雀庵の「常在戦場/91 効き目ある“サナダムシ戦略”」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/371(2021/10/2/土】小生はカール・マルクスに洗脳されて除染に苦しんだが、今はマルクス・ガブリエル著「世界史の針が巻き戻るとき」に苦しんでいる。
<マルクス・ガブリエルは2009年7月に史上最年少の29歳でボン大学教授に着任し、認識論・近現代哲学講座を担当すると同時に、同大学国際哲学センター長も務めている。過去にはカリフォルニア大学バークレー校の客員教授も務めた。
複数の言語(ドイツ語、英語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語、中国語)を自在に操り、また古典語(古代ギリシャ語、ラテン語、聖書ヘブライ語)にも習熟している>(WIKI)
「読者は予めかなりの関連知識を有していることが求められる」とも“警告”があるから、一種の異能、異才、小生が苦しむのも当たり前か。最近「天才哲学者マルクス・ガブリエルが語るコロナ後の未来と倫理」というインタビューが YouTube で紹介され、内容がWIKIにもあった。こう語っている。
<「新型コロナ前の世界に戻りたい」は、絶対に不可能だ。コロナ前の世界はよくない。私たちは開発速度があまりに早すぎたため、人間同士の競争で地球を破壊した。2020年に起きたことは最後の呼びかけだった。自然が「今のようなことを続けるな」と訴えるかのようだった。「新型コロナ前の世界に戻りたい」という願望があれば、それは間違いだ。
非常に裕福な人たちは、コロナ危機で稼いでいる。得た利益をパンデミックで苦しんでいる人や国に分け与えるべきだ。コロナをきっかけに、世界の価値観の中心が倫理や道徳になるべきで、私はこれを「倫理資本主義」と呼び、ポストパンデミックの産物になりうると考える。
環境問題や貧困など世界的な問題は、グローバル経済が過度に利益を追求し過ぎた結果だと考える。増えた富は倫理観に基づき再配分するが、これが完璧なインフラだ。倫理と経済は相反するものではない。富とは富を共有する可能性で、他者のためによいことをする可能性だ。
人類は連携すべきだが、現実は分断している。アメリカと中国いずれの国も世界を支配するとは思わない。その点では超大国は存在しない。単に力のある国家が存在するだけだ。
絶対的な覇権への幻想など気にせずに今までとは異なる組織が必要だ。新しい啓蒙思想を作るためには同盟関係を結ぶべきだ。
パンデミックは何事も可能だということを示した。世界的なロックダウンなど、不可能だと思えることが現実に起きた。不可能に見えるが、国々が連携し、二極対立をしているアメリカと中国よりも強力な同盟を構築すべきだ。両国は善良なことはしていない。兵器に対する潜在的な対立を形成している。だから両国の間かその周辺で第三の方法を探さねばならないと考えている。
自由民主主義に代わるものがあるとは考えていないが、ロックダウンは民主的な政策ではなく、ワクチン接種こそが民主的政策だと考えている。コロナ危機に対し、民主主義よりも効率的な解決策を講じた制度があると思うのは幻想だ。問題はウィルスが生物学的現象だということだ。法律ではウィルスを制御できない。どう行動するかが問題だ。
ヨーロッパの死者数は100万人をはるかに超えたが、それでも民主主義は健在だ。共産党の独裁主義が民主主義国家よりもうまく対処したとはいえない。中国のプロパガンダに過ぎない。将来について、啓蒙思想、すなわち倫理や哲学が勝つと考えている>(以上)
