夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

コロナ危機「本当は、日本に感染者は何人いるのか?」

2020-06-27 21:50:50 | 政治
 毎日発表されるのは、確認されただけの人数で、実際にはもっとたくさんの感染者がいることは誰でも分かっている。本当は、日本に感染者は何人いるのか? この疑問は意味のないことだと言うように、その答えは、メディア中、どこを探しても出てこない。しかし、実際の感染者が日本に100人なのか、それとも百万人なのかで、どう生活すれば良いのかは変わってしまう。
 専門家会議の尾身茂は、「実際の感染者数は(確認数の)5倍、10倍、20倍、誰にも分からない」と言った。確かに、全員PCR検査して、その誤差率を修正し、推定するしか実際のところは分からない。しかし、正確には分からないが、100人と百万人のどちらに近いのか、そのぐらいの推定できる数字はある。東京が最も感染確認数が多いので、とりあえず東京の感染者は、本当は何人いるのか、推定してみる。
 6月に厚労省の実施した調査では、東京都、大阪府、宮城県で、それぞれ1971人、2970人、3009人に抗体検査を行い、陽性者はそれぞれ2人、5人、1人、陽性率は0.10%、0.17%、0.03% 0.10%だったという。また、1000人以上の抗体検査を実施した例では、4月初旬に神戸大学1000人の内33人陽性(3.3%)、山形大学6月に1009人の内5人陽性(0.5%)がある。それ以外でも、6月ソフトバンクグループが大規模調査を実施し、医療従事者を除くと、38216人の内56人(0.23%)だという。
 海外の例では、4月ドイツのガンゲルト村の住民無作為抗体検査で15%、4月から5月アメリカのニューヨーク州で12.3%~13.9%という数字がある。どちらも、日本の1桁上であるが、これは感染確認公表数も1桁上なので、頷けるものである。
 抗体は、数か月で減少するという研究結果もあるので、4月の大学の調査3.3%より、6月の調査0.5%、0.23%、0.10%は減少した結果とも考えられが、3.3%は他のものより突出しているので、通常は採用しない。したがって、0.3%程度だとするのが妥当だと考えられる。
 東京都の人口は1400万人だが、赤ん坊、病気で入院している者等を除いて、市中を出歩くのが1000万人だとする。1000万人×0.3%は3万人。東京都の累計感染確認数は6月初旬で5500人だから、その5.5倍となる。
 日本のPCR検査は、濃厚接触者で、無症状のPCR検査をすることにしたのはごく最近で、症状の出た者の中で、医師が強く検査を要請した者だけに限られ、5月までは無症状、ごく軽症者も原則、検査はしていない。大まかに言えば、無症状の感染者は検査はされなかったのである。感染者の内、当初、2割が重症者という中国からの報告があったが、これについては、その後の研究でも明確にはなっていない。しかし、無症状の感染者はこれまでの報告より多いのではないかという多くの指摘があるので(コロンビア大学病院では88%が無症状というデータもある)、おおざっぱに、2割が軽症・重症者で、8割が無症状としても、大きな間違いではないだろう。
 そうすると、日本では無症状感染者は検査されていないとして、5500人が軽症・重症者とすれば、残りの8割が無症状感染者で、感染者はトータルで5倍いることになる。つまり、抗体検査からの推定5.5倍と大差ない。
 おおよそ、東京の実際の累計感染者は3万人。違ったとしても、1桁上や1桁下ではないだろう。それから計算すると、今現在の感染者は、感染期間は2週間だとして、3月から感染確認数が増え、6月初旬まで14週間、、30000÷7で約4300であるが、最盛期の5分の1程度に治まっているので、積算計算して1500人程度となる。
 別の計算では、公表される感染確認数の5倍いるとすると、2週間の公表値は400人程度で、2000人となる。
 東京の今の感染者は2000人ぐらい
 極めて大雑把な計算で、東京では1500人から2000人が今感染していると考えられる。大雑把と言っても、桁違いではないと思われる。アメリカでの感染者は2000万人を超えたとみられると、6月25日にCDCのレッドフィールド所長は言ったが、それはアメリカにおける多くの抗体検査とPCR検査での結果から推定したものである。日本での抗体検査とPCR検査の結果は、アメリカの2桁下程度であることからも、この数字はほぼほぼ正しいと考えられる。
 これは、どういうことかと言えば、仮に2000人だとして、東京で1000万分の2000。5000人に1人とい計算になる。会社員が1日に接する人間は、2メート以内ですれ違う人間をいれても、100人もいないだろう。つまり、常にびくびく恐れなければならないほどには、感染者はいないのである。
 この2000人が次に何人に感染されるのかが最も重要となる。2000人丁度なら、実行再生産率Rは1。2000人を超えれば、感染は拡大していき、未満なら縮小していく。そのことを考えれば、多くの人に感染させないことが大事だと言える。日常生活での感染の可能性がゼロではない以上、感染の早期発見、つまり徹底したPCR検査がどうしても必要なのだ。2000人の感染者を見つけ出し、彼らがその先に感染を広げるのを予防する。それが最も重要なのである。スポーツ界では、その関係者全員のPCR検査が行われているのは、それが今後の活動に極めて有効な手段であるからである。国は積極的に行わないのだから、多くの会社やその他の組織で検査を実行するしかないのである。
 そして、家族どうしの生活を除けば、最も感染のリスクが高いのがアルコールを伴う飲食であることも分かってきている。感染させるとしたら、相手は1人。つまり相手が2人以上の飲み会は厳に慎まなければならないのである。
 
