猫心って…

 私が外出から帰ってくるか、みゆちゃんが庭で遊んでいるのをやめて戻ってくるかすると、みゆちゃんは、つとつとつとと、私のそばを何気なく通り過ぎるかのように歩いて、そこでいきなり、ごろんと横に伸びるようにお腹を出して寝転がる。
 ただ寝そべってじっとしているだけで、こっちを見ることもないが、媚びることが嫌いな猫の甘えの表現だと思って、こちらの用事を中断してでも、白いお腹をせっせと撫でてやると、ちょっと目を細めたりしている。
 そこで、やっぱり嬉しいのだと思って、さらに交流を深めようと、みゆちゃんと向かい合うように私もごろんと横になった途端、頭をむっともたげて、まるで興ざめしたような顔をして立ち上がると、鬱陶しそうに尻尾を振ってさっさと向こうへ行ってしまった。
 猫心って、やっぱり、ムズカシイ。


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ちゃめの変心

 ちゃめとはしょっちゅう顔を合わせているのに、なぜかなかなかなついてくれない。鼻のまわりとか首の横をちょっと撫でるくらいなら触らせてくれるけれど、頭や背中を撫でようとすると、ひょいと私の手を避けるように姿勢を下げて向こうへ行ってしまう。もともと、あまり触られることが好きな猫ではないみたいだが、一番お気に入りの父には、顔や頭をこすりつけたり、背中を丸く山型にして撫でられたり、非常に馴れ馴れしいから面白くない。もしかしたら私には、大嫌いなみゆちゃんのにおいがついているのかもしれないなどと思う。
 それがある時、一階の屋根の上で寝そべっているのをベランダから呼んでみたら、にゃあ、と返事をして立ち上がると、こっちへ歩いてきた。呼んで来るということ自体が珍しいことで、何となく今日は触れそうだと思っていたら、案の定、私に寄って来てくれて、あごの下を撫でるとうれしそうに目を細めて首を前に伸ばし、頭を手に預けた。おそるおそる背中を撫でてみると、やっぱり逃げないで、ベランダの手すりの上で腹ばいになって、ごろごろと喉を鳴らしている。ようやく、私がちゃめびいきの父の血縁者だとわかったのかしら、などと思い、気を良くして、さらに機嫌をとっておこうと、飾り棚に仕舞ってある竿の先にネズミのついたおもちゃを取り出して来て、遊んであげた。(ちゃめは、このネズミのおもちゃが飾り棚の、ガラス戸のついた二段目の棚に入っていることを知っていて、よく取っ手に足をかけて立ち上がり、中を覗き込んでは、振り返って母の顔を見て、「遊んでほしい」とにゃーと鳴く。)
 ようやくちゃめと仲良くなれたと思っていたのだが、それが次に会ったときには、半ば予想してはいたけれど、やっぱり前と同じ、撫でようと思ってもそっけない態度である。猫心って、わからない。


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蜂群崩壊症候群

 12日に放送されたNHKのクローズアップ現代では、アメリカで、養蜂家のミツバチが大量に姿を消しているという問題を取り上げていた。
 巣箱の中から、ほとんど群が丸ごといなくなってしまうこの現象は、蜂群崩壊症候群(CCD=Colony Collapse Disorder)と呼ばれていて、農作物には成長過程でミツバチによる受粉を必要とするものが多いことから、農業に深刻な影響を与えつつあるということであった。
 消えてしまったミツバチの死骸が見つからないから、なかなか原因が究明されないらしいけれど、いくつか心当たりはあって、たとえば、栄養の偏りがひとつ。
 カリフォルニア州では、大規模なアーモンドの単一栽培が行われていて、広大な農地には、どこまで行っても整然と植えられたアーモンドの木しかない。そこにミツバチは受粉のために放たれるわけだけれど、ミツバチの行動範囲はせいぜい3~4キロで、どこまで行ってもアーモンドの木しかないアーモンド農園では、ミツバチの食べ物はアーモンドの花粉のみになってしまう。人にとっても偏食は健康によくないのと同じで、アーモンドの花粉しか食べられないミツバチは、いろんな花の花粉を食べているミツバチよりも、寿命がだいぶ短いらしい。
 そのほか、神経系の農薬の影響で巣に戻れなくなったとか、本来なら決まった場所に巣を作り、そこに落ち着いて生活するミツバチなのに、アーモンドの受粉がすめば、数週間後にはりんご畑へ移動させられたりと、環境の変化や輸送によるストレスが大きいことなどがあげられていた。
 これだけ聞いても、ミツバチは相当こき使われているように思うから、CCDの対策として、たとえば、アーモンドの木々のあいだに、いろんな植物を植えてあげるとか、もうちょっとミツバチをいたわったらどうかしらと思うのだけれど、実際に行われているCCD対策の研究はまったく逆のようで、数の減ったミツバチを、どうやったらもっと働かせるかというようなものであるらしい。
 ミツバチは、幼虫の出すフェロモンを感じ取ると、養育しなくちゃという気になって、花粉を集めに飛んで行く。そこで、研究者が考えたのが、人工的に作った幼虫フェロモンで、5センチ角くらいのフィルムみたいなものに、うろ覚えだけれど、20万匹分だったか、膨大な数の幼虫の出すフェロモンに相当する人工フェロモンがついていて、それを巣箱に差し込むと、ミツバチたちは、ものすごい数の幼虫がいると思い込み、大慌てで花粉を集めるのである。見ていて、気の毒であった。「受粉の効率は上るが、ミツバチの寿命が短くなるところが難点」と研究者が言っていたが、そんなこと、当たり前だろうと思う。
 現在養蜂家で使われているのはセイヨウミツバチという種類なのだけれど、CCDによって減ったぶんを、アフリカ種のミツバチで補おうということも研究されている。アフリカ種はセイヨウミツバチよりもタフで効率よく働くが、攻撃性が強くて、人を襲ったりするから、両方の種のいいところだけとろうと、二種を交配させることが試みられている。
 もちろん、そんなふうに自然界のハチに手を加えることに反対する生物学者なんかもいる。これまで、いろんな国や地域で、外来種を持ち込んだために生態系が崩れて、痛い目にあったことがあるだろうに、大丈夫なのか知らんと思う。
 今のやり方は、まるでミツバチを生き物とは思っていなくて、ただの道具としてしか扱っていないようである。ミツバチが働いてくれるおかげでいい目をしているのだから、もうちょっと、ミツバチの労働条件をよくしてあげないといけないのじゃないかしらと思う。