2つの世界大戦で世界は「戦争はこりごりだ」と国連(United Nationsなのだから連合国機構とかに訳すべし)に「啓蒙、倫理、哲学による戦争抑止機能」を期待したのだろうが、70年ちょっとしか過ぎていないのにその機能は大きく揺らいでいる。理念が良くても人類は地球に登場してからずーっと戦時と平時を繰り返してきたのだから、死屍累々の戦争や疫病蔓延を根絶することはできやしない。
ペスト(14世紀の欧州人口半減)やコレラ(日本の幕末、文久2/1862の流行では麻疹/はしかの流行も加わり江戸だけで23万人以上(7万人とも)が死亡)と比べれば、医療の発達により現在のコロナ禍なんぞ危機でもなんでもない。実際に「新型コロナウイルスの累計感染者は世界で2億3363万人、死者は477万人」(日経2021/10/1データ)。死者は世界人口75億人の0.6%、しかもそのほとんどは現役世代を終えた老人だろう。日本の死者は0.02%、金メダルの優等生だ。
現在の世界は「最強ウィルスの中共との戦争」が喫緊の課題である。これは哲学や宗教ではなくリアルな観察と予想、理想系や夢想系ではないリアリズムだ。この世は「悪い予感はよく当たる」(太宰治)のである。
どうも小生はドイツ人というのが分からないが、「理想は理想、現実の対処はリアリズムで考える」という現実主義の能力が弱いのではないか。
明治維新からの日本の国造りにおいてドイツ、特に宰相ビスマルクは大きな影響を与えたから、日本人はついこないだまで「ドイツ人は優秀だ、ドイツ製の工業製品は世界最先端だ」と敬意を表していたものだ。まあ、片思いだろうけれど。
宰相ビスマルクはバラバラだったドイツ民族を統一したが、言論統制というか異端を許さない民族性、「我こそ正義」病を蔓延させたような気配がある。
<ビスマルクは1862年にプロイセン国王ヴィルヘルム1世からプロイセン首相に任命され、軍制改革を断行してドイツ統一戦争に乗り出した。1867年の普墺戦争の勝利で北ドイツ連邦を樹立し、ついで1871年の普仏戦争の勝利で南ドイツ諸国も取り込んだ統一国家「ドイツ帝国」を樹立した。プロイセン首相に加えてドイツ国首相も兼務し、1890年まで強力にドイツを指導した。
文化闘争や社会主義者鎮圧法などで反体制分子を厳しく取り締まる一方、諸制度の近代化改革を行い、また世界に先駆けて全国民強制加入の社会保険制度を創出する社会政策を行った。卓越した外交力で国際政治においても主導的人物となり、19世紀後半のヨーロッパに「ビスマルク体制」と呼ばれる国際関係を構築した>(WIKI)
「文化闘争や社会主義者鎮圧法などで反体制分子を厳しく取り締まる」・・・当時は欧米でも「自由民主人権法治」が定着していない時代だったのだろう、ビスマルクは「文化大革命」の元祖のような「文化闘争=Kultrkampf」で苛烈なカトリック迫害を行った。伊藤貫著「歴史に残る外交三賢人」から。
<この迫害によって数千人の司祭が懲役刑もしくは国外追放処分を受けた。カトリック関係者は全ての教育制度から排斥され、政治問題に関する意見を述べることすら禁止された。イエズス会は国外追放され、カトリックの修道院もすべて閉鎖された。信じがたい蛮行であった。
しかしドイツ議会の多数派であった国民自由党と、当時のドイツの金融業とマスコミを支配していたユダヤ人たちは、この「文化闘争」に大喜びしていた。ドイツの“リベラルで開明的”な政治家と言論人たちは、ドイツ帝国内の宗教的な少数派である“知的・道徳的に劣るカトリック”が言論の自由、宗教活動の自由、政治行動の自由などの基本的人権を剝奪されたことを歓迎していたのである>
で、伊藤先生、ドイツはどうなったのですか?
