国際金融ショック :230406情報
シリコンバレー銀行(SVB)の破綻で始まった国際金融不安は、わずか10日間で米地方銀行の経営不安を超え、欧州の大手金融機関の再編にまで至りました。
米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)の利上げ幅や回数に注視していた従前のムードは吹き飛び、「これで不安が収まったのかどうか」という目先の展開に目を奪われる雰囲気が充満している模様です。
その影響を受けてドイツ最大の銀行であるドイツ銀行の株価が大きく下がり、ショルツ首相は3月24日の会見で「ドイツ銀行はビジネスモデルを根本から近代化、再編成し、非常に収益性の高い銀行になっている」と述べています。
この問題について、経済学者はどう見ているのか、見解を求めました。
ドイツ銀行の話です。ドイツ銀行は2022年の純利益が61億ドル(約8,000億円)もあったので、非常に健全な経営をしているということです。
もともとドイツ銀行はいろいろな問題があったのですが、従業員も大幅に削減して何とか凌いできたのです。
潰れたクレディ・スイスは、昨年80億ドルの損失ですから、比べものになりません。
しかしクレディ・スイスの後、ドイツ銀行も危ないのではということで、3/24には株価が1日で9%も下がりました。とはいえ、ドイツ最大の銀行ですから、何かあっても、政府がまずということはできません。ただし、政府の公的資金をいきなり入れることもしづらいので、まず筋からいって株主に損をしてもらう。
それからドイツ銀行にお金を貸している人たちに損を被ってもらう。そして恐らく預金は全額保証せざるを得ないと思います。預金の保証ができないと、これはもう社会的にパニックになってしまいますからね。
ドイツ政府はその辺りをぬかりなくやると思いますので、この危機はヨーロッパ内に封じ込められた危機ということになるでしょう。
これに関して、日本にどういう影響があるかというと、ヨーロッパの景気が悪くなるということは、その分、そこに対する輸出はマイナスになります。
しかし日本の銀行が危ないのかというと、そういうことはありません。日本が今後、悪影響を受けるとすると、巡り巡って銀行規制をもっと厳しくしようとなってくると困るんですね。
特に、自国の政府が発行している債権、国債を危険資産とみなそうという動きがあると、日本の銀行はものすごく困ります。日本の銀行が貸し渋りを起こして、日本の景気が相当悪くなります。
なぜかというと、日本の銀行は日本国の国債を150兆円も持っているからです。しかし、これは今のところ国際的な銀行の規制の中では、リスクゼロ資産なのです。日本の銀行が日本の国債を買っている限りにおいては、国は必ずお金を返してくれるのでリスクはゼロです。
しかし、これもリスクがあるんだという話になってくると、その分も自己資本を積み増しする必要が出て、日本の銀行はすごく苦しくなります。そんな愚かなことをやらせてはいけないのです。
これに関しては、黒田日銀総裁も国際的に非常に強力に反対してきました。これは黒田さんの一つの功績だと思います。しかし、ドイツを始めとするヨーロッパ、それからアメリカの一部でも、国債もリスク資産とみなせという考え方もあるんですね。
これは間違った考えだと思いますけれども、そういったことに万が一なると日本にも非常に悪い影響が出てきます。
ですが今のところは中規模ぐらいのショックと考えればいいと思います。
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