筑摩書房の広報誌「ちくま」の7月号を読みました。
今号で印象に残ったのはいずれも連載。
斉藤環氏の「家族の痕跡」、茂木健一郎氏の「思考の補助線」、岸本佐知子氏の「ネにもつタイプ」この3作でした。
特に茂木健一郎氏の「思考の補助線」には、先月号同様静かな感動を覚えました。
我々の日常は曖昧さに満ちており、自然科学的には「不正確だ」と批難されることも多くあります。
科学者はその不正確性を排し、客観的で数理的な厳密性で我々自身の脳を調べようとしてきました。
その結果、脳の働きは、究極的には数理的に記述できる「厳密な」ものであることがわかってきたといいます。
ところが、その「厳密な」はずの脳から日常の「曖昧さ」が生み出されているのが事実です。
人間のもつ「曖昧さ」と数理的な「厳密性」は一見相反するもののようだけれど、厳密な数理的反応として記述ができるような「厳密なしくみ」で働いているはずの脳が我々の意識のような曖昧さを生み出すこと、このしくみこそが人間の意識を解明する鍵を握るのではないか・・・という氏の示唆には大きく頷いてしまいました。
茂木健一郎氏、まったくもって目が離せません。