元幸福の科学の会員で1987年より三十数年間、在籍し、活動をしてきました。その間を振りかえります。

最初は勉強会だったのに大川隆法氏は1991年に突然に自分は地球神・エルカンターレだと宣言し、宗教法人となった。

世界で最も核兵器に無防備な国、日本は世界で最も滅ぼされるリスクの高い国。核装備は正当防衛の範囲内で、もう準備しないと間に合わないところにきている

2017-04-15 11:35:34 | 日記

http://the-liberty.com/article.php?item_id=11594 

 

世界で最も核兵器に無防備な国、日本は世界で最も滅ぼされるリスクの高い国。核装備は正当防衛の範囲内で、もう準備しないと間に合わないところにきている


幸福の科学の大川隆法総裁は2016年2月15日、東京・品川での講演会「世界を導く力」で日本の核装備について提言した。

「私はこれ(核装備)は正当防衛の範囲内で、もう準備しないと間に合わないところにきていると考えています」

核装備をして正当防衛的に国を守れる準備をしないと、場合によっては千万人単位の人が殺される可能性があるし、その脅迫に屈して、戦わずして植民地になる危険もあるということを言わなければなりません」

 大川総裁は「宗教家の意見としてはやや限度を超えている」としながら、中国や北朝鮮に核兵器を使わせないために、日本として核装備を進めるべきだとの考えを初めて明らかにしたのだった。

 この提言を受けて、日本の核装備の進め方について具体的に考えてみたい。

 

 

核兵器に囲まれている日本

 日本ほど無防備な状態で、核兵器に囲まれている国はないだろう。

 北朝鮮による核実験は今回で4回目。すでに核爆弾の小型化に成功し、東京に届く「ノドン・ミサイル」(射程1500キロメートル)に搭載できるまでになった

 アメリカ本土に届く大陸間弾道弾「テポドン2改良型」(射程1万キロメートル)にも搭載可能だとアメリカ軍は分析している。米軍基地のあるグアムに届くミサイルもあり、ここにも搭載できる。

 2020年には、20発から100発の核爆弾を製造できるところまできているそうだ。北朝鮮が自ら宣言したように、もう立派な「核大国」だ。北朝鮮はアメリカを核兵器で脅すことができる。

 この結果、アメリカはもはや北朝鮮に手出しできなくなっている。口では「北朝鮮を核保有国として認めない」と言いつつ、中途半端な経済制裁でお茶を濁すしかない。

 

 

アメリカの「核の傘」はもうない

 北朝鮮は、国民生活を顧みず、資源や財源を集中投下した中国の核ミサイル開発の後を追いかけてきた。その中国は、アメリカに並ぶ「超核大国」へと成長した。

 日本に向けた中距離の弾道ミサイルや巡航ミサイルは300基以上。核弾頭が積まれ、日本の主要都市に照準が定められている。アメリカ本土に届く核ミサイルは、米国防総省の情報機関DIA(アメリカ国防情報局)の報告だと、50基前後だという。探知が難しい原子力潜水艦発射の核ミサイル(巨浪2)も大きな脅威だ。

 アメリカとしてみれば、北朝鮮に対する以上に中国と事を構えることは難しい。

 中国や北朝鮮の核兵器に対して、日本はアメリカの「核の傘」で守られているということになっているが、それも怪しくなっている。

「核の傘」は、例えば、中国が日本に対し核ミサイルを発射したら、アメリカも核ミサイルで応戦することになっている。あるいは、中国が「アメリカ軍が介入してきたら、核ミサイルを発射する」と威嚇した際、アメリカが「それならこちらも核を撃つ」と"我慢比べ"をしてくれるということだ。

 しかしながら、アメリカの主要都市に何十発も核爆弾を撃ち込まれる危険を冒してまで、アメリカが日本の安全を守ろうとするというのは考えにくい。

 一般的な核戦略理論では、世界一の核大国のアメリカに対抗するために、対等に近い数の核兵器を持たないといけないかというと、そんなことはない。アメリカの約7千発の核弾頭に対し、北朝鮮がわずか数十発だったとしても、十分にアメリカをけん制し、威嚇することができる。アメリカの大統領や政治家たちは、「たとえ1発の核兵器であっても自国に撃ち込まれるのは嫌だ」と考えているからだ。

