「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

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ハウリンメガネが縦横無尽に吠える!「メガネの遠吠え!」(第五回) ギター弾きのみんな!サムピックはお好き?

2022-09-24 13:44:01 | 『ハウリンメガネ』コラム集

ハイ!読者諸賢、ご健勝?
つい先週、いつもお世話になっているたこ焼き屋の10周年記念ライブパーティーがあり、久々のライブ出演に疲れつつも久方ぶりに人前で堂々と演奏できた喜びに溢れるハウリンメガネである。

店主のSさんの人徳で集まった演者はフォークあり、ブルースあり、生ホーンセクションあり、カントリーラグあり、ジャグバンドあり、大道芸あり、と弾き語りミュージシャン多めに笑顔と笑い山盛りの素晴らしきパーティーであった。

その出演者の中に大ベテランのハンニバル・マグダスさんという方がおられたのだが、この方、ブラインド・ブレイクばりのご機嫌カントリーラグにネタ山盛りの歌詞を乗せ、会場を大爆笑に巻き込みつつ、ギタリストを圧倒するすごい人。
この人のプレイを目の当たりに、歌詞に爆笑しながらも例によって例のごとく私の頭が猛回転し始めた。

やっぱりベテランは違うなぁ、ベース音がパンチ効いてんだよな、フィンガーピッカー……ん?あ、サムピックつけてはるんや。やっぱりああいうカントリーラグみたいなのやるんならサムピックの方が利点はあるよな……サムピックかぁ……

サムピック。


要は親指に嵌めて使うピック(写真参照)で、フィンガーピッキングの親指弾きの音が強く出せるものなのだが、これ、フィンガーピッカーギタリストの中でも使う使わないが大きく分かれる(うちの編集長も使わない。理由は訊いた事がないが、編集長は「柔らかく弾け!」が口癖の人なのでおそらくそういうことだと思われる。確かにサムピックなしの方が柔らかい音が出るし、スナップを効かせればパンチも出せるので要らんちゃ要らんのだ)。

で、かくいう私。
サムピックはぜーんぜん使わない!
正確に言うと何回か使おうと試みたがどうにも合わないので結局使わずにここまで来てしまったのである。

まずサムピックというやつは基本的に既製品なので親指の大きさに合う合わないがある。これは大きめのサイズを選べばいいのだが、フィット感という意味では買ったままでジャストフィットするものは皆無と言っていい。
故にサムピック使いの中でもフィット感を気にする人はピックを炙ったり、熱湯に漬けたりして親指に合わせる(ピックは樹脂製のものが大半なので熱で変形する)という涙ぐましい御苦労をしている。

そしてこれで親指に合わせたとしても、さらに問題がある。ピック部がデカい(長い)のだ。

人によるだろうが、サムピックは親指からはみ出すピック部、つまり実際に弦に当てる部分がデカい(私の場合、特に右手でブリッジミュートしながら弾くときにこのデカさが邪魔になる)。
なので、これを自分の好みまで削る作業が必要になるのだが、これがまた厄介で粗削りで短くした後、仕上げ削りで丁寧に整えないと弦に引っ掛かり、良い音が出ない。

こーいう苦労をして自分にぴったりのサムピックを作ったとしても、ピックというのはまあ簡単に失くす!
家で弾いていてちょっと休憩、と外してはどこに置いたか分からなくなる。まあ、このケースは家の中なので探せば見つかるが、出先で演奏して一息つき無意識に置いてそのまま忘れるなんてことはしょっちゅうである。

こうなると、昔、頑張って指に合わせたサムピックをどこかに忘れた悲しい思い出も脳裏をかすめ、「別にサムピックがなくても指弾きはできるしなぁ」となるのだが、上手く使っている人のプレイを目の当たりにすると「やはりやってみるべきか……」とならざるを得ないのがギター弾きの性(特に弾き語りでブルースをやる時、ギターで弾くベースラインというのは肝の部分で、これがカッコよく鳴らせるといい具合に響くのだ)。

というわけで久方ぶりにサムピックを買いに出かけたのだが、何故かサムピックが売っていない。正確には売り切れていたのだが、定番のタカミネもダンロップも売ってない(もしかしてこれもサプライチェーンの停滞の影響か?)。
在庫があるものを指にはめると明らかに私のサイズと合わない、変形させてもキツいサイズしかない。
はてさて、他の店へ行って探してもいいが、とっとと買って練習したいしなぁ……と思ったところで目に入ったのがこれ。

 

日本屈指のフィンガープレイヤーにして、カントリーブルースの名手、打田十紀夫氏が1から開発に携わったサムピック「TAB SPECIAL Ⅱ」である(だいぶ前にこれのⅠを買った記憶があるのだが、その時は私自身がフィンガースタイルの面白さに深入りしていなかった為、しばらく使った後に友人にプレゼントしてしまった……はず)。

これ、普通のサムピックと異なり、親指にはめる部分がシリコンベルトで調節可能なうえ、面白い構造をしており、ピック部分にスリットが入っているのだ(写真参照)。

この為、通常のサムピックにはない「しなり」があり(普通のサムピックは厚みがあるので、しなりが欲しければこれまた削るしかないのだが、薄くするのは短くするより難しい)、普通のサムピックより親指の動かし方を意識しなくていい、つまり、サムピックをつけていない状態での弾き方に近い動かし方ができる(……ということを今、私が書いているということはこれを買った、という話なのだけど(笑))。

かくして久々にサムピックありでのフィンガースタイルに取り組んでいるのだが、やはりこれはこれでイイ!
親指に力を入れなくてもベースラインがハッキリする為、なしで弾くより右手の自由度が増すし(ギャロッピング奏法も楽々だ!)、親指だけでエッジーな音が出せるのはやはりサムピックならでは!(逆に生の親指で弾いたときのソフトで太いトーンが出せなくなるので良し悪しあるが、まあ、外せばいいだけの話だ……そうやって失くすんだけど(苦笑))

上手い人の演奏を目の当たりにすると学ぶことが多い。しかもそれがカッコ良ければ「うわっ!俺もやりたい!」となるもの。こうやって音楽はつながっていく。みんな誰かの弟子であり、師匠なのだ。

早くこんな窮屈な状況が終わり、色んな人のプレイを自由に見られる日が来ることを願いつつ、今回はここまで!ハウリンメガネでした!



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