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雀庵の「常在戦場/93 毛沢東と習近平(下」

2021-10-07 07:01:17 | 日記
雀庵の「常在戦場/93 毛沢東と習近平(下」
“シーチン”修一 2.0


【Anne G. of Red Gables/373(2021/10/7/木】習近平は肥大化した“戦狼”中共軍をコントロールできているのか、それとも逆にコントロールされているのか・・・中共軍は数年前から習近平に逆らうような行動が目立っている。


南シナ海島嶼の占拠と軍事基地化、国境問題を抱えるインドへの挑発行為、台湾防空識別圏への威嚇的な戦闘機侵入、尖閣諸島への領海領空侵犯・・・まるで戦争を挑発するかのよう。「敵になめられるな、強気に出ろ!」と習近平を脅しているようにさえ見える。


習近平は紅二代の特権階級のくせに、国家主席に就任するや、反腐敗闘争と称して“虎退治、蠅叩き”の汚職摘発を名目に軍幹部をも大量に粛清し、軍から私欲のタネ、生き甲斐を奪っていった。今、習は軍からそのリベンジを受けているのかもしれない。


軍を掌握しているのかどうかすこぶる怪しい習近平に比して、紅軍を創り育てた毛沢東は偉かった。


1927年、国民党と中国共産党の合作(1924~1927年)は破れ、毛沢東と朱徳の両軍は合流して井岡山など地方に逼塞、農村革命根拠地=解放区を造っていく。窮余の策なのか、「農村から都市を包囲せよ」「敵が来れば引っ込む、敵が去れば押し出す」といった毛沢東独特のゲリラ戦、遊撃戦は、座右の愛読書「水滸伝」からアイディアを得たのだろう。この戦略論は、国民党軍に追い詰められていた1929年あたりにほぼできあがったようだ。


毛のゲリラ戦理論は今でもタリバンやビンラディンのアルカイダ、イスラム国(IS、ISIS)などイスラム過激派の教本になっているとか。アフガン・タリバンの戦い方は「山に籠って、隙があれば都市を包囲し敵を追い出す」、まさに毛沢東流、世界最強の米軍まで尻尾を巻いて逃避行。大したものだよ、毛沢東!


中国では旧暦9月9日(2021年は10月14日)の「重陽の節句」は、山などの高いところに登り、遙かな地にいる家族や友人を偲ぶのだそうだ。1929年10月、毛沢東は詩「重陽」でこう詠った。


人生老い易く 天老い難し 歳歳の重陽 
今また重陽 戦地の黄花は 分外に香(かんば)し
一年一度 秋風勁(つよ)く 春光に似ず
春光に勝れるは 寥廓(りょうかく)たる 江天 万里の霜


ジャーナリスト竹中労は毛の想いを汲んでこう訳している(「水滸伝 窮民革命のための序説」)。


「36歳の誕生日を今私は迎えようとしている。嗚呼、人間老いやすく、天地自然は永遠。青春は去っていくが、その年々に重陽はめぐりきたり、蘭花は咲き誇る。ことのほか戦地の花に芳香を感ずるのは、私が老いたゆえだろうか。


風はためく秋の一日、戦火を目前に控えた陣中で、密かに花を愛でる私を嗤うが良い。時は過ぎ去っていく、頭上を吹いていく風の如くに。果てしなく広がる蒼天よ、どこまでも流れる大河よ、万里の向こうまで白く降りた朝霜よ、空を山を旭日は染めて、小春日和の到来を告げ知らせているのだが、私にはこのきびしく凛と澄み渡った秋の冷気が好もしい。さあ戦いを始めよう、紅軍第三次の進軍に赴くのだ」


天下取りの英雄たらんという若き毛沢東の気分を盛り込んだ上手い訳だ。それから20年後に毛は天下を取る・・・この詩が実際に1929年に書かれたどうかはともかくも「役者だなあ」と実に感心する。毛は常に「英雄を演じている」、日本ならまるで鶴田浩二や高倉健、名優のよう。大したものだ。


カリスマ性と言うのだろうか・・・習近平は外見も毛沢東を真似ているようだが、知的な感じや温和な愛嬌あるオーラが感じられないから、むしろスターリンに似ているという見方もあるようだ。毛は1億人、スターリンは4000万人、ポルポトはカンボジア全人口の2~3割にあたる150万~200万を殺した。「一人の死は悲劇だが、100万人の死は統計(に過ぎない)」というのは“鉄血”スターリン自身の言葉らしいが、あな恐ロシア、いやはや、大物は凄まじい。


タニマチかつ保護者のスターリンが死ぬと毛は俄然元気になって脱ソ連、フルシチョフなんぞくそくらえ、1964年には東京五輪の最中に核実験をして「してやったり」、日本はバカの一つ覚えで「極めて遺憾」との官房長官談話。この60年間「遺憾に思う」「誠に遺憾」「遺憾千万」「遺憾の意を表明」「遺憾に堪えない」・・・「遺憾」一筋、ほとんど「遺憾極まりない」体たらく。


習は毛を越えるためには1億人は殺さなくてはならないが、それでも14億人口のたった7%! 毛沢東は「核戦争で半分死んでもまだ3億もいる、大体、我が国は人口が多過ぎる」と豪語していたから、習は7億を殺しても「なんてことない」と思っているだろう。ただの統計・・・。


