イメージ(麦草ヒュッテと茶臼山, 2020年8月14日)
今年はコロナ禍で登山に様々な制限がかかってしまった。小池都知事は県をまたぐ移動は自粛をといっていて、当初は奥多摩しか行けないじゃないかと思っていたが、7月4連休からスタートした政府のGo Toキャンペーンでそれは知事の願望にすぎなくなった。感染防止と経済活動の両立をうたうのだから、人の移動を妨げることはできない。であるのなら、Go Toキャンペーンで除外された東京都民はどこまでなら、行っても許されるのだろうか。
まずは客観的な事実をみていこう。
●登山者にもっとも大きな影響を与えるのは、山小屋と交通機関だが、南アルプスの山小屋では今シーズンは休業を決めたところが多数出ていて、追い打ちをかけるように甲斐駒・仙丈ヶ岳への玄関口、北沢峠へのバス路線は今シーズンは運用を見合わせた。(詳細はヤマケイオンラインニュース)
●営業している小屋であっても、北アルプスなどでは予約制をとるところが多く、しかも通常の定員の半分ほどしか宿泊できない。室内ではマスク着用を義務づけられ、食事時や就寝時には充分な対人距離をとることを求めている。
●富士山は5合目から上へ向かう登山道は早々に閉鎖が決まり、山小屋も休業中だ。逆にいえば、5合目までは上がっていけるし、5合目を横移動するお中道は歩ける。
●新幹線や特急列車など、どのくらい換気できているのかよくわからない密室内に不特定多数(少数?)の方々と乗車することを余儀なくされる交通機関は、危うい印象があって、だれもが避けているわけだけれども、マイカーは自分とだれか、家族であったり親しい仲間であったりするので比較的安心だ。
以上を鑑みて私的結論に移ろう。繰り返しになるが、政府のGo To キャンペーンの趣旨はコロナの感染防止も重要ながら経済をもとに戻すことも重要というものなのだから、東京都内ということに縛られずに移動していいはず。ただ遠方に行けば行くほど、人と接する機会が増えるわけなので、遠方すぎるのはやはり避けるべきだろう。ではどこで線引きするか。実際には泊まるにしても、たとえば車で行ける日帰り圏とするのはどうだろう。そうすると東京を起点とすれば、関東甲信越と会津あたりまでとなる。
現実的なことをいえば、南アルプスや富士山(5合目より上)には行けない。またすでに予約で埋まった北アルプスや中央アルプスには行きにくく、残ったところでこの猛暑のさなかに熱中症になりにくい高所は、八ケ岳、金峰、国師、甲武信、大菩薩、日光白根山などの日光連山、尾瀬となるだろうか。わざわざ私がこうして書くまでもなく、これら山域は今夏は大混雑になっているだろうから、くれぐれも気をつけよう。
実際に8/9に訪れた大菩薩は、東京ナンバーの車がかなり停まっていたし、お盆に行った北八ツも大盛況だった。余談ながら北八ツの駐車場では、東京ナンバーであることを弁明するかのような文言を掲げている車もあって、けっこう深刻なんだと思った。その車の持ち主は、長野県なのか、群馬県なのか、どこの県なのかはわからないが、最近都内からお引越しをしたらしく、「東京ナンバーですが、県内在住です」としていた。山ならまだしも、地元のスーパーなどに停めていたら、いたずらされないか心配だからだろうね、きっと。
最後にNHKの記事に以下のものがあったので、ご参考まで。
「ことしの夏山 登って大丈夫? 注意点は?」