<この熾烈な文化闘争はドイツ国内のカトリック勢力を弱体化させるのには何の役にも立たなかったが、ドイツ国民全体のキリスト教に対する不信感や侮蔑感を強めるには大きな役割を果たした。過去1600年間、西欧文明の基礎となって来たキリスト教的な世界観と人間観を、1870年代以降、多くのドイツ国民が失っていったのである。
そして形而上的な価値規範を持たなくなったドイツ人は、物質主義、技術崇拝主義、社会主義、共産主義、ニヒリズム、覇権主義、ファシズム、ナチズムなどの「粗悪なイデオロギー」に惹かれていった。
ちなみに欧米諸国の“リベラル”な知識人や“進歩的”ユダヤ人がカトリックに対して露骨な侮蔑を剝き出しにするのは21世紀になっても続いている現象である>
我が母は「人は好き好きケナスは野暮よ、イワシの頭も信心から」とよく言っていたが、多神教の日本に生まれてホント、良かったと思う。それにしても「文化闘争」という言葉は2004年までアメリカの自由主義者(民主党)と保守主義者(共和党)の両方に広く使われていたという。先の米大統領選はプロテスタント原理主義 vs 無宗教・共産主義みたいな面もあったから、「文化闘争」はこれからも続きそうだ。
「粗悪なイデオロギー」は一種の麻薬か宗教か、はたまた主義思想か、ドイツ人は相変わらず大好きなようである。「ドイツ総選挙、16年ぶり社民党が第1党 連立行方は混沌」日経2021/9/27から。
<26日投開票のドイツ連邦議会選挙(総選挙)は中道左派、ドイツ社会民主党(SPD、社民党)が、メルケル首相の所属する中道右派、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)に僅差で勝利した。社民党は16年ぶりに第1党となるが、過半数には及ばず、誰が後継首相になるかは連立協議次第だ。協議はかなりの時間がかかるとみられ、行方は混沌としている。
選挙管理委員会の暫定最終結果によると、社民党が25.7%(前回2017年は20.5%)で、CDU・CSUの24.1%(同32.9%)を上回った。環境政党の緑の党が14.8%(同8.9%)、産業界寄りの自由民主党が11.5%(同10.7%)、極右のドイツのための選択肢が10.3%(同12.6%)、旧共産党系の左派党が4.9%(同9.2%)で続く>
「ドイツ総選挙、瀕死のSPD(社民党)が蘇り『左派政権』誕生の可能性大 誰がこんなことを想像しただろう」と在独の川口 マーン 惠美氏は嘆いている(現代ビジネス9/24)。
<ドイツとEUを変えたメルケルの功罪・・・肝心のメルケル氏だが、全国で自党の議員たちが苦戦しているというのに、応援にも出ない。ところが、8月30日には、グリーンピースの創立50周年式典に出席して、力強いお祝いのスピーチをしていた。これには、皆、唖然。
グリーンピースは世界的なネットワークだが、その活動は合法の領域を飛び越え、ほとんど極左のそれと見紛うものも多い。そういう組織のお祝いに、自党が焦げ付いている選挙戦の真っ最中、現職の首相が駆け付け、彼らの「功績」を褒め称えたのである。
私は前々から、ヨーロッパで一番大きな保守党CDUを率いるメルケル氏は、実は社会主義者であると唱えてきたが、氏は今や、それを隠そうともしていない。16年間のメルケル政権の終わりに、ヨーロッパの真ん中に脆弱化した保守党が残されたが、これは決して偶然ではない。
3月、拙著『メルケル 仮面の裏側』で、私は東独時代のまだ政治家ではなかった頃より現在までのメルケル像を詳しく追った。1989年、消えゆく東ドイツの混沌の中で誕生した謎の人物は、30余年かけて、ドイツを、そしてEUを変えることに成功したのではないか。
メルケル氏の過去は、追えば追うほど、まるでサスペンス物のようなスリルがある。一つ確実に言えるのは、もし、メルケル氏が(保守党CDUではなく)最初からSPD(ドイツ社会民主党)にいれば、ドイツはここまで簡単に左傾化しなかっただろうということだ。
選挙が終わった後、連立交渉は長引くだろう。今年中に片付くかどうかも疑問だ。来週からは、政治そっちのけの、ピュアな権力闘争と権謀術数を見物することができるはずだ>
保守党(組織)に静かに潜り込んで、やがては保守党(組織)を乗っ取り、利用する・・・革マル教祖、黒田寛一の「サナダムシ戦略」。立民の枝野も民主党に潜り込んで民主党を乗っ取ったと小生は思っているが、これは今でも十分使える手法だろう。
習近平はボンクラを装って海千山千の党長老他、みーんなを油断させて14億の帝国を乗っ取ったのだから大したものだ。親父の習仲勲は「目立つな、好人物を装え、さもないと俺のように叩かれる」と訓示していたに違いない。
