コバイア!(挨拶風に)
昨年末のクリムゾン来日以降
どうにもプログレ熱が続いている…
ハウリンメガネである。
「そういえばマグマはちゃんと追ってなかったな……」やら
「フリップ先生はアラン・ホールズワースを褒めてるんだよな……UKでのプレイはあんまり好みじゃなかったけどちゃんと聴くべきか……」やらで
ついついレコードを掘りに行ってしまう
(といっても世情に合わせて程々にだが)。
もちろんマグマなんてそう簡単に見つかるものではないし、ホールズワースですら中々なく、空振りの可能性のほうが高い…(というか十中八九ない)し、今どきネットでちょいと検索すればいくらでも通販できてしまうのだが、本屋とレコ屋と楽器屋は実店舗に足を運んでこそ、人生が楽しくなると信じて疑わないのが私である。
目当ての品を買うだけなら通販でいいのだが、
本もレコードも楽器も目当ての品を探す途中の
「寄り道こそが未知の何かと遭遇するチャンス」
であり、はっきり云えば寄り道の方こそが重要なのである!
(だから長居になる……逆に服屋なんかは10分も居ればいい方。編集長にツッコまれそうだが(苦笑))。
そんなわけで
「マグマはねぇか〜」
「ソフト・マシーンはいねが〜」
などと、秋田風にうろうろしている私だが、
先述の通りそんなもん簡単にあるわけがない。
結果として
「チッ……しけた店だぜ(注・しけてません)」
だの「プログレコーナーはもっとデカくするのが当然だろうが(注・当然じゃありません)」だのと暴言を脳内で呟きつつ視線は既に他のコーナーへ。
「……あっ、スリーピー・ジョンが!ややっ!こっちには曲名がジャケットに手書きの謎のジャンプ・ブルースコンピが!いやぁ!いい店だなぁ!」と先程の暴言はどこへやら猛スピードで掌を回転させる私(大阪・神戸は何故かブルースのおいしい盤が結構見つかるのだ。ちなみに姫路の方だと何故かメタル、ハードロックが多い……文化の違いは不思議だなぁ)。
とまあ、ルーツもののコーナーで
「なんだコレなんだアレ」とやりがちな私が先日「なんだコレ?」で見つけたのがコチラ。
「ペダル・スティール・ギターの王者/ロイド・グリーン(75年、日本盤)」
ペダル・スティール。
6本以上の弦(標準的なもので10本、ダブルネックでは20本以上)をオープンチューニングで張り、足元と膝に位置する機械式レバーで音程を自在に操りながら滑らせる、スライドギタリストなら一度は興味を持ったことがあるであろうこの楽器は「デカい、重い、お高い」という三重苦をそなえながらもその魅力的なサウンドからカントリーやゴスペルで多様されている
(貧しい教会がオルガンの代わりに購入することも多いそうな)。
ご存知の通り「滑らせないやつは半人前」が合言葉のジェリーズ一派である私。
「ほほう、ペダル・スティールの王者……」
といそいそとレジへ。
帰宅後、どんなもんかね、と盤に針を落とす。
ギャッ!超ゴキゲンのカントリー!
重心の低いベースに小気味よいドラム、出すぎず退きすぎず抑揚の効いたピアノ、バンジョー、フィドル。アーシーなバンドサウンドに伸びやかなスライドが歌う歌う!
それもそのはず。
不勉強で知らなかったが、このロイド・グリーンさん、ナッシュビルでもトップクラスのセッションマンで、バーズ、ジョニー・キャッシュ、ボブ、ポール、リンゴの作品にまで参加!
その腕前は本物で、メロウなバラードでの柔らかなリードからアップテンポのダンスチューンでの力強い、ミュートの効いたリズム、果てはサックスのようなファズトーンまで自由自在、縦横無尽、まさに「ペダル・スティール・ギターの王者」という邦題に相応しいプレイの宝庫!
(バンドの出来も凄い。ナッシュビルには凄腕ミュージシャンが多いというがさもありなん)
マグマを探してロイド・グリーンに出会う、
と、我ながら「なんでそうなるの?」という展開だが、これこそが”寄り道”の醍醐味。
こんな名盤でも寄り道しなけりゃスルーしてしまっていたわけだ。
アナログというのは一期一会。
気になったら買え!聴け!
偶然の出会いにこそ面白みがある!
以上、寄り道しても結局ルーツミュージックを買ってしまいがちなハウリンメガネでした。
御粗末!
《ハウリンメガネ 筆》