 実際、米中国交回復の道を開き、米中の橋渡し役を務めてきたキッシンジャー元米国務長官は冷戦時代、論文にはっきり書いている。

同盟国が核攻撃されたからという理由で、アメリカがソ連と核戦争するような馬鹿げた自殺行為をするわけがない」

 中国、北朝鮮の核兵器に対する「核の傘」はもうない、と考えて備えをしなければならない。

(日本はアメリカから「これで核ミサイル攻撃から守れる」ということで、ミサイル防衛システムを何兆円もかけて買わされている。しかし、一度に何十発と撃たれたら、その時点で対処できなくなってしまう。その費用を別の防衛手段の研究・開発にかけるべきだろう)

 

 

世界で最も滅ぼされるリスクの高い国

 核ミサイルで壊滅させられるリスクが高い国ということでは、中東のイランが日本の置かれた地政学的条件に近い。イスラエルがイランを最大の仮想敵国とし、核ミサイルの照準を合わせているとされる。

 イスラエルの核兵器に対してイランはこれまで"丸裸"だった。しかし、昨年のアメリカとの合意で核開発の能力を温存することができた。いざというときにはイランは、1年間ほどで核爆弾を作ることができるという。

 これに対し、日本はまったくの無防備だ。日本は先の大戦末期に国土を守る力を失い、2発の核爆弾を落とされたわけだが、その状態に回帰していこうとしている日本は世界で最も滅ぼされる可能性の高い国と言っていいのではないだろうか。

 しかも、中国、北朝鮮とも核兵器を使う可能性が高いのだと言うから、「世界一のリスク」がさらに何倍にも跳ね上がる。

 米ハドソン研究所首席研究員の日高義樹氏は、本誌の取材にこう指摘している。

中国は核兵器を自分たちの不法行動を押し通すための強力な兵器だと考えている

北朝鮮が韓国に勝とうとしたら、核兵器を使う以外にない

 中国が核を使うケースは、中国が台湾を武力統一しようとする際、アメリカが軍事介入できないよう、「核ミサイルで米本土の主要都市を攻撃する」と脅す場合が一つにはある。

 威嚇で止まればいいが、中国は太平洋上空や宇宙空間で核兵器を爆発させて、アメリカ軍の通信ネットワークを破壊することも計画しているという。

 中国の核戦略をつくった建国の父・毛沢東は「中国の人口の半分が死んでも何年か経てばもっと多くなる」と述べ、核戦争も辞さないスタンスだった。この発言は1957年にソ連の当時の最高指導者フルシチョフの語ったものだ。

 近年の中国軍の幹部も同様の発言をしている。国防大学の朱成虎少将は2005年、「西安以東すべての都市が破壊されることを覚悟している」「アメリカも西海岸の200以上の都市が破壊されることを覚悟しなければならない」と語った。「いざとなったら核を使う」という毛沢東戦略は今も受け継がれている。

 

 

滅ぼされるリスクの高い国

図解

日本は世界で最も「滅ぼされるリスク」が高い

 

中国

300基以上の核ミサイルが日本に向けられている。

 

北朝鮮

東京に届くミサイルは200基以上。核弾頭の搭載も可能となっている。

 

日本

アメリカの「核の傘」はなくなっており、日本は無防備。

 

イランも「滅ぼされるリスク」は高いが……

 

イスラエル

数百発の核弾頭を保有しているとされる。最大の仮想敵国はイラン。

 

イラン

国を守るため、核武装を模索している。

 

 

 

台湾有事にアメリカ軍は「いったん逃げる」

 なお、日本も戦場となる台湾有事でのアメリカ軍の戦い方は、以前とかなり変化している。数年前は空母が何隻も来援するプランだったが、中国が空母を狙い撃ちする対艦ミサイルを持ったことで、空母は台湾近海にもう来ないそうだ。

