三浦俊彦@goo@anthropicworld

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2006/12/11

2000-02-22 00:54:12 | 映示作品データ
『ゆきゆきて、神軍』

 突発的な暴力の数々、犠牲になった兵士の遺族の離脱、ニューギニアへ同行するはずだった元戦友の母親の死、ニューギニアでの撮影記録の没収など、予期せぬ出来事に見舞われて流れがあらかじめ読めない構成が、密着取材型ドキュメンタリーの特徴だろう。ハプニングの最たるものが、奥崎自身による殺人未遂事件である。映画の中で「大活躍」した奥崎の妻も、映画完成前に死去する。

 奥崎謙三主演の映画には、もう一つ、『神様の愛い奴』という、別の監督によるドキュメンタリーがあり、それは奥崎の出所から採っている。亡き妻へのラブコールなども含まれていて奥崎ファンはそれなりにしんみりできる映画だとは思うが、お薦めしない。観賞は『ゆきゆきて、神軍』だけにしておくのがよいと思う。サブカルチャー知識人たちが奥崎という「変なおっさん」をおもちゃにして、いいように弄んでいる感が否めず、観ていて気持ちのいいものではない。

 ハプニングとデザインの合間に成立した怪作として、『ゆきゆきて、神軍』は再三観賞に堪えるカルト映画になっている。