目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

『外道クライマー』

2016-04-24 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

 『外道クライマー』宮城公博(集英社インターナショナル)

著者の宮城公博さんは、沢や。私は沢はまったくやらないので、沢やさんとのお付き合いは基本ないが、沢やさんで強烈な印象があるのは、一度、天候いまいちの越後三山の避難小屋で彼らと遭遇したときである。日が暮れてきて外はしのつく雨。山の神とこの山小屋を独占だと、のんびりしていると、数人のヘルメットをかぶった粗野な男どもが、濡れるがままのびしょびしょ状態で、戸をガラガラと開けて入ってきた。こんちは~といいつつ、腰につけたカラビナ類をガシャガシャいわせながら、、小屋の奥に陣取った。そして豪快に放屁。下品なやつらと思ったものだ。会社の山の会の年配者からは、沢やは変人、全裸で川を渡渉する。何が楽しいんだ?といっていたのを思い出す。角幡唯介さんは解説のなかで、宮城さんがセクシー登山部と名乗っていることを明かしているが、全裸渡渉に由来する名前なのだろう。

前置きが長くなってしまったが、この本、めっちゃめちゃおもしろかった。「やりたいことを、とことんやる」という姿勢。いいねえ!スカッとする。冒頭には、神域である那智の滝を登って、警察に捕まったエピソードが出てくる。どうしても登りたいものはしょうがないか。彼のやんちゃぶりは、読んでいるこちらの気分も昂揚させる。

しかし那智の滝は、ほんの序章にすぎなくて、その後に大きくページが割かれる、象やトラや体長5メートルの蛇が登場するタイのジャングル46日間の沢登り、未踏であった称名廊下や、それをはるかに凌駕する巨大ゴルジュを要する台湾のチャーカンシーへの挑戦、称名滝・ハンノキ滝の冬期初登攀とエスカレートしていく。次々に押し寄せるアドレナリン出まくりの状況は、鳥肌ものだ。

タイ・ジャングルに入る前には、ミャンマーのカカポラジ奥の未踏峰、もしかしたらミャンマー最高峰ではないかといわれていた山を狙っていたとも書かれていて、実際にミャンマー入りしていたというから驚く。このブログでもとり上げた、NHK登山隊、ナショジオ隊、そして遭難したミャンマー隊が入山していた頃だ。へええ、宮城さんは、表現者であると角幡さんは評していたが、メディアの方々と同じタイミングとなるとは、なにか持っているのかもね。

私は、セクシー登山部には入りたくはないけれども、どんな沢登りをするのか、今後の彼の動向が楽しみだ。

「カカポラジ」参考:当ブログ
Nスペ「幻の山カカボラジ」
「カカポラジ山行記」ナショジオ2015年9月号 

外道クライマー
クリエーター情報なし
集英社インターナショナル

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