 アメリカ軍の対中戦略の責任者は、自衛隊関係者に対し、「アメリカ軍はいったんグアムやハワイまで引き、4~6週間ぐらいしてから無人機などによる中国本土への攻撃を行う。その間、日本や台湾は中国軍の猛攻に耐えて自力で戦ってくれ」と語っている。

 この発言は日本人にとっては衝撃的だ。「アメリカはいったん逃げて、様子を見ながら戦場に近づいて行きます」と言っているわけだ。あるいは、「もう戦場には近づかずに、安全なところから遠巻きに戦います」と言っている。まるで日本の憲法9条の精神が"輸出"されたかのようだ。「世界の警察官をやめる」と宣言したオバマ大統領の下で、アメリカ軍がじりじりと後退している。

 ここまでくると、対北朝鮮でもアメリカの基本スタンスは変わらないだろう。

北朝鮮は米空母を攻撃できる対艦ミサイルを持っているわけではないが、在日米軍基地やグアムのアメリカ軍基地は攻撃できる。アメリカ軍の「腰の引けた戦い方」は、朝鮮半島有事でも同じだと考えておいたほうがいい。

 このままでは日本人は中国や北朝鮮に屈服し、「奴隷」となってしまう。日本が「滅びるリスク」がますます高まっている。

 

 

核兵器についての善悪

 核兵器について、宗教的にはどう考えればいいのだろうか。

 幸福の科学の大川隆法総裁は『愛、悟り、そして地球』で、原則、核兵器を持つべきではないし、使うべきでもないという考えを示している。核戦争で大量の人たちが亡くなると、あの世への旅立ちやその後の生まれ変わりに大きな支障が出るためだ。

 一方で、宗教的に「悪」である核兵器によって、当面の平和がつくり出されているという逆説がある。冷戦時代、核兵器を持った米ソの直接的な戦争は起こらなかった。一定のコントロールがされていれば、核兵器が平和をつくり出すことがある(ただ、東アジアではこの核のバランスが著しく崩れている)。世界の人々にとって、「核による平和」は、大戦争が起こるよりもはるかに望ましい。

 大川総裁は『国を守る力』で、こう指摘している。

『軍隊や核兵器は、それがアメリカのものであろうと、ロシアのものであろうと、中国のものであろうと、どれも悪である』という考えもあるかもしれません。しかし、『人類の共通遺産としての智慧』には、『正義』というものがあるので、軍隊や核兵器についても、やはり、『国際的に正義と認められるかどうか』ということが検討されるべきです

 人類は智慧でもって平和を維持しながら、長期的に核廃絶を目指していかなければならないということになる。

 

 

核兵器についての善悪は?

 

 

 

「善悪とは何か」を学び取り、「正義」を打ち立てる

アメリカ本土に届く中国の核ミサイルDF-31A。写真:Imaginechina/アフロ

 問題は、独裁国家が核兵器を持つ場合だ。民主主義国家のように国民や国際世論のチェックが効かないため、明確に「悪」になる。権力者一人の判断で、核のボタンが押されてしまう危険性がある。それが中国、北朝鮮では起きようとしている。

「いつでも核を使う」と考える国が間近に2つもあり、両国とも日本に対する憎悪をあおっている。中国はかつてチベットやウイグルなどに侵略し、同じ国民となった人たちを虐殺してきた。その矛先が日本に向かってこようとしている。日本はまるで悪魔に呪われているかのようだ。

 大川総裁は悪魔の存在に関する質疑応答でこう述べている(ザ・リバティ2016年3月号)。

人間に、『「善悪とは何か」を学び取れ。感じ取れ』ということを教えているのだと思うのです

「悪人が出てきたように見えたり、自分を妨害したりするように出てくることもあるし、積極的な魔というものがあるようにも見えます。けれども、これもまた、人類に大いなる反省を起こさせたり、自分たちの文化レベルや哲学等をもう一回反省させたり、宗教観の弱さを反省させるための力でもあるのです」

