赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

サウジがアメリカ離れした理由

2023-04-18 00:00:00 | 政治見解



サウジがアメリカ離れした理由 :230418情報

イランによって直接・間接的に攻撃されてきた歴史を持つサウジアラビアが、イランと外交関係正常化の合意を発表したのが3月10日。中東全域の和平に向かうのならそれは望ましいことのように見えます。

しかし、イスラム専門家の飯山陽女史に言わせれば「彼らはイラン、中ロ、そしてアメリカとも『良好な関係』を築くことで自国の安全保障を確保し、利益を最大化しようとしたたかな外交を展開する。その根底にあるのは、他国に対する信頼ではない。根強い不信だ」と結論づけています。中東諸国のしたたかさが垣間見えるように思えます。

さて、この現状について、当ブログにたびたび登場していただいている国際政治学者はどう見るのか、その見解を述べていただきました。



■バイデンの大失態

3/23、国際的に大きなニュースがありました。サウジアラビアとシリアの関係が修復され、国交を正常化。そしてなんと、その仲介をロシアが行うと報じられたのです。

3/10にはチャイナの仲介によりサウジアラビアとイランが国交正常化しています。サウジの経済力・政治力を支える石油の値段は未だに下がっていません。サウジの収入は相変わらず莫大です。

この国交正常化を機にアラブの盟主としてサウジの力がかなり復活してくると思います。そして、注目しておきたいのは、サウジが全体としてアメリカ離れをしているということです。

バイデンはサウジアラビアを敵視していましたから、当然の結果ですね。今回の仲介国からもわかる通り、サウジは今後チャイナ・ロシア寄りの路線を歩んでいきます。トランプ時代とは大違いで世界の有力な国はどんどんアメリカ離れをしていってしまうということです。

我々にとっては残念ながら、バイデン政権が続けば続くほど、チャイナ・ロシアを中心とする独裁国家軍の国際的な影響力が強まってしまう、またそちらの方に中間的な発展途上国の国が惹かれていくという状況になっていきます。


■トランプの意志を継いだのは中露⁈

そもそも中東はISというイスラム過激派組織が混乱を引き起こしていたわけですが、私は、ISを本当に大きな勢力にしてしまったのは、イギリスの守旧派だと見ています。キャメロン元英首相やボリス・ジョンソン元英首相らが陰で糸を引いて、ISに火をつけ中東を撹乱。

これが世界的に非常に大きな悪影響を与えていました。今回の国交正常化はシリア・イラン・サウジの戦いを
煽っていたこのような勢力が徐々に弱体化してきているということも示しています。

別の意味で言うと、“トランプなきトランプ外交”が今、中露の手によって行われてしまっているということですね。

トランプはISを潰すため、ロシアのプーチンと手を組み、エリアの住み分けを行いながら掃討作戦を進めました。その結果、ISをほぼ壊滅状態に追い込むことができたわけです。アメリカとロシアはISを壊滅させるという共同目標を持っていました。

トランプ外交の方針は
・シリアのアサド政権は望ましくはないが、 それを潰すと更に大混乱を招いてしまうので、 アサド政権潰しはしない
・ロシアと協力すれば、中東におけるロシアの存在感を高めることになってしまうが、 アメリカにとって第一の敵はチャイナであるから ロシアとは部分的に妥協をする
というものです。

しかし、バイデンは中露に国交正常化の仲介役をあっさりと奪われ、サウジのアメリカ離れを引き起こしトランプの外交を全部ぶっ壊してしまったのです。


■ウクライナ戦争への影響は…?

実は私は、今回の件がウクライナ戦争にも影響を及ぼすと思っています。

「ロシアの仲介で」サウジとシリアが手打ちをしたということは、アラブの国は、いずれロシアの影響力が中東に戻ってくると考えているということです。ウクライナ戦争はロシアが有利に進めていると見ているのでしょう。

より具体的に言えば、ロシアは東部のドネツク州やルガンスク州などロシア系住民の多い場所を独立国としてウクライナ政府に承認させる・そしてやがてはロシアの勢力圏に編入していく。彼らは、ロシアにそれくらいの実力があると踏んでるのではないかと思います。

そしてさらに、現在のヨーロッパ経済危機もロシア有利を助長している一因でもあるのです。ヨーロッパの経済力が落ちれば、当然ヨーロッパがウクライナを支援する力も衰えていきます。ウクライナとしてはこの戦争を継続させるのがより難しくなるでしょう。

政治と経済が表裏一体となって、ウクライナ戦争の休戦・停戦へと向かっているのではないかと考えます。



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