サナダムシ戦略、武士道にもとる嫌らしい感じの技だが、悪貨は良貨を駆逐する、日本でも大いに流行しそうだ。屋山太郎 日本戦略研究フォーラム会長・政治評論家「自民党中枢に食い込む親中派――中国観を改めよ」2021/9/29から。
<日本の親中派は「日米安保条約で日本は安泰なのだから、日本は中国と仲良くし、米中の間を取り持たなくてはならない」という。米国におためごかしを言いながら、日本は中国と仲良くして利益を得ようという発想である。
その代表的な派閥が宏池会である。93年、河野洋平官房長官が根拠のない「官房長官談話」を出したが、この時の総理が宮沢喜一氏である。
麻生太郎氏や河野太郎氏は一時この宏池会に籍を置いたが、なじめないので宏池会から脱会した。しかし河野太郎氏の対中観は父親と全く変わらないのではないか。
その理由として河野家は中国に太陽光パネル関係の会社を3社持っている。菅首相が進めた脱炭素事業は2030年には現在56%の火力発電を41%に下げる内容になっている。河野氏は表ではカーボンニュートラルの騎手気取りだが、実は日本で減らした熱エネルギー分を中国の太陽光パネルを買って調達しなければならない。
日本の太陽光パネル業者はあらかた中国に敗れて中国が世界の8割のパネルを作っているという。「国策だ!」と言って、中国の自分の会社から買うこともあるだろう。古来日本では政治家は商売をしないのが決まりだとだけ言っておく。
中国の王毅外相は、ある会合で岸田文雄氏を見つけて別室に連れ込み「君は宏池会じゃないか」とささやいたという。もう少し中国をかばってくれということだが、事ほど左様に自民党中枢に親中派が食い込んでいるのだ。
中国はウイグル方式でチベットなど周辺民族を漢族に同化させてきた。自治だけでは不安だから押しつぶして合併するのは共産主義の方式で、そのおかげで75年続いてきた。しかしこの方式は「ここまででよし」とする限界がない。中国が揺らぐまで我々が頑張るしかないのだ>
産経の“レッドスワン”黒瀬悦成ワシントン支局長は10/1異動で日本本社勤務になった。多分、閑職。彼はやがて退職してアカ系の組織、例えば地方の大学とかに移るか、それとも週刊金曜日か。赤色脳の除染は「これまでの自分を否定する」ことでとても苦しいが、それをしなければこれからの人生はただの余生になる。黒瀬クン、再起三起を目指せ! 安西先生曰く「あきらめたらそこで試合終了」。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/371(2021/10/2/土】小生はカール・マルクスに洗脳されて除染に苦しんだが、今はマルクス・ガブリエル著「世界史の針が巻き戻るとき」に苦しんでいる。
<マルクス・ガブリエルは2009年7月に史上最年少の29歳でボン大学教授に着任し、認識論・近現代哲学講座を担当すると同時に、同大学国際哲学センター長も務めている。過去にはカリフォルニア大学バークレー校の客員教授も務めた。
複数の言語(ドイツ語、英語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語、中国語)を自在に操り、また古典語(古代ギリシャ語、ラテン語、聖書ヘブライ語)にも習熟している>(WIKI)
「読者は予めかなりの関連知識を有していることが求められる」とも“警告”があるから、一種の異能、異才、小生が苦しむのも当たり前か。最近「天才哲学者マルクス・ガブリエルが語るコロナ後の未来と倫理」というインタビューが YouTube で紹介され、内容がWIKIにもあった。こう語っている。
<「新型コロナ前の世界に戻りたい」は、絶対に不可能だ。コロナ前の世界はよくない。私たちは開発速度があまりに早すぎたため、人間同士の競争で地球を破壊した。2020年に起きたことは最後の呼びかけだった。自然が「今のようなことを続けるな」と訴えるかのようだった。「新型コロナ前の世界に戻りたい」という願望があれば、それは間違いだ。
非常に裕福な人たちは、コロナ危機で稼いでいる。得た利益をパンデミックで苦しんでいる人や国に分け与えるべきだ。コロナをきっかけに、世界の価値観の中心が倫理や道徳になるべきで、私はこれを「倫理資本主義」と呼び、ポストパンデミックの産物になりうると考える。
環境問題や貧困など世界的な問題は、グローバル経済が過度に利益を追求し過ぎた結果だと考える。増えた富は倫理観に基づき再配分するが、これが完璧なインフラだ。倫理と経済は相反するものではない。富とは富を共有する可能性で、他者のためによいことをする可能性だ。
人類は連携すべきだが、現実は分断している。アメリカと中国いずれの国も世界を支配するとは思わない。その点では超大国は存在しない。単に力のある国家が存在するだけだ。
絶対的な覇権への幻想など気にせずに今までとは異なる組織が必要だ。新しい啓蒙思想を作るためには同盟関係を結ぶべきだ。