 中国や北朝鮮の核の脅威から「善悪とは何か」を学び取り、「善」つまり「正義」を打ち立てることが日本人にいま求められていることなのだろう。でなければ、「悪魔の支配」が実現し、日本の国の未来がまさになくなってしまう。

「正義」とは、中国、北朝鮮が核を使うという「悪」を犯させないこと。そして、長期的に核兵器という「悪」を取り去ることだ。

 日本にとって頼みのはずのアメリカが「日本は自力で戦ってくれ」という戦略を出してきている以上、日本は自力でも国を守れる戦略を立てていくしかない。  以下は、大川総裁の冒頭の提言を受けた、日本として中国と北朝鮮の核から国民を守る「核抑止・核廃絶プラン」だ。

 

 

(1) 通常兵器で中国、北朝鮮に届くミサイルを持つ

 まずは、日本に何の反撃手段もない状態を脱しないといけない。中国も北朝鮮も、何百発という核ミサイルを日本に撃ち込むことができる。その脅威に対して、例えば、潜水艦から中国や北朝鮮に向けて飛ばせる弾道ミサイルや巡航ミサイルを持ち、潜水艦の数も増やす。

 核兵器を持つ以前に、通常兵器で日本が中国、北朝鮮のミサイル基地や首都中枢に対し反撃する能力を持つということだ。中国、北朝鮮が核で日本を脅しても、核ミサイルを撃とうとしても、日本に反撃の手段があるならば大きな抑止力になり、相手の行動に歯止めがかかる。

 いわゆる「敵基地攻撃能力」を持つということだが、これ自体、憲法9条に反するものではなく、自衛権として認められている。1956年に鳩山内閣で以下の見解を出している。

 「例えば、誘導弾等による攻撃を防御するのに、他の手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」

 

(2) ドイツやイギリスのようにアメリカと核を共有する

 抑止のためには、実際に「核を持つ」ことが当然選択肢に入る。

 その場合、アメリカの核兵器を共有する「核シェアリング」が最もスムーズだ。それには、ドイツなどのNATO型とイギリス型がある。

 NATO型は、ドイツ、オランダ、イタリア、ベルギーが対象で、平時にアメリカの管理下で核兵器が配備され、有事にはアメリカの許可で使用できる。

 これは冷戦時代の80年代初め、ドイツなどがソ連の核ミサイル(SS20)に対するアメリカの「核の傘」が信用できなかったため、アメリカと交渉し、核兵器(パーシング2)の欧州への配備を実現させたものだ。日本は、ソ連のSS20と変わらない規模と威力の中国の核ミサイルに狙われているのだから、欧州各国と同じ行動をとらなければならないと言える。

 一方、イギリスの場合、アメリカと潜水艦発射の核ミサイルを共有している。NATO型は発射にアメリカの許可が要るが、イギリス型は、核のボタンも共有している。そのため、イギリスはアメリカとの間で核戦略が常に一致するよう努力しているという。日米同盟がより強化されて核を持つというスタイルは、日本の一つの目標になる。

 アメリカは、圧倒的な実力を持つ軍事大国であることは間違いない。オバマ政権の下で世界から後退していっているわけだが、次期政権で「世界の警察官」としてまた復活してくる可能性もある。そうした潮流の変化も期待しつつ、日本はやはり日米同盟を基盤にして中国や北朝鮮の核兵器に対抗することを最優先すべきだろう。

 

(3) 日本として独自の核を持つ

 さらに踏み込んで日本独自の核兵器を持つとなったら、かなりハードルは高くなる。アメリカは「日本には核を持たせない」という政策を採っているからだ。

 ただ、そのために「国が滅びるリスク」が世界一高くなっている。日本政府として、国民の安全を守る義務を果たすためにアメリカを説得すべき時期がもう来ていると言っていいだろう。

 フランスのド・ゴール大統領(在任1959~69年)は、「核を持たない国は、核保有国にもてあそばれる状態になる」と米大統領を説き伏せ、独自で潜水艦発射の核ミサイルを持った。