 
 
 
 
 



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コロナ危機「接触確認アプリCOCOAが役立ちそうもない理由」

2020-06-22 11:24:16 | 政治
 1.日本版COCOA
 6月19日、厚生労働省はCOVID-19の接触確認アプリCOCOAの運用を始めた。日経新聞によれば、初日で179万件のダウンロードがあったという。とに角何であれ、ウイルスを封じ込めて欲しいという期待がそこには表れているように見える。
 このようなアプリは中国から始まり、その後、公権力からの監視、セキュリティ、プライバシーなどの問題から、改善を重ね、韓国、シンガポール、オーストラリア、ドイツその他、世界で60か国ほどで導入されている。日本のCOCOAは、極めて単純で、アプリをダウンロードした同士のスマホが「1メートル以内の距離で、15分以上 」接近したことを検知・記録し、その中の保持者が自分が陽性だ入力した場合、そのスマホに記録された接触者の情報を基に、厚生労働省の通知サーバから接触者のスマホに通知が行くというものである。位置情報も使わず、匿名で、接触記録は中央のサーバでなく、スマホ内に残り、14日で消去されるなど、いくらかはプライバシーとセキュリティには考慮したものにはなっている。
 2.世界では
 このアプリは理論上、人口の60%が使用すると効果が高くなるが、先に導入した国の状況では、中韓の追跡・個人特定型を除くと、シンガポールで3/28導入後、現在でも人口の20%、オーストラリア4/26導入現20%、フランス、イタリア6月初旬導入現2~4%と人口の60%には遠く及ばないのが現状である。このアプリのダウンロードには、政府に対する信頼度が大きく影響すると思われるが、比較的政府に対する信頼度が高いドイツで6/16に導入された。1日で650万件ダウンロードされ、他国より順調と言えるが、世論調査では4割強が使用する、同じく4割強が使用しないとなっており、やはり人口の60%の使用は非常に難しいと思われる。
 3.日本では良くて10%
 こういったアプリを好意的に受け取る、またはもの珍しいものが好きだという層がどこの国にもいるので、導入初期にはダウンロードが多く、その後すぐに横ばいに転ずるという傾向が各国とも見られる。さらに日本は、政府のコロナ危機対応の評価は最低水準である。それは政府の作成したソフトウェアがセキュリティ上、信頼できるかどうかにもにも影響する。結局日本では、各国の使用率よりも低く、初日179万件だとしても、その後はすぐに途絶え、1000万件、10%がやっとだろうと思われる。
 4.検査体制が整っていない
 このアプリの前提条件は、PCR検査が迅速に行われる(抗原検査は発症後2~9日という条件があるので、PCRに取って代われない)ことが条件である。もともと、多くの検査で迅速に陽性者が判明し、それを接触者に通知するというシステムなのである。そこでのメリットは、自分では記憶にない「1メートル以内の距離で、15分以上 」で接触した人に知らせる、または知らされることであるが、検査数が多ければ多いほど、無症状や軽症の場合でも、感染リスクを認知させる人数が増え、効果を持つと考えられる。しかし、日本では、厚労省は検査が必要だと言っているが、実際には諸外国の10分1から100分の1程度しか検査は行われていない。直近の6月18、19日のデータで、1日1000人当たり米国1.14 英国0.98 ドイツ0.55 フランス0.47件に対し、日本は0.08である(Our World Dataによる)。検査数が少ない日本の場合、現状の保健所等自治体担当部門が通知している以上の効果は疑問である。
 5.実際に想定されるのは
 最も感染確認数が多い東京で想定してみる。東京都での直近の感染確認数は1週間で200人、2週間で400人程度である。人口は1400万人だが、実際に市中で生活し往来するのは1000万人だとして、2週間で1人の感染確認者に遭遇する確率は、400分の1000万、0.004%である。普通の会社員が、「1メートル以内の距離で、15分以上 」の接触する人間は、家族、通勤電車、仕事で1日当たり20人だとする。2週間で280人である。280人×0.004%は0.0112となる。つまり、感染確認された人が全員陽性通知すると仮定しても、2週間で0.0112回の確率ということである。逆算すると、178.6週間に一度、1250日に一度の確率ということである。
 これは、東京都1000万人が全員アプリを使い、かつ陽性が確認されたら通知するという前提での計算で、実際にはこの数分の1から数十分の1になる。東京で10%程度の使用率だとすると、「1メートル以内の距離で、15分以上 」という接触者も10分1しか認知できず、まったくといっていいほど、意味をなさない。ダウンロードした10%100万人の内、10週間以内に通知が来るのは、計算上は0.56%で5600人となるが、(0.0112×5×0.1×1,000,000)実際の接触者の内、通知されるのはその10分の1でしかない。
 さらに、東京の会社員の場合、「1メートル以内の距離で、15分以上 」とは、朝夕の通勤電車で隣に居合わせた人も接触者となり、これがその人の最も多い接触者だという人はかなり多いだろう。通勤電車での感染リスクが高いというデータはなく、それで通知が来た場合、どこで接触したかは表記されないので、通知が来た者は大混乱に陥る可能性もある。
 結局のところ、アプリをダウンロードしたものの、自分が陽性者でない場合、接触者からの通知が来る確率が極めて低い。数年間、通知など来ないという者が99%も占めるということになる。それでは、通常の生活では感染などしないのではないかという錯覚に陥るか、このアプリにどこか不具合があり、おかしいと思いアプリを削除してしまうか、どちらかだろう。結論として、役に立たないのは目に見えている。
 

