野葡萄に小鳥群がる小春かな 寺田虎彦
会津では「ブスの実」と呼ばれている野葡萄に、小鳥が集まってきているという初冬の情景を句にしたものです。熟すとブス色(紫色)になることから名付けられたといわれています。鳥が好むことから「烏葡萄」という呼び方もあります。
今回初めて私は、天王寺境内の「ブスの実」を焼酎に漬けました。「ブスの実」そのものは、タンニンが強く苦くて食べ物としては適しませんが、民間療法の世界では免疫力アップに効果があるといわれており、ネットでも販売されています。
天王寺には、尾長鳥の小型の鳥がどこからともなく飛んできて、「ブスの実」をぷっと吐き出したものが、いつの間にか成長して実を付けるまでになったのでした。会津のお薬師信仰は天台宗が広めたと伝えられています。昔の寺院は病院のような役割も果たしていたのですが、それを知っているかのように、小鳥が種を運んできてくれたのです。
合掌
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