大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆ついに法案提出。国民共通番号制どこへ行く

2013年03月02日 21時14分38秒 | 国民共通番号制
社会保険労務士の大澤朝子です。

今朝(3月2日)起きて、日本経済新聞の一面を見て驚きました。
「共通番号 16年から」とあります。

住民票を元に国民一人ひとりに番号を付け、
社会保障給付と納税を国家が一元的に管理する、例の
民主党時代に一旦お蔵入りになった共通番号制…。

3月1日、関連法案を今国会に提出すると閣議決定されていました。
その名も「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の
利用等に関する法律」案。法案は成立する見込みとか。

急いで内閣府のHP見ると、概要、法案などが見て取れます。
個人番号で管理するものの中に以下のものがあります。
1、年金分野 資格取得等、給付を受けるとき
2、雇用保険 資格取得等、給付を受けるとき
3、労災保険 保険給付等を受けるとき

雇用保険番号も住民票の「個人番号」に変更ですか。
随分お金がかかりますね。億っていうお金がどこかの(入札した)
企業に入るのですね。羨ましいです。
雇用保険は、数年前に、全国システムを全面変更したばかりなのに。
あれは、確か「コストダウン」の掛け声によってでした。
それも無駄だったわけですか。

今度は、雇用保険の番号自体が変わるのですから、
被用者6000万人の雇用保険番号と個人番号を入れ替えるのですね。
もっともっとお金がかかりますね。

年金番号の突合もまだ終わっていません。
平成24年9月時点で、持ち主不明の「宙に浮いた」年金番号
は2,222万件あります。
当初、「宙に浮いた」年金番号は5,095万件でしたから、
突合できたのは、たったの半分強。

もし法案が通った場合、
今後、住民票の「個人番号」と「年金番号」を突合することに
なるのでしょうが、まず、2,222万件は、突合できません。
共通番号制をもって見捨てることになります。

「基礎年金番号」のときもそうでしたが、
番号統一を制度として無理矢理導入すると、必ずひずみが出ます。
いまだに尾を引きずっているのですから…。

会社にもそれ相応の事務処理上の負担が課されるでしょう。
「基礎年金番号」制度導入時には、会社は、全従業員の住所を
旧社会保険事務所に提出しなければなりませんでした。

今回も大きな事務負担がくるように思えます。

国は、会社をタダで使うことができます。
国が市町村に事務を委託する場合は、委託費用を支払いますが、
企業へ事務負担を強いる場合は、タダでできます。
「法律」があれば何でもできる、便利なものです。

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