 
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コロナ危機「日本の給付金が馬鹿げているほど遅い根本的な理由」

2020-06-17 16:53:17 | 政治
 日本のコロナ危機に対する国の補償は、雇用調整助成金、定額給付金、持続化給付金、その他生活資金の貸し付けなど、形だけは揃った格好になっている。これで充分かどうかは別の問題として、すべてに共通している大きな問題が実際の支給が「遅すぎる」ということである。
 雇用調整助成金では、「提出書類を揃えるだけで3日、支給されるまでには潰れてしまう」などと言われるほどで、業績が悪化した企業を「助成」するのにはほとんど役に立っていない。厚労省によれば、5月21日の段階で、申請件数の半分しか支給が決定されず、実際の支給はこれからいつになるかわからないのが実情だ。
 定額給付金にいたっては、6月10日時点で全国平均36%の世帯にしか支給されていない。一律配布でも、これほど時間を要するのは、世界でも日本ぐらいのものだろう。
 持続化給付金については、民間への委託に問題があることが指摘されているが、やはり、支給の遅さは国会で追及されるほどである。申請から一か月以上経過し、200万件の申請があり、75%に給付したが、申請開始の5月1日直後に申請したものの、5万件ほどは現在でも支給されていないという。
 このように何の支給でも遅い日本に比べ、諸外国ではほとんどが支給済みなのは、メディアで明らかにされているが(例えば、ロイター通信によればアメリカでの経済支援金は4月から口座への振込と小切手の郵送が始まっている)、なぜ日本だけが甚だしく遅いのか、最も多く言われているのが、日本では国民番号制に銀行口座番号等が紐づけされていないので給付が遅れてしまう、というものだ。国民の銀行口座が分からないのだから、支給に手間取り、遅れるという意味である。安倍政権は現行のマイナンバーに国民の口座登録を義務付けろと言い出しているのも、そのせいである。
 確かに、多くの国では、国民の識別番号に銀行口座等を連結している場合が多い。どういうことなのかと言えば、例えばアメリカでは社会保障番号(Social Security number)というものがある。これは、身分証明みたいなものだが、この番号は納税と社会保障に連結している。したがって、銀行口座番号も国に登録している。日本で言えば、税の確定申告に税の還付金用に口座番号を届けるようなものである。ヨーロッパでも同様に、個人識別番号(personal identification number)制度があり、ほとんどの場合、銀行口座等を登録してしており、国が給付を決めれば、その口座に振り込むので、数日で本人に届く(または、電子マネー等、国によって様々)。
 では、日本のマイナンバー制度と何が違うのかと言えば、諸外国ではマイナンバー制度のようなものの目的が公平な徴税と社会保障、医療保障のためだということである。典型的な例はスウェーデンで、1960年代から、高負担高福祉のための公平な徴税、公平な社会保障、医療保障、行政の効率化を目的として、導入されている。この制度がスウェーデンで始まったのは、極めて社会民主主義的発想で、個人の自由を最大限重要視する自由主義とは、異なる思想のためである(むしろ、言論の自由等の政治的自由は、自由主義的民主主義国家より、守られている)。北欧では、すべての国民の所得は公開されているが、これも徴税の公平化、平等化に関係している。端的な例をあげれば、金持は多くの出所から稼ぐが、識別番号があるので別人の稼ぎとしてごまかすことができないので、きちんと税金を払うというシステムである。その後、欧米を中心にこの制度が広まっていったのである。
