の問題は、自分が納得いかなければ、他人も説得できないものです。私は、その方の占領政策の洗脳をどれだけ解けるか挑戦してみることにしました。
「日本の上層部には、ミッドウエーで敗けた時など戦争を止める機会は何度かあったのに、戦争をやめずにペリリュー島もそうだけれども、みんな犬死させられたんです。」
「たしかに戦争をやめる機会は確かにありましたね。それは、現代に生きていている我々は過去の歴史の結末を知っているから簡単に言えることです!でも当時生きている人は必死でしたし、どんな思いで戦っていたかが大事ではないですか!」
と、強い口調で私は言ってしまいました。私は続けました。
「日本が戦争をしたくなくても戦争を仕掛けてくる国があったらどうするんですか?自分の家族が強姦に襲われそうになったら守ろうと思いませんか?」
「よくそういう言い方で、戦争を美化する人がいますね。それが怖いんですよ。人殺しは絶対にやってはいけないことです。」
意見は平行線で、相手に「意識のバリア」のようなものを感じました。
「幸福実現党は、戦争は反対です。しかし中国が戦争をすでに考えており習近平は軍に戦争の準備をしろと言っているのは、知っていますか?」
「知っていますよ。でも中国人は仕事でも付き合いがありますが、いい人たちですよ。」
「個人はいい人であることは分かっています。しかし中国の国家の意思は違うんです。周近平は戦争を考えているんです。」
(注) 習近平は、甘粛省・蘭州軍区を視察の際に、「部隊は『招集されれば直ちに駆け付け、駆け付ければ戦争できる状態にし、戦えば必ず勝利する』よう確保しろ」と指示。 (2013年2月7日『解放軍報』)
「昨年、中国船が小笠原諸島まできてサンゴを取りに来ましたが、小笠原の漁民の方は、恐くて漁にも出られず被害も受けているんです。困っている漁民の皆さんをどうやって守りますか?」
「小笠原だけではなく、数年ほど前から五島列島でも200隻もの中国船が、台風を避けるという名目で漁港に避難しています。中国漁船はただの漁船ではなく、軍隊の訓練を受けた海上民兵です。島民は不安を感じていますが、ある日突然、宣戦布告もなし五島列島が占領されていたということだってあり得る話です。それにどう対応するんすか?」
「その時は、自衛隊を出せばいいじゃないですか。」
「いまは自衛隊ではなく海上保安庁が対応しています。自衛隊をすぐに出したら中国の思うツボです。中国は、こう言うでしょう。…日本は中国の漁民に対して自衛隊(軍隊)を出してきた。だから中国は漁民を守るため海軍で対抗すると。そこから戦争になります。」
「そうしたグレーゾーンの部分の法的整備が日本はまったく進んでいません。集団的自衛権の議論で出てきてはいますが、グレーゾーンの部分の法的整備がしっかりできていれば、中国は簡単に日本に手を出せなくなります。これが抑止力であり戦争を避ける道です。」
ここまで話してきて、やっと「国を守ること、国民を守ること」の意味が少し伝わった気がします。
相手の方が「そうした準備が日本政府は全く出来ていませんね」とが言い始め、このあと「歴史観」の話でも思わぬ展開になりました。
最後は、「政党の名前のように幸福実現のため頑張ってください」との言葉を頂いて受話器を置いたのですが、この続きは、また明日に致します。
◆日経平均株価が2万円台 「官製株高」に未来はあるのか?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9464
日経平均株価が、一時2万円を突破した。2000年以来、15年ぶりとなる。
円安や原油安を追い風に、自動車や電機などの輸出関連企業の業績が回復していること、そして日本銀行や欧米などの金融緩和により、溢れた資金が日本株に向かったことが原因だと報じられている。
ただ、14年4月に消費税が8%に増税されて以来、国民の財布の紐は堅く、内需は冷え込んでいる。8%への増税の影響で、14年4月から9月までの半年間で、個人消費は1兆円弱押し下げられた。
その影響で、中小零細企業は青色吐息の状態だ。例えば、機械部品を卸す下請け業者が多い東京都大田区では、昼間からシャッターが閉まった町工場が増えているという。
円安の恩恵を受けるのは、輸出産業の多い大企業だけであり、内需で稼ぐ中小企業は厳しい状態が続いている。実際の日本経済は、高い株価を示すほど、業績がよいとは言い難い。
国内外で投資している人は、値段が上がった株を売り抜いて利益を得ようとする「投機家」が多いからだろう。さらに年金資金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの公的機関が、多額の資金を日本株に投資していることが株高の要因とも言われている。
消費税増税が続く中、経済そのものが長期的に上向くと考えて、投資している人はあまりいないだろう。
また、実際に企業の事業が成功して、株価が上がっているのであれば、株主に利益を還元できる。しかし、事業が成功しておらず、だぶついたお金が日本株に流入しただけであれば、その高い株価はある意味つくりものだ。それを知っている企業は、株主に利益を還元することも、設備投資を積極的に行うこともできないだろう。
結局、今回の株高はある意味で、「つくりもの」、つまり官製株高だ。実体経済の伴わないものであり、じきに下がっていく可能性が高いと言える。政府は、2017年に予定している消費税の増税を中止し、税率を5%に戻すべきだ。そうなって初めて株高は好景気を反映し、経済成長をもたらすものになる。(泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『智慧の法』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1377