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今度は鯛カマ!

 みゆちゃんお待ちかねの乾しカマを買ってきた。しかも、今度のは「鯛カマ」である(といっても、「乾しカマ」より安かった)。
 さっそく、庭で遊んでいるみゆちゃんに袋を見せて呼んでみたら、パッケージを見ただけでわかるのだろうか、こっちをまっすぐに見据えて小走りに走って来た。近ごろでは、ちょっと家の中に戻ってほしいときなど、煮干をちらつかせたくらいでは、外で遊ぶことの魅力の方が大きくて、全然釣られないのだけれど、やはり乾しカマの効き目は違うようである。
 自分があげたいと申し出た息子が、鯛カマを窓枠に近すぎる場所に落としてしまったから、みゆちゃんは体のうしろ半分を窓の外に残したまま、待ちきれずにもう食べている。窓を開けたままだと蚊が入るから、みゆちゃん、部屋の中に入りなさいと言ってみても、顔を上げる余裕がない。
 開封後の鯛カマは要冷蔵である。したがって、また冷蔵庫を開けるたびに、みゆちゃんが期待して、首を突っ込んでくる。


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雑草抜き

 不精な性格のために、狭い庭の雑草が伸びるがままに今まで放っておいたのだけれど、雨季の活力を得てもっと伸び放題になってしまうと困るし、蚊の温床にもなりそうだし、だいたい、物干し竿にいたる通路が、私が毎朝通って足跡をつけるよりも青草の成長の方がずっと早く、すでに歩ける限界まで繁っているから、思い切って草を抜くことにした。
 小鳥の仕業だろうが、庭には毎年種類の違った草が生えて、今年は蛇いちごが大豊作である。春頃、黄色い花をつけていたのが、いまはまん丸な赤い実がたくさんなっている。
 なぜ「蛇いちご」などという名前がついたのか、蛇が食べると思われたからとか、蛇いちごを食べに来る小動物を食べに蛇が寄ってくるからだとか、あまりに不味いから蛇くらいしか食べないという意味だとか、地面を這う蔓が蛇みたいだからだとか、いろいろ諸説があるらしいけれど、名前でずいぶん損をしている草だなあと思う。
 小学生の頃、裏山のふもとに続く道ばたにたくさんなっていたのを、友達と二人で一生懸命集めたのだけれど、そこへ迎えにやってきた母に「それは蛇いちごよ」と教えられ、全部捨ててしまった。母は特に蛇が嫌いだから、その嫌悪感が、「蛇いちご」の名前といっしょに私にも植えつけられて、今でも蛇いちごを見るとあんまりいい気がしないのだが、そういう先入観をなくして見れば、蛇いちごはかわいい野草だと思う。
 とはいえ長年持ち続けた先入観はそう簡単になくせないし、通路一面に繁っているので、どんどん引っ張って抜いた。
 私が引っ張る草の根っこのあたりの地面では、ダンゴムシが何匹もあたふたとうろたえていて、次々と名前の由来のとおり、団子のように丸くなった。私に対して団子になっても意味がなくて、むしろ短い足でも頑張って逃げた方がまだ有意義だろうに、次々と丸くなって転がるのが可笑しかったけれど、習性なのだから仕方がない。実際には私を敵と認識しているのではなくて、根っこが揺れたりすることによる刺激のために丸くなるのだろう。
 蛇いちごのほかには、葉っぱが丸っこくて、花も実もついていない草が、銀木犀の切り株から塀にかけて、まるで小山のようにこんもり繁っていて、それもほとんど抜いた。
 翌朝、洗濯物を干しに庭に出たとき、すっきりとしているのがどこかしら違和感があるようでもあったけど、自分もやれば出来るという満足感を得た。