 その際、ケネディ米大統領に対し、「ソ連がパリを攻撃してきたら、アメリカはソ連と核戦争をするつもりなのか」と問い詰め、押し切ったという。1961年のことだ。

 ケネディは後に、「パリが破壊されたからと言って、ニューヨークがソ連の核攻撃で破壊されるリスクを取ると思うか」と語っており、フランスに対して「核の傘」を提供するつもりがなかったことが明らかになっている。

 近年ではインドがド・ゴールと同じことを実現した。

 インドは70年代から核実験を行い、国際的な非難を浴びていたが、アメリカを説得し、2006年、核保有国の地位を認めさせた。

 アメリカは、米英仏露中の国連常任理事国以外の核保有を認めない立場だ。その意志を核不拡散条約(NPT)の形で世界に通用させている。インドはこのNPTの枠外での核保有を押し通したのだった。

 NPTがうたう「核不拡散」はさも"国際正義"のように見える。ただ、この条約は米英仏露中5カ国の「核軍縮」をうたっているのだが、どの国も堂々と違反している。特に中国は核兵器を大量に増産しており、重大な「NPT違反国」だ。

 一方で、核を持たない日本はNPTのルールをまじめに守ってきた"優等生"。核を持つとなったら、インド以上にアメリカにとって「安心できる平和的な核保有国」になるだろう。

 

 

明治期以上の「不平等条約」の克服

 アメリカの「日本には核を持たせない」という方針は、日本が自力で国民を守れないということなので、「日本を独立国家としては認めない」ということに近い。明治時代に関税自主権がなかったり、領事裁判権を認めさせられたりした以上の「不平等条約」を強いられている。

 これを打破するには、日本の首相はアメリカ大統領に、「2つの軍事独裁国家の核兵器に脅される中で、アメリカだったら核を持たないで国民を守ることができるのか」と直談判するしかない。アメリカ自身なら絶対やらないことを日本に押しつけるダブル・スタンダードは明らかに"不道徳"だ。最後にアメリカを説得するのは、「国民の生命と安全を何としても守る」という政治家としての気概だろう。

 日本の防衛を固めることがアジア全体の安定と繁栄にもつながり、アメリカの利益にもなる。「日本が核抑止力を持てなければ、アジアは完全に中国の勢力圏に落ちてしまいますよ」と主張していくべきだろう。

 明治期に圧倒的な文明格差がある欧米に対し、条約改正を認めさせていったとき以上の交渉力と胆力が求められる。

 先にイランは1年間ほどで核爆弾を作ることができる能力を温存していると述べたが、日本も「いざとなったら数カ月で核爆弾を持てる」というあたりで"寸止め"にしておくという考え方もある。「核保有国にはならないが、これ以上、中国や北朝鮮が日本の安全を脅かすならば、核保有に踏み込むしかないですよ」とけん制し続けるというスタンスだ。そうした戦略性も必要だろう。

 

 

インドとの同盟、ロシアとの協商が一気に進む

 日本の核保有についてアメリカを説得し得た場合でも、核弾頭だけでなくミサイルや潜水艦も含め、機能する核抑止体制をつくるには10年から15年はかかるとされる。

 中国は1956年に核開発を決断し、10年で核実験に成功。約25年でアメリカに届く弾道ミサイルが完成。約30年で潜水艦から核ミサイルを発射できるようになった。日本の技術レベルからすれば、中国ほど時間はかからないだろうが、長い道のりになることは間違いない。

 同時に、いくつかの条約や法律、政策判断を変える手続きも必要になる。

 NPTは脱退することになる。と言うと、2003年の北朝鮮の無謀な行動のようなイメージがあるが、NPTは、「自国の至高の利益を危うくしていると認める場合」には脱退する権利があると定めている。日本は「国が滅ぶ危機」にあるわけだから、逆に正当な権利として行使しないほうがおかしい状態にある。

 また、インドと同じ立場に立つということでもある。インドはNPTに入らないまま、アメリカと原子力協定を結び、核保有国として国際的に承認された。これと同じ形で今ある日米原子力協定を改定することを目指すことになる。

