赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

プーチンがウクライナの次に狙っている国

2023-04-12 12:00:00 | 政治見解



プーチンがウクライナの次に狙っている国 :230412の2情報

プーチンは、「20世紀前半の領土観を持った政治家」といえるでしょう。この人は2008年のロシアージョージア戦争で、ジョージアから、南オセチア、アプハジアを事実上奪いました。

その直後、クリミアについては、
「クリミアは、係争地ではない。南オセチア、ジョージアと違い、クリミアには人種間の対立はなかった。ロシアはかなり前に、今のウクライナの領土を認めている。私達の国境に関する話し合いは、事実上終わっている。」と語り、ロシアがクリミアを狙っていることを完全否定しました。

しかし、誰もが知っている通り、プーチンは2014年、ウクライナからクリミアを奪いました。2022年9月には、ウクライナからルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を奪いました。

「親プーチン派」の人たちは、「プーチンは、ルガンスク、ドネツクで迫害されているロシア系住民を救いたいだけだ!」と主張していました。しかし、どこから「ヘルソン、ザポリージャ併合」はでてきたのでしょうか? 納得できる説明は聞いていません。

結局、プーチンの「領土欲」には際限がないようです。この事実に基づいて、ロシア事情に精通している専門家から、プーチンの次の一手を解説していただきました。



ロシアの元上院議長ミロノフは、【北海道は、ロシア領】と主張しています。

時事2022年4月9日には、

――ロシアのウクライナ侵攻を受けて日本が対ロ制裁を科す中、ロシアの政党党首が「一部の専門家によると、ロシアは北海道にすべての権利を有している」と日本への脅しとも受け止められる見解を表明した。

見解を表明したのは、左派政党「公正ロシア」のミロノフ党首で、1日に同党のサイトで発表された。公正ロシアは政権に従順な「体制内野党」。ミロノフ氏は2001~11年に上院議長を務めた。――



▼次のターゲットは

プーチンの領土欲に際限がないとして、次のターゲットは、どこなのでしょうか?

すぐ思いつくのは、エストニア、ラトビア、リトアニア、いわゆる「バルト三国」でしょう。しかし、これらの国々は、「NATO加盟国である」という問題があります。もしロシアがバルト三国を攻めれば、自動的にNATOと戦うことになる。そういう意味で、NATO加盟国ポーランドへの侵攻も、決意がいります。

しかし、ロシアの西側に位置し、NATO加盟国ではなく、あまり強くない、要するに、「侵略しやすい国」が存在します。それが、モルドバ。

モルドバは、ウクライナの西南部と接する、人口400万人ほどの小さな国です。

旧ソ連国。1991年8月に独立し、同年12月に独立国家共同体(CIS)に加盟しました。その後、ソ連崩壊後のウクライナ同様、「親ロシア派」と「親欧米派」の綱引きがつづいてきました。

2020年11月に当選したマイア・サンドゥ大統領は、バリバリの親欧米派。彼女は、ハーバード大学ケネディ─スクールに留学。その後、世界銀行に勤務していた。

2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻しました。同年3月、危機感を強めたモルドバ政府は、EU加盟申請をしています。「旧ソ連はロシアの勢力圏」と考えるプーチンは、激怒したことでしょう。


▼ロシアの「モルドバ衛星国計画」

さて、プーチンは、「モルドバを属国化する計画がある」ことが暴露されました(中央日報3月16日)。

――ロシアが2030年までにウクライナと国境を接したモルドバを衛星国化する具体的な計画を持っているという暴露が出てきた。ヤフーニュースが14日にウクライナメディアのキーウインディペンデント、独日刊紙南ドイツ新聞などで構成された国際ジャーナリストコンソーシアムとともに入手した文書によると、ロシアは7年以内にモルドバから西側の影響力を完全に遮断し親ロシア政府を建てる計画だと明らかになった。

2021年にプーチン大統領直属の対外協力局から流出したと推定されるこの文書の核心は、モルドバをロシアの衛星国にするというものだ。(以下略)――


この文書は、2021年以前に作られたものなのでしょう。2022年のウクライナ侵攻で、モルドバは、EU加盟申請を急いだ。つまり、ゆっくり工作している時間がなくなった。それで、モルドバでの工作を急ぐことになったと思われます。

読売新聞オンライン2月14日には、

――ウクライナの隣国モルドバのマイア・サンドゥ大統領は13日、ロシアがモルドバでクーデターを計画していると指摘した。
サンドゥ氏は記者会見で、軍事訓練を受けたロシア、ベラルーシ、セルビアなどの外国人が非武装の市民を装って政府機関の建物を攻撃して人質を取り、ロシアが支配する非合法政府に体制を転換する計画をロシアが企てていると述べた。――


