お猫さまも紙がお好き?

 小学生のときに家で飼っていたセキセイインコは、よく紙をかじった。机の上に置いておいたメモ書きの紙とか、チラシとか、段ボール箱のへりとか、そのあたりにある紙は、ことごとくかじられて縁がぎざぎざになっていた。大人しいと思ったら、熱心に作業に取り掛かっていて、インコの周りにはかじり取られた小さな紙くずがいっぱい積もる。それが、何かに驚いて鳥が飛び立った拍子に、翼が起こした風でばらばらに散らかってしまうのだった。
 そういった紙切れは、もうほとんどが捨てられて残っていないのだけど、たまに、納屋から出してきた昔の本のページの端っこや(読みかけて開けたまま机の上に置いておいたりすると、やられるのである)、古い楽譜の帯がぎざぎざになっていたりするのを見つけると、その鳥のいろいろなことが思い出されて懐かしくなる。もう20年以上も前に死んだ鳥のくちばしのあとがいまもこうやって残っている。
 友達が飼っているオカメインコも紙をかじるそうで、ああいうくちばしの曲がったインコやオウムの種類は、紙をかじるのが好きであるらしい。えさになる実のたねを入れた紙箱の口をわざと小さくして、鳥が自分で紙をかじって開けて、中の種を食べられるようにしたおやつ兼おもちゃという商品まである。
 ふくちゃんは猫なのに、ときどき紙をかじる。机の上に置いておいた読み掛けのねこ新聞は端っこが破れてしまったし、手に持っていたトランプの札にじゃれつくから、スペードのエースには小さな穴が開いてしまった。
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