「核を持たず、作らず、持ち込まず」の非核三原則の見直しも必要になる。これは法律ではなく政治的な宣言なので、まさに宣言するだけで緩和・撤廃の手続きとなる。

 日本がフランスやインドのように核保有国となる場合、インドとの同盟やロシアとの協商が一気に具体化するだろう。インドは「中国がパキスタンをけしかけて攻撃してこようとしている」と考えているので、日本が核を持てばインドは真っ先に「同盟したい」と言ってくると予想される。インドと核・ミサイル技術で密接に協力することもあるだろう。

 インドは2006年の日印原子力協定で、アメリカと実質的な「準同盟」を結んでいるので、アメリカに気兼ねする必要もない。

 また、ロシアは今も余った核兵器の処分に対して日本が資金援助しているぐらいだから、日本がロシアの核を買うことは十分あり得る。同盟までいくと、アメリカとの関係に支障が出るので、協商の形で幅広い連携を模索することになりそうだ。

 

 

唯一の被爆国として核を持つ権利はある

 これらのプランは、中国や北朝鮮が核開発や核兵器の増産をエスカレートさせるならば、日本としては(1)~(3)のステップを「一つひとつ進むしかないですよ」という駆け引きの一環でもある。「いざとなったらミサイル開発、核開発をやっていきますよ」と宣言するだけでも大きな抑止力になる。

 その際、国際的な非難も起こるだろう。特に当の中国と北朝鮮は猛反発する。自分たちの持つ核兵器のパワーが相殺されていくことになるから、当然だ。

 日本としては、「日本は世界で唯一、原爆による市民虐殺を経験した。今、3回目の原爆投下の危機が迫っている。それを回避するために核を持つ権利がある」と主張し、一歩一歩圧力をかけていくしかない。

 日本政府は憲法解釈上、1957年の岸信介内閣での国会答弁などで、自衛権の範囲で核兵器を持つことは可能だとしている。

 安倍首相も2006年に同様の答弁をしている。

「純法理的な問題として申し上げれば、我が国が自衛のための必要最小限度の実力を保持することは憲法第9条によっても禁止されているわけではなく、たとえ核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとすれば、それを保有することは必ずしも憲法の禁止するところではないと従来から解してきている」

 憲法9条の改正論議が高まってきているが、それ以前に中国と北朝鮮の核兵器に対し、打てる手がたくさんあるということになる。

 その一つひとつのステップを、最終的には中国、北朝鮮の核兵器をなくすことにつなげるのが理想だ。

 

(4) 中国、北朝鮮との軍備削減交渉を行う

 では、その「核廃絶プラン」のほうはどうなるだろうか。  日本として核抑止力を持つ中で、初めて中国や北朝鮮との軍備削減交渉を始める条件が整う。

「中国、北朝鮮が核を増やしていくなら、こちらも増やさざるを得ません。核を全廃するならば、日本もなくしましょう」と主張することができる。核弾頭だけでなく、弾道ミサイルや巡航ミサイルの削減も当然含まれる。この方式を米露など他の核保有国にも広げ、世界的な「核の刀狩り」を目指したい。

 その際に、核兵器の保有や使用についての倫理基準がどうしても必要になってくる。今は先の大戦で日本に対して核を使用したアメリカが最大の核大国の一つとなっているために、価値判断が難しくなっている。

 核の廃絶が神仏の理想にかなう善であるということをはっきりさせるためには、核を使ったアメリカが「間違いであった」と認めるプロセスが必要になる。

 大川総裁の著書『公開霊言 カントなら現代の難問にどんな答えをだすのか?』で、カントの霊は核廃絶への道のりについてこう述べている。

「できれば本当は、先の大東亜戦争によって日本は植民地解放戦争をやったんだという史観が受け入れられ、同時にアメリカが沖縄での戦争のみならず、広島、長崎に必要のない原爆を落としたということに対して、人類に対して初めての罪を犯したということを認めることから始まらない限り、核兵器はなくなりません」

 アメリカは日本に対する核兵器の使用によって一般市民を大量虐殺したことを正当化するために、占領下の東京裁判で「南京大虐殺」をつくり出し、韓国が主張する「従軍慰安婦の強制連行や奴隷化」に同調している。

