三浦俊彦@goo@anthropicworld

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2006/4/17

2000-02-01 18:11:11 | 映示作品データ
Making a Splash    (1984年イギリス映画)

監督 Peter Greenaway
音楽 Michael Nyman

 水をテーマにした短編映画。フェイク・ドキュメンタリーを得意とするグリーナウェイならではの、ドキュメンタリーアート仕立ての映像。マイケル・ナイマンの音楽はミニマル・ミュージックの一種で、短いモチーフを延々と反復する。テーマが水だから流れるような音楽がつくかと思いきや、流麗とはほど遠い、半ば行進曲風の重厚な管弦楽形式。重厚でありながらアップテンポなので、Splashに重点があると思えば、すんなり馴染んでしまう。考えてみれば、オープニングに出てきたカエルなどの小動物にとっては、水は重く厚い生存環境そのものなのだと気づかされる。生命にとっての水の重さと、人間にとっての戯れの素材としての水という側面とを混ぜ合わせたような、重厚で軽快な音楽が、コラージュ的に寸断処理された映像の気まぐれさとシンクロして、軽いトリップ感覚を誘う。

 「意味」よりも「体感」を優先させたという点で、映画が過剰に含みがちなストーリー性だの情緒だのを排した「美的否定」が成し遂げられている。映像芸術たるゆえんである。 いずれ観賞する予定のアメリカ映画『カッツィ三部作』は、テーマは全然異なるがこの「Making a Splash」に似たノリだと思ってください。

 環境音楽から実験音楽まで幅広く発表しているマイケル・ナイマンのCDはたくさん出ているので、現代クラシック音楽の代表的サンプルとして聴いてみるとよいでしょう。

 ――次回から本題に入り、まずは、「ドキュメンタリーを撮る」という行為をドキュメンタリー風に撮った、メタ・ドキュメンタリー作品『シューティング・ウォー』を観ます(制作総指揮はスティーブン・スピルバーグ)。
 初めて全世界的に戦場の報道がなされたWW2(第二次世界大戦)こそ、まさにドラマ的素材の宝庫なので、WW2に関するドキュメンタリー作品を各テーマごとに(独裁者、女性、原爆、終戦……)表現手法に注意しながら押さえてゆく予定です。