【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㉟
正しく怖がる(前)
岩崎邦子
「あなた、お孫さんがいるでしょ?」とスマホの相手が尋ね、続けてこう言い切った。「絶対にワクチン接種したら駄目よ」
そんな驚く内容の話をしてきたのは、以前に布を使った手作り教室に来ていたが、退会してしまったKさん。昨年の暮のことである。久しぶりだったので、「何の用かな?」と思ったのだが…。
「えっ? どうして? 我が家は孫たちも含めて、全員が2回受けたわ……特に何もないけど」
すると彼女は、「ワクチン接種後に即死した人がいるのよ!」「女性は、生殖作用の弊害で、子供が出来なくなるのよ!」などなどワクチン接種の弊害を次々と述べ始めた。
「そんな話、知らないし、聞いたことないわ」
と答える私に、Kさんは問答無用とばかりに畳みかける。
「政治家やマスコミはひた隠しにしているだけで、世界のあちこちで問題になっているの。知り合いや、若い人たちに、ワクチンの危険性を、私は懸命に伝えているのに……」
Kさんは、みんなが一向に聞く耳を持ってくれないので、苛立っていたのだろう。しきりにネット記事を読むようにと、繰り返し念を押された。
この唐突にも思えるKさんからの情報を見ることは、年末年始の雑用ですっかり見逃すことに。私にとっては半信半疑というより、「聞き流していた」が本音だったのかも。
でも、改めてワクチンが危険という情報を見てみることにした。まず分子生物学者の荒川央(京都大学理学博士)さんである。荒川さんは、「コロナワクチンは開発国でも治験が済んでおらず、自己責任となる」と警告する。どんな点でコロナワクチンが危険なのか。その理由を要約してみよう。
①短期の副作用として血栓が出来やすい。
②アナフィラキシーを起こす可能性がある。
③不妊や流産の副作用の報告がある。
④アメリカでワクチン接種後、5100人が亡くなり(2021年5月現在)、その後も急増している。
⑤怖いのは長期的副作用が動物実験でも検証されていない。
荒川さんは記事の最後に、「個人の見解であり、所属組織を代表するものではない」と書いていた。
ところで、アメリカに住む娘家族は年末までには3回のワクチン接種を済ませている。上記のような接種後に亡くなったという情報は耳に入っているのだろうか。
娘に聞いてみると、基礎疾患がある人は、そういったこともあるだろう、くらいの認識しかないようだ。
いずれにしても、ワクチンには色々な種類がある。生ワクチン(はしか、風疹、結核、水ぼうそうなど)、不活化ワクチン(B型肝炎、百日咳、インフルエンザ、日本脳炎など)、トキソイド(ジフテリア、破傷風など)。
そうしたワクチンでも亡くなる場合があるらしい。アメリカでも、日本と同じように、コロナワクチンの接種に積極的になる人が多いが、否定的な人もいて、そのことをとやかく言うものではない、としている。
アメリカの孫娘は、アパート暮らしの学生で、正月が過ぎてから濃厚接触者となったが、検査を繰り返しても、陽性になることもなく、無事やり過ごすことが出来たという。
コロナウィルスは次々と型を変えて(アルファ・ベータ・ガンマ・デルタ・オミクロン)変異していく。アメリカやヨーロッパではオミクロン株が呆れるほどの感染者人数が出て、世界中に広まる様相である。
日本でも沖縄を筆頭に「あれよ、あれよ」という間に陽性者が増えた。そんなわけで、ワクチン接種が急がれるというニュースが日々流れる。長男の嫁は沖縄出身だ。米軍基地からは離れたところに実家があるというが、家族への気遣いが懸念されてならない。
まん延防止策が沖縄や首都圏に出され、次々と多くの県にも発令された。経済が回らない思惑も多々ありで、飲食業、当事者たちの苦悩も叫ばれている。
困ったことに、高齢者自らが日常生活で様々な規制をかけ、家に閉じこもることに。これが問題だ。友人たちに会いたいから、電車に乗って出かけることや、大勢での食事会は出来ない。
でも、地域での活動には、感染防止の約束事を守ることで、今まで通りの活動は可能だということをお忘れなく。例えば、みんなが集まって歌うことである。
ご法度にも思えるが、私が所属しているコーラスの会の場合、それなりの工夫と対策をしっかり守りさえすれば、今まで通り楽しむことが出来るのだ。
多少の違いはあっても、手づくり教室でも同じ考えで参加している。外遊びで大手を振って出来るはずのパークゴルフも、参加者が少なく思えるのは、寒さだけではない気がする。考え方には個人差があって、参加を無理強いは出来ないが、仲間が少なくなるのは、とても淋しい。
私の偏見かも知れないが、昼近くにスーパーマーケットなどに出かけると、体の動きに問題のありそうな高齢者が最近とくに目立つ。気のせいだろうか。私には、閉じこもりの弊害が出ているとしか思えない。
ニュースでは、テレビに出ている人たち、司会者・タレント・俳優・アイドルなどが相次いで陽性と判明し、濃厚接触者も発表されている。彼らは体調に関わらず、毎日のように検査をしているから、早々に発覚するのだろう。
簡単に検査ができない一般人は、元気だと思っていても、あるいは多少の自覚症状があっても、感染や濃厚接触者と断定出来ない。過剰に怖がることはないが、怖がって過ごすことにも、一理あるのかも。(つづく)
【岩崎邦子さんのプロフィール】
昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。