
朝、自然に目が覚めて、窓から景色を見たときの驚き。
その美しさに目をぱちくりとさせる、子供のような仕草を
自分がついついしていることに気づく。娘を揺り起こす。
「ねえねえ、景色がとってもきれいよ」
少し説明しなくちゃね。
昨日部屋からみた景色は、雲に隠れてエトナ山が顔を出してなかったのだ。
それが、今、朝の澄んだ空気がエトナ山を際だたせていた。白さもその雄大さも!
娘は「ふーん」という感じで、寝ぼけ眼。
この景色を9歳のうちに見られただけで、本当にはとっても
私に感謝すべきなのに、と母としては娘のイマイチな反応を不満に思った。
子供には景色よりご飯のが魅力的ならしい。
「朝食をとりに行こう」というと、飛び起きた。
私たちは伝統あるパラッツォの階段を思いっきり走って、
朝食ルームに向かった。
ホテル内の壁や柱のひとつひとつに装飾が施され、本当に美しいのだが、
もはやどんな人為的なものを神さまが創った自然の景観にはかなわない。
テラスに出た時、

In the beginning God created the heavens and the earth.(創世記1:1)

何だか、嘘みたいに気持ちいい朝食だった。
眼下の美しい景色はもちろん、そよぐ風や
時折り空を飛んでいく小鳥や海を滑っていく小舟・・・。
全てが額縁の中で自由に生命を躍動させていた。
糸杉という種類なのだろうか、
ちょっととんがってこんもりしている杉の木がいっぱいはえていたが、
花粉症の私でもアレルギーが出なくて、助かった。
ヨーグルトにパンにハムにココアにコーヒー。
何の変哲もない朝食メニューだったけど!
自然が織りなす息吹を感じながら、
テラスで味わう朝食は、至福のひととき、でした。