大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆契約変更となった場合の年次有給休暇の付与

2014年05月22日 11時51分01秒 | 労働基準
パート労働者等の所定労働日数が年次有給休暇の付与年度の途中で変更になった場合、
労働基準法第39条第3項の比例付与に係る付与日数は、いつから適用(変更)になるのか?
パートから正社員になった、或いはその逆の場合などもどう考えるのか。

結論から言えば、その労働者の年次有給休暇の付与の「基準日」から変更すればよい。

通達によれば、「法第39条第3項の適用を受ける労働者が、年度の途中で
所定労働日数が変更された場合、休暇は基準日において発生するので、
初めの日数のままと考えるのか、それとも日数の増減に応じ、変更するべきと
考えるのか。」という疑義に対し「見解前段のとおり。」という回答が
なされている(昭63.3.14基発150号)。

例えば、入社が平成25年4月1日のパート労働者(週所定労働日数:4日)の場合。
年次有給休暇の付与の「基準日は」は「10月1日」となる。

・平成25年10月1日:付与日数7日(継続勤務6か月)
(基準日:10月1日)
・平成26年6月1日に契約変更。週所定労働日数が3日となった。
・平成26年10月1日:付与日数6日(継続勤務1年6か月)

パートから正社員になった場合も(その逆も)、「基準日」に年次有給休暇の付与日数
を変更する。考え方は、前記と同様である。

なお、年次有給休暇の「比例付与」は、週所定労働時間が30時間未満であって、かつ、
週所定労働に数が4日以下又は年間所定労働日数が216日以下の者となる。
(労働基準法施行規則第24条の3)
それ以外の者は、「アルバイト」「パート」などの区分に係らず、
通常の労働者と同様の付与日数となる。

誤解があるのが、1日3時間など、1日の勤務時間が少ない者の付与日数。
1週間の所定労働時間が30時間未満であっても、週所定労働日数が「5日」の場合は
「比例付与」の対象とならない。
通常の労働者と同様の付与日数になる。

このような勤務時間が少ない者の年次有給休暇は、その年次有給休暇を
取得した日における契約上の所定労働時間となるのは当然である。
そうすると、その有給取得日の所定労働時間が契約上「3時間」である日は、
3時間分を付与することになる。給与計算時にも注意されたい。

最後に、法定の年次有給休暇は、基準日前の継続勤務期間において、全労働日の8割以上
出勤した場合に付与されるものである(労働基準法第39条第1項)。


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