 こういった諸外国での番号制度は、目的が明確化しているので、大きな批判を受けたことはない。勿論、プライバシーとの兼ね合いもあり、詐欺にも使用されるので、厳重な管理が必要だが、制度自体を辞めろという意見は大きなもにはなっていない。
 それに比べ、日本のマイナンバー制度は、政府は目的の第一に公平・公正な社会を挙げているが、何がどう公平・公正に役立っているかまったく分からない。納税や社会保障と関連付けしない限り、今の制度が公平・公正に役立つことはあり得ず、単に行政の効率化の目的で作られていると言われて仕方がないだろう。さらに効率化さえも、なされているとはいえず、公費の無駄遣いの象徴と化している。このような信頼性がまったくない制度に、銀行口座を登録するなど土台不可能である。
 このように諸外国と制度が異なるので、支給が遅くなるというのは、そこだけを取り上げれば、それはそのとおりである。また、申請書が複雑でそれを審査するのに膨大な時間がかかる、オンラインが集中して不具合を起こすことなど、他にも様々な遅れる理由がある。しかし、それだけでは説明がつかない。
 より根本的な理由は、実際の現場で作業を行う人数が少ない、つまり日本は公務員が少ないので、作業が遅れるのである。
 日本の公務員が少ないことはマスメディアではあまり取り上げられないが、例えば、労働人口に占める公務員では、OECDの平均が15%であるのに対し、日本は7%である。北欧やフランスは20%を超えている。(以上、2008年OECDによる)
 人口千人当たりの公的部門職員数でも、フランス(2008年)の86.6人、アメリカ(2009年)の77.5人、イギリス(2008年)の77.2人、ドイツ(54.3人)に対し、日本(2009年)はわずか31.6人である。(総務省HP)
 これらは過去のデータであり、現状では「行政改革」でさらに職員数は減り、非正規公務員の比率が増大していると考えられる。それに逆行するように、行政サービスの要求は増すばかりである。これで何が起きるのかと言えば、当然に人員不足である。
 国も地方も末端の現場で働く公務員は、今抱えている業務で限界がきているのが現状なのだ。アベノマスクの所管は厚労省だが、現場にはそんなものを、民間企業に適切に請け負わせる余裕などなかったのだ。結局、官邸主導で怪しい業者に委託し、挙句の果てに不良品の山が出る。配布が遅れるのは当然である。
 定額給付金は、インターネット関連に通じた官僚は少なく、「マイナポータル」経由のオンラインではやれば、実際に受け付ける地方自治体側の現場は人員不足で混乱するのは当然である。結局、郵送が主体になったが、人海戦術で対応するしかなく、いくら残業しても追いつかない。業務をこなすのには、人数の多い方が早いという当然の理屈が無視されているのである。
 公務員の削減、公的部門の民営化という行政改革は、新自由主義に他ならないが、公的な業務を民間に移管した方が効率的という根拠のない幻想を振りまいている。北欧の公務員数は人口比で日本の3倍近いが、日本より非効率だという指摘はされていない。官公庁が非効率だというのは、民間の方が低賃金労働者を使いやすいので、コストパフォーマンスがいいというような、徹底した労働賃金の総体的引き下げ化の思想に基づいている。そこには、民間労働者は公務員労働者の賃金を下げれば、税金が下がるのではないかという幻想も振りまかれている。そのような事実はない。公務員労働者の賃金が下がるということは、民間労働者の賃金は下がっており、さらに賃金を下げられる可能性の方が高いのである。
 欧州でも、特に北欧やドイツでは、公的部門が堅固であり、コロナ危機にも迅速な対応が可能だった。官公庁、公的部門の迅速な動きは、必要される人員の十分な確保、基本的にはそれによるのである。
 