というわけで、ロシアは、モルドバで親欧米派サンドゥ政権打倒のクーデターを画策しているようです。

日本には、「欧米がウクライナに武器を供給するから戦争が長引く」などと、トンチンカンな主張をする人たちがいます。もし欧米がウクライナに武器支援をしなければ、ロシアはウクライナ全土を制圧し、今頃モルドバ侵攻を開始していたことでしょう。

欧米がウクライナに武器を支援しているおかげで、プーチンは、モルドバに進めないでいるのです。




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蔡英文・マッカーシー会談後の中国の反応

2023-04-12 00:00:00 | 政治見解



蔡英文・マッカーシー会談後の中国の反応 :230412情報

中米2か国の訪問を終え、経由地のアメリカに滞在した台湾の蔡英文総統は、日本時間の6日未明、西部カリフォルニア州のロサンゼルス郊外でマッカーシー下院議長と会談しました。

アメリカメディアによりますと、台湾の総統が、大統領権限を継承する順位が副大統領に次ぐ2位の要職である下院議長と、アメリカ国内で会談するのは初めてです。

会談後、マッカーシー議長は、「アメリカと台湾のつながりはかつてなく強くなっている。経済的自由と平和、地域の安定を維持することはとても重要だ」と述べました。

これに対し蔡総統は、「われわれの平和と民主主義は今、これまでにない試練に直面している。アメリカ議会からの揺るぎない支援は、台湾が孤立していないとわれわれを安心させるものだ」と応じました。

このあとマッカーシー議長は、超党派の議員らと記者会見し「この場にいるメンバーはみな台湾への支援を重視しており、一致して声をあげていく決意だ」と述べ、台湾を支持する姿勢は超党派で一致していると強調しました。

一方、中国は、外務省の報道官を通じて「断固とした強力な措置をとり、国家の主権と領土の一体性を守る」と述べ何らかの対抗措置をとることを示唆し、中国軍が台湾周辺で軍事演習を行っています。

台湾国防部(国防省)は9日、同日午後4時(日本時間午後5時)時点で、人民解放軍の軍用機延べ70機、艦船延べ11隻を台湾周辺で確認したと発表。そのうち、35機が台湾海峡の中間線を越え、南西の防空識別圏(ADIZ)に侵入を発表しています。

さて、今回の蔡-マッカーシー会談の意味について、国際政治専門家はどう見ているのか、解説をお願いました。



4月5日、アメリカで台湾の蔡英文総統とケビン・マッカーシー下院議長が対談会見をしました。

ホワイトハウスが台湾にものすごい圧力をかけたため、トランジット外交という屈辱的な形にはなりましたが、大統領継承順位が第2位の、つまりアメリカで3番目に重要な政治家と会談したことは台湾にとって大きな出来事です。

しかも場所もいいですね。ソ連とアメリカの冷戦を終わらせて、ソ連共産主義を打ち破ったヒーローであるレーガンの記念図書館で行われたのですから。

マッカーシーは事前に、蔡英文と会うという旨の案内に「President on Taiwan」という敬称を用いました。蔡英文が台湾の大統領(総統)であると言ったのです。これも素晴らしいですね。

外交というのは、形式が内実になりますからここで台湾の総統と呼んだことは非常に蔡英文のポジションを高め、台湾を独立国家として認めるまでの大きな前進であったわけです。

そしてこの会談が成功だったかどうかは中国共産党の反応を見ればよくわかります。

中国共産党側は怒り狂い、蔡英文と会った19名の議員たちに恫喝脅迫のメールを送っています。つまり台湾外交は大成功、アメリカと台湾の同盟関係をさらに強化することができたということです。

それから、18名の議員がマッカーシーと行動をともにしたということは民主党でも共和党でも、台湾を応援することが自分の選挙にも有利であると判断していることの表れです。

台湾の人気、台湾に対するサポートがアメリカの一般大衆の間でも高いということがわかります。

マッカーシーは
・今後バイデン政権に圧力をかけ台湾への武器売却を強化する
・二重課税を解消し台湾との貿易と技術交流を強化する
・台湾に国際舞台で活躍してもらうため、共通の価値観、デモクラシーや自由・人権を米台で広める
この3点に重点を置いて発表しました。

単に会談をするだけでなくその後も責任を持って次の行動に結びつける、それはアメリカの政治家のなかなか素晴らしいところだと思います。



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