幸福の科学出版 『忍耐の時代の経営戦略』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1142
【関連記事】
2015年3月1日付本欄 日本がデフレスパイラルに再突入? 消費減税で経済成長を目指すべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9285
2014年1月号記事 マスコミの情報を鵜呑みにしない - トレンドを読む5つのステップ Step1
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6973
日米同盟の強化を阻む「壁」を破るために[HRPニュースファイル1332]
http://hrp-newsfile.jp/2015/2141/
文/HS政経塾 スタッフ 遠藤明成
◆2015年は日本の安保政策を固めるための「正念場」
中谷防衛大臣とカーター米国防長官は4月8日に会談し、新しい安保法制の内容が日米防衛協力の指針(日米ガイドライン)に反映されることが決まりました。
具体的には、安倍政権は、集団的自衛権の解釈変更などを反映した安保法制を7月末までに成立させ、その後に日米ガイドラインを改定することを目指しています。
今月末には安倍首相の訪米が予定されていますが、そこでも未来の日米関係のあるべき姿が議論されるでしょう。
本年はまさに、日本の安全保障にとって、正念場となる一年です。
◆日米両国民の「世論」の比較
こうした重要な時期に、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが日米両国の1000人の国民を対象にした世論調査の結果(実施は本年2月)を公開し、以下の事実が明らかになりました。
・歴史認識について米国民に聞いたところ、日本の謝罪を「十分」(37%)、「不要」(24%)と答えた人の合計は61%。「不十分」(29%)を大きく上回った。
・「中国の台頭は、アメリカにとって日米関係がより重要になることを意味する」と考える米国民は60%。
・アジアにおいて日本が果たす軍事的な役割が「拡大されるべき」と答えたのは、日本国民は23%、米国民は47%。「制限されるべき」と答えたのは、日本国民が68%、米国民が43%だった。
・「日本を信頼できる」と答えた米国民は68%。「米国を信頼できる」と答えた日本国民は75%。「中国を信用できる」と答えたのは、米国民で30%、日本国民は7%でしかなかった。
・米国民に経済的な結びつきについて日中のどちらが重要か聞いたところ、43%が「中国」を挙げ、「日本」の36%を上回った。
・米国民の安倍首相の好感度は11%だが、73%は「彼について聞いたことがない」と答えており、アジアに関心の薄い人々が多いことが伺える。(小泉元首相の評価も同レベルの結果であり、慰安婦についても57%が、「全く聞いたことがない」と答えている)
この調査を見ると、アジアに強い関心を持っていなかった米国民にも、野心を露わにした中国を牽制する国として日本が意識されていることが分かります。
◆集団的自衛権行使の「限定容認」に潜む落とし穴
日米防衛相会議では自衛隊と米軍の協力範囲の拡大が合意されました。
そして、新しい安保法制で自衛隊が動ける範囲が広がる見込みですが、現在の自公政権の安保政策には未解決の問題点も数多く残っています。
まず、集団的自衛権の行使に関しては、「自衛の措置としての武力の行使」の要件の厳しさが挙げられます。
これが発動できるのは、日本が「存立を脅かされる明白な危険がある場合」ですが、この要件だと「9.11」後のアフガン戦争のようなケースに自衛隊が参加することは困難です。
NATO軍は集団的自衛権に基づいてアフガン戦争で米軍とともに戦いましたが、このケースは朝鮮有事や台湾有事とは違って日本の安全保障との直接的な関係が薄いからです。
今の日本が行使できる集団的自衛権は、「海外派兵は一般に許されない」という原則の下に、「限定的に容認」されたレベルであり、国際標準とはかけ離れています。
同盟国は本来、双務的にお互いの国が攻撃された際に防衛し合うものですが、今の限定容認の体制だと、米国の危機に際して、大統領に「同盟国なのに自衛隊を動かせないのか」と批判される可能性が残ります。
「我が国は集団的自衛権を使える国になった」と言いながら、結局、同盟国としての役割を十分に果たせなかった場合は、国家としての信用を失う危険性もあるわけです。
◆本来、目指すべきは、防衛法制の「ネガティブリスト化」
また、新しい安保法制では「活動開始時点で戦闘が行われていない地域」でしか後方支援は認めない方針なので、支援活動を行う地域で戦闘が始まれば、自衛隊は撤退しなければなりません。
大量のミサイルを持つ中国や北朝鮮が、米国軍への後方支援をする自衛隊にミサイルを撃ち込んだ場合、活動地域が「戦闘が行われた」地域に変わってしまうので、自衛隊は支援活動を放棄せざるをえなくなるのではないでしょうか。
今回の安保法制改革は防衛の立直しの第一歩ですが、まだ大きな問題が残っているので、課題は山積みです。
日米同盟の強化を阻む「壁」を破るためには、やはり、幸福実現党が訴えてきた、国際標準の集団的自衛権の容認と防衛法制の「ネガティブリスト化」(法律で禁じられたこと以外は、国際法に則って機動的に動ける自衛隊をつくること)が必要なのです。