夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

<右>へ<右>へと草木もなびくよ。(2) マレーシア機撃墜 ロシアだけが非難されるべきなのか?

2014-07-23 18:03:14 | 政治

 7月17日、ウクライナ東部において、マレーシア旅客機が撃墜された。さまざまな報道から考えて、ウクライナのマスメディアが「親ロシア派」と呼ぶ集団(より適切には、ロシア系武装勢力と呼ぶべきであり、彼らは「親」ではなく、国籍はどうあれ、アイデンティティとしてはウクライナに居住するロシア人そのものなのである。当然のように、ロシア側からは「義勇兵」と呼ばれる)が、政府軍の軍用機と間違えて撃墜したというのが、真相だろう。政府軍は、武装勢力が軍用機を所有しておらず、政府軍以外の軍用機が飛行していないのを知っているからだ。

 この事件が起きてすぐに、西側政府(欧・米・日)とそのマスメディアは、誰がやったのかという犯人探しを始めた。そして、ウクライナのポロシェンコ政権の示した数々の証拠と米軍の情報により、「親ロシア派」による「犯行」とほぼ断定した。その後は、ロシア非難のオンパレードである。とはいってもここまでは、自然な流れといえる。ロシアが隠密裏に「親ロシア派」に地対空ミサイルまでを供与したことは(武装勢力側は政府軍から奪取したと主張していたが、その後否定している)、非難されるのは当然だからだ。しかし、「誰がやったのか」という問題と同時に起こる疑問、「なぜ、危険な空域を飛んでいたのか」という問題については、極めて不思議なことに、ごく小さなこととしか扱おうとしない。それはなぜなのか?

 マレーシア当局は、「高度1万メートルを飛行することは、ICAOからも禁止されていなかった。マレーシア航空機以外の民間機も飛行している」と自己の弁明に躍起になっている。では、ICAOが怠慢だったのか? そうではないだろう。

 この辺のことを考えるのに、ポロシェンコ政権の取った行動がヒントになる。事件の直後にこの政権が何をしたのかということだ。用意周到とも言えるほど間髪を入れず、盗聴を含め、「親ロシア派」の犯行だという証拠を世界に示した。これは、何を意味するのか? 政権側は「親ロシア派」が地対空ミサイルを所有していることを知っていたということだろう。その時初めて盗聴をしてミサイルを持っていること知った、などという馬鹿げたことはありえないからだ。これまで、政府軍の軍用機は撃墜されている。その時は6500メートルだったから、1万メートルを飛行する民間機に危険性はなかったと言う。しかし、ポロシェンコ政権は高度2万メートルに達するほどの武器を持っていることを知っていたはずだ。にもかかわらず、危険情報を流さなかった。 相手はポロシェンコが口汚くののしる極悪な「テロリスト」なのにもかかわらず、である。まさか、ロシアを非難する材料として使うために、そのうち「親ロシア派」が民間機を撃墜するだろうと待っていたわけではないだろうが、事件直後の用意周到な「証拠提示」は何だったのか? あれだけの情報収集能力があることを示しながら、危険性だけは予想できなかったというのは、まるで自分たちはマヌケですと言っているようなものだろう。

  政権側はこの問題の時のみ、「親ロシア派」が制圧している地域は自分たちの管轄が及ばない地域であるように主張しているように見える。彼らが制圧している地域からミサイルを撃ったので、自分たちには責任はまったくないんですと言っているように聞こえる。しかしそれでは、ウクライナは既に、自分たちの主権が及ばない地域があることを認めていることになってしまう。国土が二分されていることを認めてしまうことになる。それは、日頃の主張と矛盾するものだ。政権側は、自分たちはウクライナ全土の正当な代表で、主権も全土に及んでいるとしているからだ。 ウクライナ全土の政権ならば、紛争地域の安全も(危険情報を流すという)責任を負うべきだろう。武器を持つ犯罪者がいる地域が、安全か危険かは、知ったこっちゃありませんというような政府が、ほかにどこにあるのだろうか? そうではないと言うのならば、責任はないと言うならば、彼らがウクライナ全土を掌握しているのではないことを認めるべきなのだ。この馬鹿げた矛盾はいったいどこからくるのだろうか? 

  ウクライナで実際に起きているのは、ポロシェンコ政権が「テロリストの掃討」(この言葉はシリアのアサド政権も使っている)に過ぎないと言おうと、内戦である。政権側が、反政府軍の「親ロシア派」をいかに少数派であるかのようにと見せようと画策していようとも、内戦である。現に内戦下の地域の上空を、民間機が飛行していたということなのだ。だからこそ、内戦の一方の当事者に、隠密裏に軍事支援を行うロシアは非難されなければならないのだ。(シリア内戦にも同じことが言える。アサドの側にも、反アサドの側にも軍事援助は非難されるべきなのだ。例え、アサドが独裁者であろうと、実際に死ぬのは国民(人民)なのだから)

 

 ポロシェンコも西側も(これについてはロシアも)、危険地域に民間機を飛行させていたという責任をほっかむりしている。そもそも、「親ロシア派」が地対空ミサイルBUKを所有していることをアメリカ(勿論、ロシアも)が知らないなどということはありえない。誤射される危険性をなぜ知らせなかったのか? 「知らないことになっている」ということなのだろうか? 第一に非難されるべきは、撃墜した「親ロシア派」であるとしても、また、ミサイルを供給したロシアであるにしても、「知らないことになっている」という理由で、軍事情報は流すことはできないという理由で、民間機を危険な空域に飛行させた責任は免れないはずだ。それらのことを追求しないマスメディアも、結局は同じ穴のムジナなのであるが。

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Windouws Live Writerによる投稿テスト

2014-07-11 08:50:39 | 政治

 

 先々週以来、ブログの下書き原稿が3回にわたり消えた。原稿用紙換算で約30枚分。原稿は一回に数行ずつ書き込み、修正、推敲を重ねて仕上げる。その都度「下書き投稿」を繰り返してきたが、消えた。何度もタイトルも含めて修正してきたのが、悪かったのかもしれないが、原因は分からない。はらわたが煮えくりかえる思いだが、じっと耐え、冷静に改善策を考える。そこで、Windows Live Writerなるものがあるのを知り、この方がまだ「事故」が少ないだろうと使用することにした。

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