パンデミックは何事も可能だということを示した。世界的なロックダウンなど、不可能だと思えることが現実に起きた。不可能に見えるが、国々が連携し、二極対立をしているアメリカと中国よりも強力な同盟を構築すべきだ。両国は善良なことはしていない。兵器に対する潜在的な対立を形成している。だから両国の間かその周辺で第三の方法を探さねばならないと考えている。
自由民主主義に代わるものがあるとは考えていないが、ロックダウンは民主的な政策ではなく、ワクチン接種こそが民主的政策だと考えている。コロナ危機に対し、民主主義よりも効率的な解決策を講じた制度があると思うのは幻想だ。問題はウィルスが生物学的現象だということだ。法律ではウィルスを制御できない。どう行動するかが問題だ。
ヨーロッパの死者数は100万人をはるかに超えたが、それでも民主主義は健在だ。共産党の独裁主義が民主主義国家よりもうまく対処したとはいえない。中国のプロパガンダに過ぎない。将来について、啓蒙思想、すなわち倫理や哲学が勝つと考えている>(以上)
2つの世界大戦で世界は「戦争はこりごりだ」と国連(United Nationsなのだから連合国機構とかに訳すべし)に「啓蒙、倫理、哲学による戦争抑止機能」を期待したのだろうが、70年ちょっとしか過ぎていないのにその機能は大きく揺らいでいる。理念が良くても人類は地球に登場してからずーっと戦時と平時を繰り返してきたのだから、死屍累々の戦争や疫病蔓延を根絶することはできやしない。
ペスト(14世紀の欧州人口半減)やコレラ(日本の幕末、文久2/1862の流行では麻疹/はしかの流行も加わり江戸だけで23万人以上(7万人とも)が死亡)と比べれば、医療の発達により現在のコロナ禍なんぞ危機でもなんでもない。実際に「新型コロナウイルスの累計感染者は世界で2億3363万人、死者は477万人」(日経2021/10/1データ)。死者は世界人口75億人の0.6%、しかもそのほとんどは現役世代を終えた老人だろう。日本の死者は0.02%、金メダルの優等生だ。
現在の世界は「最強ウィルスの中共との戦争」が喫緊の課題である。これは哲学や宗教ではなくリアルな観察と予想、理想系や夢想系ではないリアリズムだ。この世は「悪い予感はよく当たる」(太宰治)のである。
どうも小生はドイツ人というのが分からないが、「理想は理想、現実の対処はリアリズムで考える」という現実主義の能力が弱いのではないか。
明治維新からの日本の国造りにおいてドイツ、特に宰相ビスマルクは大きな影響を与えたから、日本人はついこないだまで「ドイツ人は優秀だ、ドイツ製の工業製品は世界最先端だ」と敬意を表していたものだ。まあ、片思いだろうけれど。
宰相ビスマルクはバラバラだったドイツ民族を統一したが、言論統制というか異端を許さない民族性、「我こそ正義」病を蔓延させたような気配がある。
<ビスマルクは1862年にプロイセン国王ヴィルヘルム1世からプロイセン首相に任命され、軍制改革を断行してドイツ統一戦争に乗り出した。1867年の普墺戦争の勝利で北ドイツ連邦を樹立し、ついで1871年の普仏戦争の勝利で南ドイツ諸国も取り込んだ統一国家「ドイツ帝国」を樹立した。プロイセン首相に加えてドイツ国首相も兼務し、1890年まで強力にドイツを指導した。
文化闘争や社会主義者鎮圧法などで反体制分子を厳しく取り締まる一方、諸制度の近代化改革を行い、また世界に先駆けて全国民強制加入の社会保険制度を創出する社会政策を行った。卓越した外交力で国際政治においても主導的人物となり、19世紀後半のヨーロッパに「ビスマルク体制」と呼ばれる国際関係を構築した>(WIKI)
「文化闘争や社会主義者鎮圧法などで反体制分子を厳しく取り締まる」・・・当時は欧米でも「自由民主人権法治」が定着していない時代だったのだろう、ビスマルクは「文化大革命」の元祖のような「文化闘争=Kultrkampf」で苛烈なカトリック迫害を行った。伊藤貫著「歴史に残る外交三賢人」から。
<この迫害によって数千人の司祭が懲役刑もしくは国外追放処分を受けた。カトリック関係者は全ての教育制度から排斥され、政治問題に関する意見を述べることすら禁止された。イエズス会は国外追放され、カトリックの修道院もすべて閉鎖された。信じがたい蛮行であった。
しかしドイツ議会の多数派であった国民自由党と、当時のドイツの金融業とマスコミを支配していたユダヤ人たちは、この「文化闘争」に大喜びしていた。ドイツの“リベラルで開明的”な政治家と言論人たちは、ドイツ帝国内の宗教的な少数派である“知的・道徳的に劣るカトリック”が言論の自由、宗教活動の自由、政治行動の自由などの基本的人権を剝奪されたことを歓迎していたのである>
で、伊藤先生、ドイツはどうなったのですか?
