【気まま連載】帰ってきたミーハー婆⑦
若者にも忍び寄る「老害」
岩崎邦子
最近は若い人のテレビ離れが多いそうだ。ゲーマー、つまりコンピュータゲーム人口が増え、テレビで見かけなくなったタレントもYouTuber(ユーチューバー)になって、うんと稼いでいるとか。
私はテレビの見逃しや、録画忘れの番組を、YouTube(ユーチューブ)やTVer(ティーバー)で見ることがある。TVerとは、在京民放キー局5局 が中心となって運営するテレビ番組の無料配信サービスだ。
何と言っても、スマホは手軽だから手放せない。私は世界中の動画を無料で楽しめるTikTokをよく利用している。グルメ、アイドル、おもしろい動画、ためになる情報など、ジャンルも豊富。
私自身が投稿することはないが、有名人やタレント、一般人からの投稿の映像時間は短いので、次々と勝手に画面を移動させてゆく。その中でのお気に入りは、お子さん(3歳くらい?)の日々の言動から、親御さんが、その成長ぶりをおおらかに楽しんでいる様子で、何とも微笑ましく見ている。
さて、このところ、やたら増えてTikTokに登場しているのは、メンタリストのDaiGo(松丸大吾)だ。なんでも人の心理を操れる人をメンタリストというらしい。DaiGoはメンタリストという肩書が珍しい頃にテレビのバラエティ番組に度々登場していた。
今は「謎解き」というジャンルで、やはりバラエティ番組で現役東大生(工学部)の松丸亮吾の活躍が目立っている。DaiGoは、そのお兄ちゃんなのだ。松丸家は、大吾、彗吾、怜吾、亮吾の4人兄弟。以前に我が家があった市川市の出身ということもあってか、なぜか関心と興味がある。
ご両親は女の子が欲しかったそうだ。4人の子供には「吾」がついているが、「子」にも代えられるからというのが、親の気持ちを語る大吾の弁である。
横道にそれてしまったが、DaiGoがTikTokで例の早口で話していたのは、若い人の中にも見られる「老害」の話だった。DaiGoによると、こうらしい。
様々の悪癖というか、人として問題点が出るのは、高年齢になってからが多い。だから、「老害」という言葉が使われる。しかし、それは年齢に関係がなく、脳が若いかどうかの問題であって、「若年性老害」「若年性認知症」とも言えるのではないか。
老害には、次のような特徴が見受けられるという。
老人も若い人も、自己正当化が激しい人のことで、人の意見や言葉をガンとして受け入れない。つまり、自分のやり方を押し通そうとする。
また説教が好きで、自己満足とマウンティング(自分の方が相手よりも立場が上であることを示そうとする行為や振る舞い)が凄い。自分は未熟ではないとでも言いたいのだろう。
さらに現実逃避する傾向も。自己肯定と努力の逃避が見られ、自分の意見が社会の意見でもあるとする。きちんと脳を使ってこなかった人は、不安・恐怖でコントロールが出来なくなって、最終的にキレてしまう。
高齢化に伴い孤独に過ごすことは、もっとも避けたい。でも、何かのグループに属していれば、諸所の問題も起きてくる。人とのコミュニケーションが上手くいかず、老害、認知症、健忘症、難聴。これらが入り混じって厄介なことが起きる事態となることを、想定しなければならないのかも。
人として出来ていて、問題点を冷静に正しくジャッジ出来る人、凄いと言われる高齢者は、若い時には老人からきちんと学習し、年を重ねてからは若者からの知恵を積極的に学んでいる人のようだ。
そんなわけで、ミーハー婆の私に出来ることは、おこがましいと叱られるかもしれないが、頑張っている人を応援すること。それを一番大切にしたいものである。
【岩崎邦子さんのプロフィール】
昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。