「人間の命は大切だ」なんて為政者が思うようになったのは欧米でも精々この100年、「日本人は猿ではなかった」「白人以外も同じ人間なのだ」と理解し始めたのはここ50~70年ほど前だから、いずこの国も偉そうなことは言えやしないが、「自由民主人権法治」の価値観が全くない中共、習近平にとって人命なんて未だに屁の河童。兵士は戦時には大事だが、庶民なんぞは兵士を生み育てる道具ぐらいにしか評価していないだろう。「戦争するから2、3人産んでくれ」だってさ。率先垂範、習は妾に産ませたらいい。人工授精、人工人間という手もある。


支那大陸は有史以来「為政者のための国であり、庶民は為政者のための家畜、奴隷」、そういう価値観だろう。秦始皇帝陵の建設に動員された民は最終工事が終われば人柱として、あるいは機密保持のため殺されたのではないか。


「(秦始皇帝陵で発掘された遺骨のうち)鑑定を行った121体は全て15〜45歳の男性で、平均年齢は24歳。死因は過酷な労働によるものと見られている。DNAを鑑定した結果、ほとんどが南方から駆り出された少数民族だった」(中国新聞網2009/8/12)。偉大なる中華民族、万歳!


来年2~3月の北京冬季五輪パラは海外からの観客は受け入れないらしい。大量の人質を確保するチャンスなのに、習近平は「国際社会で賞賛を得たい」のか、信心に濁りがあるようだ。だから軍から侮られるのではないか。毒を食らわば皿まで、この際だから突っ走れ!


習近平の意向がどうあれ、中共軍は五輪が終われば台湾武力侵攻を始めるだろう。同時に台湾海峡、南シナ海を制圧する、手応えが良ければ東シナ海へも戦線を広げる・・・ガチンコの近現代戦の経験が乏しい中共軍は初戦は奇襲と勢いとで上手くいっても、やがて反撃に遭うから戦線を3か月とか半年、維持できるのかどうか。


伝統的に中共軍が得意なゲリラ戦なら「敵が引けば出る、敵が出れば引く」という機動力を発揮できるが、海を渡って敵地に乗り込んでいる中共軍は逆に台湾軍の神出鬼没のゲリラ戦に苦しむのではないか。


なにしろ台湾は「山地、丘陵地が全島面積の2/3を占めている山岳中心の地形」で、制圧はとても難しい。かつては日本軍も20年間(1895~1915年)大いに苦しまされた。下手をすると中共軍の上陸部隊は海に追い落とされて溺死しそう。彼らは水泳が苦手とか。ランドパワーの国柄なのだ。


台湾軍は侵略を受けたら「三峡ダム」をミサイルで破壊して長江(揚子江)一帯の農工業地帯を水没させるらしい。英国は第2次大戦でドイツのダム2つを破壊し、水利と発電に大きなダメージを与えたという。洪水に遭うと民は泥だらけ、食糧もなくなり戦意を喪失しそうだ、「ああ、早く戦争終わらないかなあ・・・」。


中共は「大国なのに小さな日本に侵略されてひどい目に遭った、それなのに日本を駆逐したのは米国で、自分たちの手柄ではない、残念無念だ。しかも日本は敗戦国なのに20年、30年で経済大国になり、一方で我らは貧しいままだ、悔しいなあ、いつか恨みを晴らしたい」というのがトラウマだろう。


敗戦で惨めな思いをし、今なお米国の妾のままの日本としては、その気持ちは分かる。怨敵退散は夢である。ただ、ドンパチだけが夢を実現する方法ではない。ドンパチは遺恨を残すから永遠にその繰り返しになってしまう。恩讐の彼方に「解」はあるのだろうが、絶対的なワクチンはない。


でき得るのは多分「ブロック化」だろう。1930年代のそれは上手くいかなかったようだが、今の「EU」や北米の「 NAFTA」、日本などが進めている「TPP」など、基本的な価値観を共有する国家同士の経済圏や、さらに「NATO」「QUAD」「AUKUS」など軍事・安全保障同盟といった、自由民主人権法治という価値観を共有する「ブロック化2.0」――


これは、中共、ロシアといった「共産主義独裁圏」に対する包囲網であり、安全保障面で非常に有効だろうと思う。またイスラム教系の「アラブ圏」もできるかもしれない。それぞれの「ブロック圏」がそれぞれの価値観で、他のブロック圏とは基本的に交流しない。10年、20年ほどもたてば「中露独裁圏」はソ連のように自壊するのではないか。


今の“戦狼”中共は世界の禍の元でしかない。「ブロック化2.0」で包囲すれば中共内部で軍閥が内戦を始め、疲弊の末に新しいいくつかの国が生まれるのではないか。とにかく中国が今の14億もの人口を抱えた一党独裁国でなくなることは、世界にとっても大いに結構な前進ではないだろうか。魯迅「故郷」に曰く――


「想うに、希望というものは一体所謂「ある」とも言えないし、所謂「ない」とも言えないものだ。それはちょうど地上の路のようなものである。本当を言えば地上にはもともと路はあるものではない、行き交う人が多くなれば路はその時出来て来るのだ」


支那の民の奮闘努力に期待したい。(先進諸国の本音は「支那を今一度洗濯いたし申候」だけれど、14億人の国とガチンコのケンカ・・・考えただけでめまいがする。内戦で決着をつけてくれと願うしかない。我らの武器は鉄壁な中共包囲網だけである)


目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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