ふくちゃんタッチ

 ふくちゃんが足元でにゃあにゃあ鳴くのだけれど、朝ごはんの用意やらで忙しかったので、言葉でだけ、なあに、どうしたの、と返事をしていたら、そのうち、うしろ足で立ち上がって私の体に両手を掛けてきた。
 猫様のほうからそんなお手を掛けていただいた日には、もう朝食の準備も何もあったものではなく、私は、可愛くて重いふくちゃんを抱き上げた。
 甘えん坊のふくちゃんだけれど、抱っこがあまり好きではないのはみゆちゃんと一緒なので、すぐに私のお腹を蹴って飛び下りるかと思えば、珍しく腕の中で丸くなって、あごを反らせてごろごろ言っている。
 どういう風の吹き回しかと思ったけれど、その日の朝が少し冷えた為だと思い当たった。要するに暖を取りに来たらしい。寒い季節には、ふくちゃんは私の背中にのぼったり、部屋着のフリースの上着の中に入って来たりする。
 台風が去って、空が秋めいて、朝晩が涼しくなった。朝起きると、みゆちゃんとふくちゃんがベッドの上で寄り添って眠っていて、あんまり可愛いので、嫌がられるぎりぎり手前と思うところまで、ふたりのふわふわのお腹のあいだに顔をうずめた。
 少しずつ、猫団子の季節がやって来ている。
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