中東情勢の変化の裏に中露あり :230408情報
アメリカとの関係が濃く、かつ、中東の盟主を自認するサウジアラビアにアメリカ離れともいえる出来事が起きています。
3月10日には、中国の仲介でイスラム教国で最大のライバルであるイランと外交関係の正常化を、23日にはロシアの仲介で、アラブ連盟から参加資格を停止させられているシリアのアサド政権との関係改善をそれぞれ発表しましたが、これまでのサウジアラビアの外交スタイルを一変させるものだけに、中東地域のみならず、アメリカを中心とするいわゆる西側諸国に激震を走らせています。
まず、サウジとイランの関係は、2016年1月にサウジでイスラム教シーア派の指導者が処刑されたことをきっかけに、イラン・テヘランのサウジアラビア大使館が襲撃されたことから、外交関係を断絶していました。それ以来、イスラム教スンニ派が大多数のサウジアラビアと、シーア派が多いイランは、厳しく対立していました。
その上、イスラエルを敵視するイランとイスラエルとの関係改善を進めてきたサウジという構図もありました。このような激しい敵対関係にあった国が手を結ぶということは、裏に大きな利益があることは間違いありません。
また、シリアとは、2011年に始まった内戦をきっかけにアラブ諸国はシリアの反政府勢力側の支援に回り、アサド政権との関係が冷え込んでいました。しかし、内戦をめぐっては、アサド政権が軍事的な勝利をほぼ確実にしてからというもの、アサド大統領は今年に入りオマーンとUAE=アラブ首長国連邦を訪問し手厚い歓迎を受けるなど、シリアと一部のアラブ諸国の間で関係改善に向けた動きも出ていました。
今回、アラブ諸国の中心的な存在でもあるサウジアラビアが、シリアとの関係改善を目指す姿勢を示したことで他の国にも影響を与えそうです。
これらの情勢を踏まえて、国際政治の専門家はどう見るか、見解を求めました。
バイデン外交、2度目の大失態
サウジアラビアとシリアの関係が修復しまして、国交正常化します。なんとロシアの仲介によって外交関係を正常化する模様、とウォール・ストリート・ジャーナルは伝えています。
先日はサウジアラビアとイランの国交正常化を、チャイナが仲介しました。これは石油の値段は下がらず相変わらず経済力の支えとなっていて、アラブの盟主としてのサウジアラビアが復活してきているということだと思います。
そしてバイデンはサウジアラビアを敵視していますから、サウジアラビアもアメリカ離れをして、チャイナ・ロシア寄りの路線をとっているということです。
ですから残念なことに、このバイデン政権が続くほど、中露を中心とする独裁国家群の国際的な影響力が強まっているのです。そして、実はこれは、ウクライナ戦争への影響もあると思います。
どういうことかというと、恐らくアラブの国はウクライナ戦争がロシア有利に展開しているのだと考えているのです。
より具体的に言えば、ロシア系移民の多い、東部のドネツク州、ルガンツク州を独立国として事実上ウクライナ政府にも承認させてやがてはロシア領内に編入していく。そこまでの実力がロシアにはあると踏んでいるのではないかと思います。
そしてさらに、現在のヨーロッパ経済危機もロシア有利を助長している一因でもあるのです。ヨーロッパの経済力が落ちるということは、当然、ウクライナに対する支援力も衰えているということです。ウクライナとしては、戦争継続がより厳しくなってしまいます。
ですから、アラブの国はこの戦争はロシア有利に進んでいると読んでいるのでしょう。
政治と経済が表裏一体となって、ウクライナ戦争の休戦・停戦へと向かっているのではないかと考えます。
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