「核の刀狩り」を実現するためには、特にアメリカによる歴史認識の見直しが欠かせない。

 

(5) 核兵器を無力化する技術を開発する

「核の刀狩り」を現実のものにするためには、核兵器を無力化するような新技術の開発がカギを握る。

 例えば、超強力なレーザー兵器ができ、宇宙空間や上空から攻撃すれば、核兵器を無力化したり、消滅させたりすることができるとされている。アメリカのレーガン政権時代には「スターウォーズ計画」として、こうしたレーザー兵器の開発が進められていたから、技術的には完成に近づいているとされる。

 あるいは、理論的には、巨大な加速器で強力なニュートリノ・ビームをつくり出して照射することで、核爆弾の「未熟爆発」を起こすことができるのだという。つまり、世界の核兵器が次々と使いものにならなくなるということだ。問題は、膨大なエネルギー量を必要とすること。だから、現時点では机上の計算にすぎないが、追求すべき方向性の一つではある。

 これらの画期的な技術によって核兵器を無意味なものにできたならば、今の時点ではあり得ない中国や北朝鮮との軍備削減交渉や、その先の米英仏露も含めた「核の刀狩り」の実現性が増してくる。

 

(6) 最終的に中国、北朝鮮の体制を民主化する

 これらのステップを一つひとつ進んでいったとしても、中国、北朝鮮が核軍拡路線を捨てない可能性も高い。その場合は、どこかの時点で国際社会は両国の軍事独裁体制そのものを取り除く決断をしなければならない。

 やはり、何百万人もの人たちが裁判も受けずに収容所に放り込まれている中国や、2千万人以上の国民がほとんど囚人扱いされたりしている北朝鮮の現状は、世界正義として放置し続けていいものではない。中国、北朝鮮には、人間が豊かな人生を生きていくうえで最も大切な、信教の自由、思想・信条の自由、言論の自由がない。

 先に述べたように日本として「善悪とは何か」を学び、正義を打ち立てることは、日本だけではなく、中国や北朝鮮の人々も、より幸福な人生を歩めるようになることを意味する。

 大川総裁はザ・リバティ2012年8月号の「未来への羅針盤」でこう述べている。

私たちは中国の人々を自由にしなければなりません。北朝鮮の人々も自由にしなければなりません。彼らもまた、神に愛される権利があり、神の子として尊重される権利があり、幸福になる権利があるのです。私は彼らに、それを教えたいだけなのです。

 私には何の憎しみ(hatred)もありません。あるのは世界への愛、自由と繁栄への愛のみです。中国や北朝鮮の人々には神を信じる権利があります

 本稿で述べた「核抑止・核廃絶プラン」は、戦後日本の常識からすればかなりの強硬論ではあるが、それは中国や北朝鮮を憎んでいて言っているのではない。両国民に真の自由や幸福を享受してもらいたいと願っているからだ。

 中国と北朝鮮をめぐって起きている現在の不幸について、何年か後に「人類としての大いなる反省になった」と振り返ることができれば、そこに神仏の「正義」は展開していることになる。

(綾織次郎)

※本稿は、HS政経塾一期生の彦川太志氏の論文「核抑止力を中心とした自主防衛力構築の研究」などを参考にしています。

 

 

中国、北朝鮮に対する「核抑止・核廃絶プラン」

(1) 通常兵器の中距離ミサイルを持つ

(2) アメリカと核を共有する

(3) 独自の核を持つ

(4) 中朝との軍備削減交渉を行う

(5) 核兵器を無力化する技術を開発する

(6) 中国、北朝鮮の軍事独裁体制を取り除く

 

 


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北朝鮮への「敵基地攻撃能力」に反対してきた"平和"な社説を読み返す。「平和国家」「軍拡競争を招くな」の議論が招いた現実

2017-04-15 08:33:55 | 日記

 北朝鮮への「敵基地攻撃能力」に反対してきた"平和"な社説を読み返す
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12850  幸福の科学出版

