続/習近平・中国は末期症状
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」308/通算739 2024(令和6)年7/8/月】このところ33~35℃の猛暑が常態化している。7/6は体力のない小生は外の仕事を諦めたが、早朝にカミサンが看護学校の同期会で1泊2日の温泉へ出かけたので、簡単な2Fベランダ「すのこ」のペンキ塗りを楽しんだ。多動爺は肉体とオツムを動かしていないと生きている気がしないのである。「ほとんどビョーキ」だ。今朝は屋上に住み着いてスズメの餌場を荒らすネズミ(3匹ほど?)対策をし、続いて外廻りの排水パイプの定期点検と掃除をしたが、もう汗びっしょりになりシャワーを浴びた。焦っていたのでお湯ではなく水浴びになってしまったが・・・若い頃のプールを思い出したのは面白かった。
早朝7時から2~3時間の作業で疲れ果てるとベッドに横たわるが、今は永井荷風の作品を夢中になって読んでいる。荷風の趣味&生き甲斐&仕事は、墨田川と荒川放水路に挟まれた古き良き江戸の面影や陋巷(ろうこう)の散策で、「大丈夫なのか」と心配になるほどの熱意であれこれ観察しており「ほとんどビョーキ」、今風で言えば「オタク」である。
荷風の作品はほとんど再読、三読しているのだが、幸いにも小生は読んでもほとんど忘れてしまうという才能?がある上、読むたびに新しい発見があり、なんとなく小生は荷風に親近感を覚える。当時も今も荷風ファンは結構いそうだが、それを表立って言うと“変人”扱いされかねないから皆、そーっと読んで楽しんでいるのではないか。ベッドに横たわって「ふふふ、まったく面白い奴だ」と思いながら眠りにつく・・・まことに至福である。荷風の作品は不眠症に効くのではないか? お試しあれ。もっとも荷風自身は不眠症で昼夜逆転になり、だからこそ夕から夜の世相を描くことができたのだが・・・閑話休題。
1年前の産経2023/7/22、柯隆・東京財団政策研究所主席研究員へのインタビュー「改正反スパイ法 中国は全て監視 連携し自衛強化」を転載する。
<【前書き】 2023年7月1日に中国で施行された「改正反スパイ法」はスパイ行為の定義を拡大し、規制対象も曖昧だ。これまで以上に当局による恣意的な摘発が可能となることに日本企業からも懸念の声があがる。中国経済に詳しい東京財団政策研究所の柯隆(か・りゅう)主席研究員は「今まで問題なかったことでもこれからは問題になる」と指摘。中国の駐在員らは「100%監視されていると自覚すべきだ」と警鐘を鳴らし、リスク管理の徹底や毅然とした対応の重要性を説く。(聞き手 永田岳彦)
・・・・・・・・・
【以下は柯隆氏の論】 まず念頭に置くべきは、日本や米国、欧州で言われている中国に関するタブーと中国国内におけるタブーの違いだ。また、中国におけるタブーは過去の政権で許されてきたものと今の政権では異なる。習近平政権でも昔はタブーでなかったが、今はタブーとなっている場合もある。時代とともに状況が変わっていることはしっかり認識すべきだろう。
◎近づきすぎない: 駐在員らが個人でできる対策は限られるが、大きく3点をまず指摘したい。1点目は、人民解放軍の施設など明確にわかる国家機密には近づかないことだ。まして写真撮影などは絶対ダメだ。
2点目は中国のビジネスパートナー、とりわけ中国政府や中国共産党の幹部とは、友人として親しくなっていたとしても正式な窓口を通じて面会などをすべきだ。また、そうしたビジネスパートナーとの面会は資料のある個室の執務室ではなく、誰でも利用可能な会議室などで必ず会うべきだ。執務室の机の上に国や中国共産党の機密文書があれば、意図せず国家機密に近づいたことになる。
3点目は、中国人のビジネスパートナーと会食する場合に、無理に話題提供などしない方がいい。変な話題を提供して、レッドラインを踏むと大変なことになる。タブーはチベット、ウイグルといった少数民族や習近平国家主席のこと以外でも多く存在する。
また、大企業の中には、中国駐在歴が長く、広大な人脈を持つ駐在員がいるが、こうした人は中国の権力闘争に巻き込まれやすいので注意が必要だ。決して人脈をひけらかさず、権力闘争に巻き込まれるリスクを意識しながら中国側のビジネスパートナーとは付き合わないといけない。
