白井健康元気村

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キャラメルの効用 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㉕

2021-11-19 05:30:16 | 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㉕

キャラメルの効用

 

岩崎邦子 

 


「豊橋で降りた若い女性が森永キャラメルをくれた。びっくりしてます」
 関西に向かう新幹線の中からLINEを送って来た夫。
「この旅は良いことがあるかな~」
 と嬉しそうだ。
「若い女性で良かったね~」
 少し冷めた返事をする私だった。
 夫の会社時代のOB達とのゴルフコンペは、例年春と秋に関西で行われてきている。例年この機会に実家の墓参りや、岐阜県や愛知県に住んでいる夫の兄弟や従兄弟たちとも、ゴルフやカラオケで親交を温めてきている。
 曰く、「生きているうちに合っておこう」「葬式には出ない」との申し合わせがある。だがコロナ騒ぎで昨年の春と秋、今年の春と、恒例行事も都合3回も中止とせざるを得なかった。
「この秋こそは!」とまだ、騒ぎが全然収まっていない9月末から、関西のゴルフ幹事からコンペ計画がLINEのグループ仲間に送られてきていた。
 テレビニュースでは、東京や大阪などの大都市のコロナ感染者数が、日々伝えられ続けている。なのに夫は参加する気満々だ。ワクチン接種も2回したことや、昨年暮れに亡くなった義兄の「墓参りもあるしなぁ」は口実で、「ゴルフ仲間との交流が楽しみたい」が、本音である。
「行っても良いよ、だけど、しばらくは家に帰ってこないで」
 と、毒を吐く私。コロナの感染者数の発表が、東京より大阪のほうが多い日が続いていたからでもあった。
 常にゴルフ仲間のグループLINEはゴルフ情報を流し合っており、プロの試合成績にも一喜一憂する、ゴルフ馬鹿たちでもある。11月になり、感染者数の激減が続くようになって、夫の機嫌もますます良くなった。ゴルフ用の身支度を整えながら、仲間や兄弟たちとの出会いを待つ姿は、まるで遠足前の幼稚園生のようだ。
 以前は関西でのゴルフコンペに向かう東京勢のOBも何人かいたが、今では夫一人になってしまった。コンペ仲間は以前より若い人が増えたようだが、今では東西の中で一番の長老でもある。
 冒頭のLINEでのやり取りは11月半ば、週初めの昼近くのことだった。久しぶりの電車移動の夫なので、新幹線での様子や、その他の細かいことは知らせて来なかったが、若い女性にはどのように見えたのだろう。まず席は隣り合わせたのかな? ラッシュ時間でもないから、それはないよね。
 何か世間話でもしたのかな? ゴルフ馬鹿を丸出しにする、けったいな一人旅の白髪ジジイを、面白いとでも、哀れとでも、思ったのかな? 幼子に手持ちの飴をついあげてしまう心境に似ていたのかな? 
「コンペで優勝したよ!」と、夫からLINEが入った。続いて「やはり良いことが起きたよ」
 折角だから、ニコニコ笑顔のスタンプだけ送り返した。
 2日目のゴルフでは「新ぺリアで準優勝、ハンデ戦で3位。やはり良いことが続くよ」だって。
 今度は、万歳をしている可愛い女の子のスタンプを送り返した。そっか、そっか、若い女性と森永キャラメルの効用は、大きかったね。

 

 

【岩崎邦子さんのプロフィール】 

昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。


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