陥没型猫ベッド

 猫はお気に入りの寝場所がよく変わる。年の暮れに、みゆちゃんが落ち着いて眠れるように用意したキューブ型の猫ベッドは、しばらくのあいだ本当に心地よさそうな様子で使っていたにもかかわらず、二週間ほどすると、ちっとも中で眠らなくなってしまった。あるとき、キューブハウスの屋根にそーっと前足を乗せたみゆちゃんが、そのまま体重をかけたので、当然屋根はぼこっと陥没した。その陥没したところで寝るようになった。そしていまは、その前に使っていたかごの中がお気に入りで、屋根がへこんでラウンド型のベッドみたいになってしまったキューブハウスの上では、ふくちゃんが眠っている。
 みゆちゃんは、前々から猫ハウスの屋根、というところが好きである。みゆちゃんが家に来て、最初に段ボールで作った猫ハウスも屋根に乗って、どんどん陥没していって、やがて屋根が抜けた。次に買ったちぐら型の猫ベッドも、しばらくは中で眠ったものの、やっぱりそのうち上に登って屋根をへこませて寝るようになった。
 わざわざ寒くないようにと思ってキューブ型のベッドを買ったのに、上で眠ったのでは意味がない。猫たちがいないあいだに、ベッドの形を整えてもとのキューブ型に戻すのだけれど、寒いときでも中に入らず、やっぱり屋根をつぶして、二匹でくっついて眠っている。そのうちこちらも面倒くさくなってそのままにしておいたら、すっかりひしゃげてしまって、もうもとの立方体に戻らなくなってしまった。
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