《本記事のポイント》
・ 今になり実感する「敵基地攻撃能力」の意味
「平和国家」「軍拡競争を招くな」の議論が招いた現実
・ 公明党への"配慮"も攻撃能力を遅らせた



トランプ米大統領が、北朝鮮への軍事行動に踏み切る意志を示している。

北朝鮮が次に核実験などの挑発行動に出た場合、アメリカは朝鮮半島近海に展開させている原子力空母などで北朝鮮を先制攻撃できる準備を整えている。


今になり実感する「敵基地攻撃能力」の意味

その時に恐れられているのが、日本が北朝鮮の反撃対象になることだ。

もし、複数のミサイルが日本に向けて打ち込まれた場合、今あるイージス艦やPAC3だけでは撃ち落とせない確率も高い。この防衛体制の危うさを、情勢がここまで緊迫して、ようやく実感する人も多いだろう。

そうなると、今まで"過激な案"として片づけられてきた「敵基地攻撃能力」の必要性も身にしみる。撃たれてから撃ち落とすのではなく、撃たれる兆候があった段階でミサイル基地などを叩けば、日本に着弾するリスクは一気に減る。ここへ来て、メディアにおいても「敵基地攻撃能力」に関する議論がにわかに増え、安倍晋三首相もその必要性を国会で強調し始めた

しかし現状、敵基地を攻撃する装備を日本は持っていない。もう少し前から準備しておけば、日本人は今頃、もっと安心できていたかもしれない……。

この議論自体は、以前からなされてきた。しかし、一部メディアや政党は根強く反対し、実際の防衛能力には反映されなかった。

今、この緊張感の中で、彼らの言説を読み直した時、どう見えるだろうか。


◎「平和国家」「軍拡競争を招くな」の議論が招いた現実

2009年に北朝鮮がミサイルを撃った時、国会で「敵地攻撃能力」の保有が議論された。

その時、毎日新聞は以下のような社説を掲載している。

「専守防衛は、日本が戦前の反省に基づいて平和国家の道を歩むことを対外的に明確にする役割を果たしてきた。この見直しにあたっては、特に近隣諸国との外交に及ぼす影響について精査しなければならない。(中略)軍拡競争を生むという『安全保障のジレンマ』を引き起こす懸念がある」(2009年6月1日付毎日新聞)

この議論を今、振り返ってみてどうだろう。

いかに「平和国家」を謳っても、「敵基地攻撃能力」を持たない日本では、現に国民がミサイルの恐怖に脅えている。

「軍拡競争を生む」という議論にしても、日本が何もしなくても北朝鮮は"自分のペース"で核開発・ミサイル開発を進めてきた。

その後、政権交代で「友愛外交」を掲げる民主党に変わり、「敵地攻撃能力」の議論は立ち消えてしまった。


◎公明党への"配慮"も攻撃能力を遅らせた

2013年、政権を奪回した自民党が再び「敵基地攻撃能力」を検討した。その時も左派メディアは社説などで"警告"を発し、足を引っ張った。

「かえって地域の不安を高め、軍拡競争を招くことにならないか。そんな危惧を抱かざるを得ない」(2013年5月22日付朝日新聞)

「攻撃前に敵の基地をたたくことは『専守防衛を逸脱した先制攻撃ではないか』との疑念が残る。(中略)その結果、地域の軍拡競争を招く可能性もある」(2013年7月27日付毎日新聞)

この時、政府は防衛大綱に「敵基地攻撃能力の保有」を明記することを断念した。強硬に反対した連立与党の公明党への配慮のためだ。振り返ると、連立の代償も大きかった。

平和国家の道を力説する日本の「平和勢力」が、本当に日本の平和と安全につながってきたのか、検証すべき時が来ている。(HS政経塾 野村昌央)

【関連記事】
2017年4月11日付本欄 トランプが北朝鮮を攻撃する日、日本が覚悟すべき3つのこと
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12841

2017年3月31日付本欄 元北朝鮮兵器開発者は語る 「核ミサイルはもう完成している!」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12803


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