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いつまでも

 ちゃぷりが、死んでしまった。あまり突然のことなので、気持ちにまとまりがつかず、事実として受け入れにくい。
 ちゃぷりは、去年の夏死んだネロと同じ年の生まれで、今年10歳、この春先に低温症を患って、一時はかなり悪かったけれど、なんとか持ち直して、そのあとはすっかり回復していたように見えた。ここしばらく、食欲がない日が続いていて、少し弱っていたと聞いていたけれど、まさか、こんなに突然にとは思わなかった。
 今日の午後、雷が鳴って雨が降り始めたから、庭の草むらにいたちゃぷりを家の中に入れようと父が抱き上げたときには、もうだいぶ冷たくなっていたらしい。あわてて、行火を毛布に入れて暖めたけれど、それから10分もしないうちに、もう死んでしまっていたという。
 最期の少し前まで、いつもとあまり変わらない様子で、「にゃあ」と鳴いたりしていて、それが急に、あっけなく死んだ。ほとんど苦しまなかっただろうから、それだけは救いである。
 ちゃぷりは、子猫の頃、ときどき部屋にやって来て、一緒に布団で寝たりしたことがあるけれど、大人になってからは疎遠になって、無愛想だし、要領もよくないし、いつも孤独な感じの猫だった。
 それが、猫人生の半ば頃、ポチに出会って、初めてつれあいといえる存在が出来たのだと思う。猫人生の後半を、ポチとともに過ごし、そして、ポチの後を追うように死んだ。いささか感傷的に過ぎるけれど、そんなふうに思ってしまう。
 実家では、去年から立て続けに猫が死んで、庭の猫の墓は三つになってしまった。
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みゆちゃんの新しい猫じゃらし

 今までに何度か、細い棒の先にウサギの毛とか鳥の羽のついた猫じゃらしを買ったことがあるけれど、こないだ、雑誌のおまけについてきた猫じゃらしは、なかなかつくりがいいと思った。ホームセンターなんかで二本セットで売られている猫じゃらしは、30センチくらいの長さのプラスチックの棒がほぼ一様な太さで作られているのだけれど、このおまけの猫じゃらしは、長さがそれの二倍ほどあって、太さも、グリップの部分が程よい握り具合で、先へ行くほど細くなっているからよくしなり、軽く振ると、先端についた毛の部分が、面白いように揺れる。猫じゃらしを振れば自然、猫が飛び掛りたくなるのと同じように、この猫じゃらしを握れば、自然と振りたくなる。
 さっそく試してみたくなって、そのときみゆちゃんはソファの上で寝ていたのだけれど、頭とか、首の辺りを猫じゃらしでこちょこちょとくすぐってみたら、すぐに目を覚まして、前足をひょいひょいと繰り出してきたので、にんまりした。
 みゆちゃんが乗ってきたので、猫じゃらしを離すと、起き上がって追いかけてくる。足元をくすぐってから、ひょいと上のほうに持ち上げると、つられてみゆちゃんも、二本足で立ち上がった。
 形状に関しては申し分ないのだけれど、先っぽの毛が純毛100パーセントでないところが欠点で、そこが、もうひとつみゆちゃんののりがいまいちな理由だと思われるが、それは、アイロンのあて布と組み合わせることで克服される。
 100円ショップで売っているような、ナイロン地のあて布だけれど、メッシュになっていて透けてみるから、みゆちゃんはこの下で紐とか猫じゃらしをこそこそ動かしてもらうのが大好きで、これをやると、どこにいてもたまらなくなって飛んでくる。勢いつけて布の上に飛び込むと、ナイロンだから布がじゅうたんの上をスーッと滑るのが面白いらしい。たぶん、一度遊んでいるうちにたまたま滑ったのが面白くて、それ以降、わざとよく滑るように飛び込んでくる。
 新しい猫じゃらしは、この遊びをするのに非常に使い勝手がいいから、重宝している。