<この熾烈な文化闘争はドイツ国内のカトリック勢力を弱体化させるのには何の役にも立たなかったが、ドイツ国民全体のキリスト教に対する不信感や侮蔑感を強めるには大きな役割を果たした。過去1600年間、西欧文明の基礎となって来たキリスト教的な世界観と人間観を、1870年代以降、多くのドイツ国民が失っていったのである。
そして形而上的な価値規範を持たなくなったドイツ人は、物質主義、技術崇拝主義、社会主義、共産主義、ニヒリズム、覇権主義、ファシズム、ナチズムなどの「粗悪なイデオロギー」に惹かれていった。
ちなみに欧米諸国の“リベラル”な知識人や“進歩的”ユダヤ人がカトリックに対して露骨な侮蔑を剝き出しにするのは21世紀になっても続いている現象である>
我が母は「人は好き好きケナスは野暮よ、イワシの頭も信心から」とよく言っていたが、多神教の日本に生まれてホント、良かったと思う。それにしても「文化闘争」という言葉は2004年までアメリカの自由主義者(民主党)と保守主義者(共和党)の両方に広く使われていたという。先の米大統領選はプロテスタント原理主義 vs 無宗教・共産主義みたいな面もあったから、「文化闘争」はこれからも続きそうだ。
「粗悪なイデオロギー」は一種の麻薬か宗教か、はたまた主義思想か、ドイツ人は相変わらず大好きなようである。「ドイツ総選挙、16年ぶり社民党が第1党 連立行方は混沌」日経2021/9/27から。
<26日投開票のドイツ連邦議会選挙(総選挙)は中道左派、ドイツ社会民主党(SPD、社民党)が、メルケル首相の所属する中道右派、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)に僅差で勝利した。社民党は16年ぶりに第1党となるが、過半数には及ばず、誰が後継首相になるかは連立協議次第だ。協議はかなりの時間がかかるとみられ、行方は混沌としている。
選挙管理委員会の暫定最終結果によると、社民党が25.7%(前回2017年は20.5%)で、CDU・CSUの24.1%(同32.9%)を上回った。環境政党の緑の党が14.8%(同8.9%)、産業界寄りの自由民主党が11.5%(同10.7%)、極右のドイツのための選択肢が10.3%(同12.6%)、旧共産党系の左派党が4.9%(同9.2%)で続く>
「ドイツ総選挙、瀕死のSPD(社民党)が蘇り『左派政権』誕生の可能性大 誰がこんなことを想像しただろう」と在独の川口 マーン 惠美氏は嘆いている(現代ビジネス9/24)。
<ドイツとEUを変えたメルケルの功罪・・・肝心のメルケル氏だが、全国で自党の議員たちが苦戦しているというのに、応援にも出ない。ところが、8月30日には、グリーンピースの創立50周年式典に出席して、力強いお祝いのスピーチをしていた。これには、皆、唖然。
グリーンピースは世界的なネットワークだが、その活動は合法の領域を飛び越え、ほとんど極左のそれと見紛うものも多い。そういう組織のお祝いに、自党が焦げ付いている選挙戦の真っ最中、現職の首相が駆け付け、彼らの「功績」を褒め称えたのである。
私は前々から、ヨーロッパで一番大きな保守党CDUを率いるメルケル氏は、実は社会主義者であると唱えてきたが、氏は今や、それを隠そうともしていない。16年間のメルケル政権の終わりに、ヨーロッパの真ん中に脆弱化した保守党が残されたが、これは決して偶然ではない。
3月、拙著『メルケル 仮面の裏側』で、私は東独時代のまだ政治家ではなかった頃より現在までのメルケル像を詳しく追った。1989年、消えゆく東ドイツの混沌の中で誕生した謎の人物は、30余年かけて、ドイツを、そしてEUを変えることに成功したのではないか。
