赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ホンジュラスの台湾断交

2023-04-05 00:00:00 | 政治見解



ホンジュラスの台湾断断交 :230405情報


日本の国会議員の中に親中派が多いのは有名な事実です。

例えば、日中友好議連の会長を務めていた林芳正外相や、かつて文化交流という名目で中国に3,000人を連れて行った二階元幹事長など、なぜ「屈指の親中派」と呼ばれる政治家が多く存在します。日本に親中派を増やそうとする中国の巧妙な手口を知れば、その理由に納得すると思います。

しかも中国は日本のみならず世界にまで親中派の勢力拡大を図っています。最近の話では、「3月25日、中米の国家であるホンジュラスが、台湾と結んでいた国交を断絶し、翌26日には中国と国交を結んだ」というニュースがありました。

一般に、国交断絶というと、台湾にとっては不利、中国の勢力拡大」というイメージであまり良い印象はないのですが、台湾独立運動科家によると「これは台湾にとって良いニュース」だという逆の見方になります。なぜ、そうなのか、負け惜しみではない理由を解説していただきました。


今回の国交断絶ですが、台湾にとって非常に良かったと思える理由が3つあります。

1、「カネで買う外交」に価値はない

実は、ホンジュラスのカストロ大統領は、元々台湾との断交を選挙公約にしていた政治家です。しかし彼は、台湾と断交して、中国と国交を持つと宣言しておきながら、台湾に向けては、「もっと経済援助をしないと 本当に断交するぞ」と脅していたのです。

そして、中国側もホンジュラスに多額の金銭的援助を送ることで、台湾を捨てて中国を支持する国を一つ増やそうと動いていました。そんな状況を見た台湾はこの“金銭外交”の競争には意味がないと判断し、勝負をやめたのです。

蔡英文総統も「今後は我々と同じような 理念を持った友好国と共に頑張っていく」と声明を出していました。まさにその通りで、政治的な理念や価値観が同じで、共に発展していこうと思えば、その関係を維持していく意味はあります。

しかし、カネによって維持されるような関係というのは、人間関係と同じで健全ではありません。今回の件で、台湾と国交を結ぶ国は14ヶ国から13ヶ国に減りました。ですがその数稼ぎのためだけにわざわざ「外交を買う」というのは何の価値もありません。


2、「台湾との国交」には落とし穴がある

そもそも、現在の国際社会では中国と国交を結べば台湾とは断交し、台湾と国交を結べば中国と断交するという決まりが守られています。

今、台湾と国交がある13ヶ国はどういう立場をとっているかというと、「台湾」という1つの独立した国として関係を結んでいるのではありません。「中国の代表」(中華民国)として関係を結んでいるのです。中華民国こそが中国全土の代表であり、他に正当性のある国家は存在しないと認めているということです。

これはつまり、中華人民共和国と中華民国の争いの話であって、現在の台湾とは関係がないのです。これでは、中国との争いを助長するだけで、台湾の国際社会への参加にとって悪い影響しかありません。

そのため、中華民国を支持している国家は13からゼロになるべきであり、ホンジュラスとの断交も祝福すべきことなのです。


3、注目が高まった蔡英文の訪米

実は、アメリカには珍しい国内法があります。それは「台北法」という法律です。どういう内容かというと、台湾ができるだけ国際社会で活躍できるように、台湾と各国の外交関係を守る義務がアメリカ政府にある、というもの。

ですから今回の断交は、実はアメリカの努力不足という見方もあるのです。実際に、バイデン大統領は元上院議員のドッド大統領顧問をホンジュラスに派遣して、台湾と断交しないように説得もしていましたがその結果、ダメだったということです。

裏で動いていた中国としては、台湾に恥をかかせたかったのでしょうけど、この法律は世界的に有名ですから、実は一番恥をかいたのはアメリカだったとも言えるのです。アメリカとしては台湾に借りを作ってしまったことになります。

ちょうど蔡英文がこれから4年ぶりの訪米をするタイミングでしたから、ますますこの訪米が注目されるのではないかと思います。このような3つの理由から、台湾にとっては大いに祝福すべきニュースでした。



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