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動物園の事故

 京都市動物園で、今日、飼育員がトラに襲われて亡くなったというニュースを見た。
 亡くなった飼育員の方は、以前に話をしたことがある人ではないかと思う。よく、檻の外からロープをつけたブイを操って、トラやライオンと遊んであげていた。退屈な檻の中の生活に飽き飽きしている彼らにとっては、楽しいひと時だっただろう。まるで子猫みたいにブイにじゃれついて、ネコパンチしたり、おしりを振って飛び掛ったりしていた。
 その様子を私が見ていると、トラやライオンのことをいろいろ教えてくれて、トラの頭の骨を見せてくれたりした。
 今朝の十時頃、たまたま丸太町のあたりで救急車を見たけれど、もしかしたら、動物園へ向う車だったのかもしれない。
 悲しい事故である。


トラに襲われ飼育員死亡=おりで見合いさせようと・京都市動物園(時事通信) - goo ニュース
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五つ星レストランの味にゃ~(行ったことないけど)

 お昼前に、表で郵便配達のバイクの音が聞こえてきて、家の郵便受けに何か大きなものが入るような音がしたから、そろそろ、月刊誌の「ねこのきもち」が届く頃かしらと思って見に行ったら、郵便屋さんがまだ郵便受けにそのかさばった配達物をねじ込んでいる最中で、こちら側ではみゆちゃんが、郵便受けの口からじわじわと押し込まれてくる「ねこのきもち」を、これはにゃんだとばかり、そばまで寄って観察していた。
 そのみゆちゃんは知っていたのかどうか、袋を開けると、本と付録のドアストッパーのほかに、モンプチの試供品が三種出てきた。ドライフード二種類と、レトルトパックになったウェットフードが一種類で、ウェットフードの方は、「本日のお魚 まぐろ 海の香るソース添え」とまるでどこかの高級レストランのメニューみたいな名前がついている。
 まぐろの切り身にカニカマとソースが絡めてあって、見るからに美味しそうだから、さっそくお皿へ入れてみゆちゃんに勧めたら、さも美味しそうに、ぺろぺろと食べ出した。目を細めて、もう本当に幸せそうに食べるのである。
 最後まできれいに舐め尽して、もうないの、という顔をしている。モンプチのパッケージでご満悦の表情の、公爵みたいな白猫と見比べると、なんだか、不相応にセレブのディナーを食べた庶民、といった感じだが、満足して前足で顔を洗う様子は、こころなしか、いつもより優雅であるように見える。
 普段から贅沢はさせないようにと思っているのに、こんな幸せそうな顔を見てしまったら、時々ならいいかななどとついつい考えてしまうから、まったく猫好き相手の商売というのは、うまいものだと思う。


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猫の絵本「ともだち」(文・松谷みよ子、絵・渡辺三郎)

(注意:ネタバレあります)
 猫の本があるとついつい手を出してしまうのと一緒で、子供に買ってやる絵本も、いろんなものを万遍なくと頭では思いつつ、やっぱり猫の絵本が多くなってしまう。
 「ともだち」(文:松谷みよ子、絵:渡辺三郎)も、アマゾンで出ていたのを、すぐに買ってしまった。
 港町に住む青い目の猫は、自分の目と同じ青い色をしたインコと友達になりたかったのだけれど、インコが飛んで逃げてしまったのでその後を追いかけて行って、インコと一緒に外国行きの船に乗り込むことになる。船の中で猫とインコは仲良くなるのだが、あるとき、船がインコの故郷の島のそばを通った。小鳥がたくさん飛び交う小さな島にインコは帰りたがる。猫は決心して、鳥かごを倒して逃がしてやるのである。猫にとってインコはたった一人の友達だったけれど、その友達のために、猫はそうするのが一番いいと思った。
「ふねは あおい うみを どこまでも はしっていきました」最後のページに描かれた、広い海の青い色が、心に沁みるようである。もう、水平線の向こうに小さくなってしまった、猫の乗る船。
 松谷みよ子さんの文はもちろん、渡辺三郎さんの描く、猫の青い大きな目が悲しみをいっぱいにたたえていて、忘れられない。猫の目の色、小鳥の羽の色、海の色。その青と同じくらい透き通っていて、美しい物語である。
 最近、年のせいかやたら涙もろくなって、子供に読んでやりながら、声が震えないようにこらえるのが大変である。息子には、まだ青い目の猫がとった行動の本当の意味はわからないのだろう。読み終わるとすぐ、次はこれを読んでと別の本をもってきたが、今度はストーリーに起伏のない汽車の本だったので助かった。
 だけど、草原をどこまでも走っていく汽車の本を音読しながら、たったひとり船に乗って、知らない土地へと向っていく猫の孤独を考えたら、どうしようもなく切なくなって、やっぱりちょっと泣きそうになった。


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ともだち (復刊傑作幼児絵本シリーズ 2) (復刊傑作幼児絵本シリーズ 2)
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