白井健康元気村

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新型コロナに怯えるなかれ 岩崎邦子の「日々悠々」(72)

2020-03-06 06:00:08 | 【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」

【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(72

新型コロナに怯えるなかれ 

 

   

    梅の花が馥郁とした香りを放ち、早咲きの桜も見られるようになった。日本は春本番も目の前なのに、中国・武漢で発祥した新型コロナウィルス肺炎の情報は人々を怯えさせている。当初は、クルーズ客船ダイヤモンド・プリンセス号内での実態についての報が多かった。

    乗客が多かったせいか、感染の有無の検査に手間取って下船が許されないことも、問題の一端にも思えた。やがて世界の各地で感染者が広がって行くことや、毎日更新される患者数の増大、感染経路の追及にも及ぶようになり、事の重大さが深刻なのだと誰もが実感するようになったのだろう。

    それらのニュースに、友人たちとの春の約束事などは、観光バスや電車などの公共機関を使う事から、早々に中止することにした。2月から3月にかけては年度末という事もあって、地域で所属している会の発表や、フェスティバルなどの行事予定が、次々と中止に。

    また高齢者が利用する公民館なども休館で利用できない。白井健康元気村が主催する講演会も、室内での人と人との接触は避けるのがベターとのことで、苦渋の選択として延期という判断がされた。

    WHO(世界保健機関)は2月28日、新型コロナウィルスによる肺炎がパンデミック(世界的流行)になる危険性を中国と同等の「非常に高い」に引き上げた。終息どころか、収束に向けての見通しが立たない。

    そんな中、総理の緊急会見が。全国の小・中・高校に、3月2日から春休み一杯までの臨時休校を要請するという突然の発表には驚かされた。子供を持つ親や職場での対応の仕方と混乱には、関係のない私にも大変さが想像できる。

    それを受けてなのか、2日の月曜日になると、早朝のスーパーの食品売り場に異変が起きていた。お米が底をついてきたので買いに行ったのだが、あるはずのコーナーにはもち米の小袋がわずかにあるだけ。ところどころの棚には、何が置いてあったのか、品物がすっかり売り切れている。カップ麺やレトルト食品、パックのご飯、冷凍品ケースの中もがら空きになっていた。

 総理会見の前から、コンサート・観劇などの中止や延期が伝えられていたが、スポーツの世界でも多くの種目で同じように発表されていく。室内では行わないスポーツも無観客でのプレーが云々されている。プロ野球のオープン戦はすべて無観客試合、相撲の大阪場所も無観客で行うという。女子ゴルフに至っては3月15日まで、プレーそのものが中止だとか。

 ディズニー・ランドやシー、スカイツリーなどの観光地も休業するところが増えているが、どうやらパンデミックの発表と、クラスター(集団感染)は、日本だけのことではないようだ。世界の観光地にも閉館や休業が相次いでいる。高齢者や持病がある人は感染すると症状も出やすいが、若い年代の人は感染していても、発熱や倦怠感などの症状が出ない場合があって、クラスターに陥るとのことだ。

 終息の発表がいつされるのかは不明なので、東京オリンピックの開催の是非までが話題となってしまう。最悪情報ばかりがクローズアップされる一方、人気グループのインスタグラムの生配信や、子供たちへは無料動画として、ネット配信するとか。また勉強のことや、食事の面でも考えてくれる業者が出始めている。

 日々刻々と発表される感染拡大情報に、ただ怯え、家の中にこもっていることが、良策とは思えない。持病はないが、高齢者であることに違いがない我が身である。十分な睡眠と、食事のバランスを考えるなどの、ありきたりの防衛策は必須だ。誰もが自覚がなくても、すでに感染しているという加害者的立場になることも想定したほうがいいかも。

 感染を防ぐのに「お湯を飲むことが良い」は「デマである」と言われたが、白湯(一旦沸騰させたお湯をぬるく覚ました飲み物)を飲む健康法は昔から言われていて、デマであっても悪意は感じられない。非常事態の最中では、あれこれがモノ不足だと煽るデマには、踊らされないように心得たい。

 日々の情報に怯えることを晴らすためには、新鮮な空気を吸いながらパークゴルフでもするのが何よりだ。そんな思いを強くしていたが、天気が良いので、夫と急遽パークゴルフ場に行くことにした。

 すでに元気な高齢者たちが、にこやかにプレーをしている。「家の中になんか居られねぇよな」「んだよ~なぁ」「パークが一番!」などと言いあっている。「ですよね~」と私も声を大にして答えた。

 コースに出ると前のホールのプレーをしていた人が振り返りながら「岩崎さんでしょ」と。以前に所属していた会の人で、何か事情があって退会したKさんである。もうパークゴルフは、クラブも処分してすっかり辞めたと聞いていた。彼女は私より10歳ほど若かったと記憶している。

「え~? どうして? 久しぶり~」

 と驚きを隠せない私。

「家が近いから、チャリで来たの。貸クラブ使ってる。リハビリなの。膝が痛いからね。昔、岩崎さん、パークはリハビリだって言ってたよね」

「うん、私は踵だったけど」

 次から次とその頃の人たちの消息を聞かれる。「明日は我が身だね」などとも言いながら、亡くなった人のこと、認知が出た人のことなど、話が尽きない。それにしても一人参加をしていたKさんが、私のリハビリ話を覚えていてくれたことが、嬉しかった。

 今、高齢者にとってパークゴルフ参加は、何よりの憂さ晴らしであり、リハビリと実感した。それでも今の時期に元気村の行事である「パークゴルフ大会」を開催する旨のお知らせを出すには躊躇もある。村長の許可もあって、やっと村民の皆さんに、メールでお知らせが出せた。

 すると、Nさんから早々にご夫婦で参加されるというお返事がきた。事故に遭われてリハビリ中のNさんのご主人は、努力されたことが功を奏していて、ドクターから「一番やりたいことから、スタートしてみましょう」と言われたとのこと。この報告には涙が出るほど嬉しいのは何故だろう。大容量の過酷な情報に怯え、惑わされることの愚を実感している。

 

 


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