土狸庵ゆめ日記

土タヌキおやじのひとりごと。

一閑楽座考1

2013年11月16日 20時07分42秒 | 一閑張り考


平成5年、一人の暮らしに馴れた頃、
旅先の雑貨店で見つけた、無地の柿渋色の小さな籠、
それが一閑張りとの出会いだった。

妙に作ってみたくなり、いろいろ調べてはみたものの、
当時はこれといった資料も情報も無く、
「古い籠に和紙を張り、表面に柿渋や漆を塗った漆器の一種」
といった説明がせいぜいだった。

そのため、柿渋を求めて奈良の山中に製造元を訪ねたり、
和紙を探して問屋めぐりをしたり、
いくつかの糊を試行錯誤してみたりと、
あれこれ模索の中で作ったのがこの籠。

最初は墨の文字のみで、椿の花は後で入れたもの。

ただ作りたい!という素な想いが感じられて、
ときおり眺めては初心を思い返してみる、
原点ともいえる大切な作品だ。