きのねの本音

染色や木彫り そして気の合う仲間たち
大好きなものに囲まれ シニアライフを楽しんでいます
時には 愚痴や本音もポロリ

記憶のパズルが抜け落ちる

2015-09-13 13:48:36 | 田舎日記
爽やかなお天気になった。
しかし、私の心は晴れなかった。

昨日の夕食時
父が弱々しい声で「左目が見えん!」と、言い出した。
「????」
?マークが一杯の訳は…
父は、戦争で左目を負傷して、ずっと見えない筈だった。

「見えないから、病院に連れて行ってくれ」と、言う。
「お父さんの左目は、戦争で見えなくなったのでしょう」…と聞くと、
「見えてた」と…。

10年前、右目は白内障の手術をしたが、その時、左目は見えないので手術をし無かった筈。
そのことを言うと、「右目は手術したから、よく見える」と、
手術のことは、覚えている様だった。

子供の頃から、戦争で見えなくなったと、聞いていたが、
父の目の前に、手を持って行って、
見えるか見えないか?を、確かめたことなど無かった。
「見えてた」と言う言葉に、
私の頭の方が混乱して来た。

うっすらとでも見えていたのだろうか?
イヤ、そんな筈はない!
傷痍軍人の手帳も持っている。

夜、メールで妹に相談📩
妹も「見えない筈だけど。」と、メールが返って来た。
「明日、落ち着いた時に、もう一度聞いてみるわ」と、メールを送った。

父は自分の人生で、こんな重大なことも、分からなくなっているのか?

父の中の、記憶のパズルは、1ピースづつ抜け落ちて行く。
それを拾って、はめてあげても、
また、何処かが抜け落ちる。

そんな父の姿を見ていると、
いつかは、自分もそうなるのではないか…。
老いていく恐怖と、悲しみに襲われ、
また、イヤな夢にうなされそうで、怖い!

今朝、
朝食後、恐る恐る父に聞いて見た。
「お父さんの左目は、戦争で見えなくなったんだよね」
父は、
今更、何でそんな事を聞くのかと言う顔をして
「そうや」と、答えた。

良かった!
今朝は、いつもの父で…。

「今の内に、大事なことは聞いて書き残して置かなければいけないね」…と、
昨夜、妹と寂しいメールのやり取りをした。









コメント
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