メルケル氏の過去は、追えば追うほど、まるでサスペンス物のようなスリルがある。一つ確実に言えるのは、もし、メルケル氏が(保守党CDUではなく)最初からSPD(ドイツ社会民主党)にいれば、ドイツはここまで簡単に左傾化しなかっただろうということだ。
選挙が終わった後、連立交渉は長引くだろう。今年中に片付くかどうかも疑問だ。来週からは、政治そっちのけの、ピュアな権力闘争と権謀術数を見物することができるはずだ>
保守党(組織)に静かに潜り込んで、やがては保守党(組織)を乗っ取り、利用する・・・革マル教祖、黒田寛一の「サナダムシ戦略」。立民の枝野も民主党に潜り込んで民主党を乗っ取ったと小生は思っているが、これは今でも十分使える手法だろう。
習近平はボンクラを装って海千山千の党長老他、みーんなを油断させて14億の帝国を乗っ取ったのだから大したものだ。親父の習仲勲は「目立つな、好人物を装え、さもないと俺のように叩かれる」と訓示していたに違いない。
サナダムシ戦略、武士道にもとる嫌らしい感じの技だが、悪貨は良貨を駆逐する、日本でも大いに流行しそうだ。屋山太郎 日本戦略研究フォーラム会長・政治評論家「自民党中枢に食い込む親中派――中国観を改めよ」2021/9/29から。
<日本の親中派は「日米安保条約で日本は安泰なのだから、日本は中国と仲良くし、米中の間を取り持たなくてはならない」という。米国におためごかしを言いながら、日本は中国と仲良くして利益を得ようという発想である。
その代表的な派閥が宏池会である。93年、河野洋平官房長官が根拠のない「官房長官談話」を出したが、この時の総理が宮沢喜一氏である。
麻生太郎氏や河野太郎氏は一時この宏池会に籍を置いたが、なじめないので宏池会から脱会した。しかし河野太郎氏の対中観は父親と全く変わらないのではないか。
その理由として河野家は中国に太陽光パネル関係の会社を3社持っている。菅首相が進めた脱炭素事業は2030年には現在56%の火力発電を41%に下げる内容になっている。河野氏は表ではカーボンニュートラルの騎手気取りだが、実は日本で減らした熱エネルギー分を中国の太陽光パネルを買って調達しなければならない。
日本の太陽光パネル業者はあらかた中国に敗れて中国が世界の8割のパネルを作っているという。「国策だ!」と言って、中国の自分の会社から買うこともあるだろう。古来日本では政治家は商売をしないのが決まりだとだけ言っておく。
中国の王毅外相は、ある会合で岸田文雄氏を見つけて別室に連れ込み「君は宏池会じゃないか」とささやいたという。もう少し中国をかばってくれということだが、事ほど左様に自民党中枢に親中派が食い込んでいるのだ。
中国はウイグル方式でチベットなど周辺民族を漢族に同化させてきた。自治だけでは不安だから押しつぶして合併するのは共産主義の方式で、そのおかげで75年続いてきた。しかしこの方式は「ここまででよし」とする限界がない。中国が揺らぐまで我々が頑張るしかないのだ>
産経の“レッドスワン”黒瀬悦成ワシントン支局長は10/1異動で日本本社勤務になった。多分、閑職。彼はやがて退職してアカ系の組織、例えば地方の大学とかに移るか、それとも週刊金曜日か。赤色脳の除染は「これまでの自分を否定する」ことでとても苦しいが、それをしなければこれからの人生はただの余生になる。黒瀬クン、再起三起を目指せ! 安西先生曰く「あきらめたらそこで試合終了」。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」