 
 


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コロナ危機「アベノマスクは、頑なに間違いを認めようとしない安倍政権の象徴」

2020-06-13 17:39:41 | 政治
 6月12日、菅官房長官はアベノマスクについて「15日までに配布完了見込み。最後まで着実に進めていきたい」と記者会見で語った。4月に安倍総理が配布の発表して以来、これほど悪評の高い「政策」も珍しいが、それをいまだに続行しているということである。
 多くのメディアによれば、布マスクの配布は、安倍政権の支持率低下を食い止めるためのアイデアだったという。結果は、支持率低下を食い止めるどころか、むしろ、SNSの安倍総理の団欒の様子と並んで、支持率をさらに低下させるものにしかならなかった。そのことは、実際にはこの政権自身が最も正確に理解しているはずだ。
 しかしこの政権は、自らの間違いを外に対しては、決して認めようとしないのだ。当初の目的の支持率上昇を考えるなら、悪評が立った段階で、すぐに撤回し、マスクを必要とする施設等に配布する方向に変更するなどすれば良い。そのことで、むしろ支持率は上昇が期待できただろう。それを当初どおりに続行することは、彼ら自身の利益にも反するのだが、ここに安倍政権の一つの特徴がある。
 安倍政権は、間違いを絶対に認めようとしない。今までも、「モリカケ」を初め、多くの批判に際し、徹底して最後まで、「間違いはなかった」の一本槍である。しかし、それらの議事録等の公文書の廃棄を意図的に行っているのを考えれば、彼ら自身は間違いを認識しているのである。間違っていなければ、廃棄の必要はないのであり、間違いを認識しているから、該当する公文書の存在が、彼らにとっては、あってはならないのである。政権を補佐する上級官僚はすべて高等教育を受けた者たちであり、その者たちが、近代国家での公文書の重要性を理解していないことなどあり得ない。廃棄が作為的なのは明らかである。コロナ危機でも、専門家会議の議事録を作成していない。後ろめたいことがなければ、議事録を残すはずである。彼ら自身が、記録されてはまずいという認識があるから、議事録を作成しなかった、そう考えるのが自然の理である。
 国会論戦で安倍総理が、野党の批判に対し、まるで逆上したかのように色をなして声高に反論する様子が度々見られる。何がなんでも、間違いは頑なに認めようとしない。ここにも、安倍政権の姿勢が顕著に表れている。
 恐らくそれは、一つの間違いを認めることが、連鎖反応を起こし、多くの批判を浴びることにつながると心配しているからなのだろう。一つの小さな穴から、みるみるうちに穴が拡大し、政権が瓦解する、そんなイメージを安倍総理が抱いているからだろう。安倍晋三、彼は強気の外見を装っているが、内心は気弱な「独裁者」なのかもしれない。
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