夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

自衛隊の「日報」は、安倍政権の下では誰が防衛相でも「隠蔽」せざるを得ない。

2017-08-02 16:09:22 | 政治

 マスメディアは、稲田防衛相が自衛隊の「日報隠蔽」問題で引責辞任したと伝えている。あたかもこの問題の本質が、稲田防衛相の資質にあるかのような報道ぶりである。では、稲田明美以外の人物が防衛相であったら、隠蔽はなかったのだろうか? そもそも、「日報」の何を隠蔽したかったのか?

 日本の国連平和維持活動PKOへの参加には、基本方針で5原則があり、第1に、「紛争当事者の間で停戦合意が成立していること」がある。「停戦合意が成立」していれば、戦闘行為などあり得ないはずである。しかし、南スーダンのジュバでは、そういう状態ではなかったのだ。政府軍と反政府勢力との戦闘が日常的に繰り返されていたのである。安倍政権によって派遣された自衛権は、それを素直に「日報」に「戦闘」の文字を記したのである。PKO参加5原則に従えば、派遣してはならい地域だったのだ。そのひとつの証拠が「日報」なのである。つまり、安倍政権にとって、「日報」には「不都合な真実」が記載されているのであり、「憲法9条上の問題」になるから、「戦闘行為ではない」という稲田明美の迷国会答弁を生んだのである。

 安倍政権がこの間違いを認めない限り、「日報」はあってはならない、隠蔽せざるを得ないものなのである。「自民党国防会議で、『そもそも日報を公開すべきでなかった』との意見が出席議員から続出した」(朝日新聞2017.8.1)のは、安倍政権側の正直な意見だと言える。

 石破茂元防衛相は講演で「国民や自衛隊員に申し訳ないという気持ちを持たなければならない」(北海道新聞電子版2017.8.1)と語ったという。しかし、石破元防衛相といえども、現在の安倍政権の下での防衛相なら、「日報」を隠蔽せざるを得ないだろう.その中に「戦闘」という言葉がある限り、安倍政権の防衛相としては、稲田明美のように、黒を白と言う国会答弁しかできないからだ。誰が防衛相でも、「日報」はあっては困るものなのである。

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