家のいも虫毛虫

 庭に生えた雑草の一本に、スズメガの幼虫がいるのを見つけた。こげ茶色で長さが五センチほどもあるけれど、草の茎にじっとして葉の陰に隠れているから、何もなければ気がつかないだろうが、洗濯物の小さなタオルがその草のそばに落ちたので、それを拾い上げるために身をかがめたら、幼虫が見えた。
 8月の終わりに庭の隅に密生していた雑草を抜いたとき、羽化したばかりだと思われる立派なスズメガが葉っぱの裏に止まっているのを見つけた。庭のどこかでこのスズメガは幼虫時代を過ごしていたのだろうから、その頃の姿をぜひ見たかったものだと思ったが、今になって、このように見ることが出来た。スズメガの幼虫は、しっぽの先につんと長い角のようなものがついているのが特徴のようである。調べてみたら、この幼虫も、その前に見た成虫も、同じキイロスズメという種類らしい。すぐ横にタオルが降ってきたからびっくりしたのかもしれない。上体をうしろに反らせて怒っているみたいだった。
 庭の木や草の葉っぱにはいろんなところにぼこぼこと虫の食った穴があいているが、いったい誰が食べたのか、目を凝らして葉のあいだを探してみても、なかなか正体はつかめない。
 今年はいないようだけれど、去年は羊歯の葉っぱが丸坊主になっていると思ったら、その葉がなくなった軸の部分に丸見えになった毛むくじゃらの茶色い毛虫がしがみついていた。羊歯の葉を食べるなんて変わった虫だなと思ったら、羊歯を食べつくしたあとは、樋のパイプに巻きついていたヘクソカズラの葉を食べ出した。ヘクソカズラはツル植物で、小さな白い花や黄色い実だけを見ると、ひどい名前が気の毒な感じもするが、しかしにおいは名前の通りに臭い。その臭い葉を食べるのだから、まさに蓼食う虫も好き好きだと思う。
 このヘクソカズラを食べる毛虫には、ふさふさの茶色い毛が生えている。毛とか棘とかがついている毛虫はどれもこれも刺すものだと思っていたのだが、そうではなくて、実際に毒がある種類は少ないそうである。イラガとかドクガがその毒の毛虫だが、どちらもときどき庭に発生するから閉口する。ヘクソカズラの毛虫に毒があるかどうかは知らないけれど、もし刺さない毛虫だったとしても、その背中を撫でてみようという気は起こらない、そういったんは思ったけれど、よく考え直してみると、ちょっとだけなら、どんな感触がするのか指の先で触ってみたい気もする。
 今日、公園の近くの空を、モンシロチョウが二匹、くるくる回りながら飛んでいるのを見た。少しずつ、秋が深まってきているが、彼らはいつ頃まで活動するのだろう。そのチョウの子供たちも、今庭にいる毛虫たちも、もしかしたら、蛹の姿で冬を越して、ふたたび出てくるのは、次の春かもしれない。


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