◎毅然と対応して: 日本企業は他の外国企業に比べるとリスク管理意識が若干薄い。まずは情報収集や分析で、日本企業同士で相互に助け合うことが大事だ。加えて、業界団体や経済団体も会員企業の従業員を守るため対応を強化する必要がある。欧米企業の中国駐在員との情報交換も重要だ。欧米企業の情報収集能力は非常に高い。先進7カ国(G7)の経済団体などが、中国進出時に情報共有や対策を話し合うための連携強化の仕組みも検討すべきだ。
実際に社員が反スパイ法で逮捕された場合、違法行為はしていないと毅然と対応すべきだ。当該社員を解放しないなら、中国から撤退するなどの駆け引きも含めた交渉にあたるべきだ。中国も日本を含む外国企業の中国離れは避けたいのが本音だからだ。
◎景気減速と連動: もう1つ強調したいのは、今回の反スパイ法改正の背景には中国政府の不安の表れがあるということだ。中国では景気減速が足元で鮮明になる中、失業率が高まっており、社会不安が増している。中国が一番恐れているのは、海外企業の進出に伴ってスパイも入り込み、国内の不満分子や反体制派と結びつき、現在の統治体制が揺らぐことだ。
外国企業に投資を呼びかけながら、反スパイ法を改正し取り締まりを強化することは一見すると矛盾しているようにみえるが、中国の考えではそうではない。中国は基本的には統治の強化と経済成長は両立できると思っている。中国で最も重要視されているのは現在の統治体制の維持だ。
ビジネス上、今までよかったことでも、今後は問題になる可能性もある。国家機密や国家の安全を脅かすといった反スパイ法が指すものは不明確だからだ。中国の経済が成長軌道に戻らず、景気が減速するほど取り締まりも増えるだろう。
日本政府や経済団体、企業のリスク管理意識を高めて、反スパイ法から自国民をきちんと守るための明確な戦略が必要だ>
以上は1年前の論。まったく正論である。柯隆氏の最新の論稿は2024/7/4「米中新冷戦の内実――アメリカ大統領選以降の米中関係の展望」(東京財団政策研究所)。以下、その一部を引用する。
<アメリカ大統領選は本格的な政策論戦に突入している。この段階でバイデン大統領とトランプ前大統領のどちらが優勢かは判断できないが、両者の論戦を聞く限り、対中政策について、両者の考えは、濃淡の差こそあるが、おおむね対中経済制裁を厳しくする方向で一致している。このままいったら、米中貿易戦争はますます激化する可能性が高い。なぜならば、両者の相互信頼関係が完全に崩れてしまったからである。
アメリカで行われた世論調査によると、8割以上のアメリカ人は中国のことをよく思っていないといわれている。アメリカは民主主義の国であり、アメリカ人の対中国民感情が悪化している状況を考えると、アメリカ政府が中国に対して譲歩することはますます難しくなっている。バイデン大統領とトランプ前大統領は大統領選を繰り広げ、政策論争を行っているが、中国に対して厳しい姿勢で臨まないといけない点については完全に一致している。
しかも、コロナ禍を経験して、アメリカ企業はあらためてサプライチェーンを中国に集約させる場合のリスクを再認識させられた。むろん、ここですべてのサプライチェーンを中国以外の国へ移転させることはできない。JETROの提案通り、「中国+1」か「中国+α」が望ましいと考えられる。
◎ウクライナに対するロシア侵攻のインパクト: ソ連が崩壊したあと、ロシアは民主化したはずだが、気が付いたら、プーチン氏が率いるロシアは再び独裁国家と化している。フランシス・フクヤマ氏の予言とは裏腹に(対立、熱戦、冷戦の)歴史がまだ終焉していない証拠である。
アメリカにとって中ロ同盟の結成は明らかに悪夢である。独裁者プーチンはウクライナに侵攻して、既存の国際秩序に挑戦している。一方の習近平国家主席も憲法を改正して、もともと定められていた任期制を撤廃させ、自らが終身的な国家元首、すなわち、新たな皇帝になろうとしている。
米中の相互信頼関係が崩れてしまった現状において、アメリカ政府は中国をロシア以上の脅威と認識しているようである。ワシントンにある戦略国際問題研究所(CSIS)が行った調査では、三分の二ほどのアメリカ人有識者は米中関係を安定的に維持することは台湾有事を阻止するうえで有効であると答えている。アメリカが避けなければならないのは、ウクライナ戦争が終結する前に、中国が台湾に侵攻することである。
◎米中対立の新展開: 今のところ、習近平政権は硬直的かつ挑戦的な戦狼外交を改める兆しはない。ただし、コロナ禍の後遺症とアメリカをはじめとする先進国の経済制裁により、雇用が悪化し、経済成長が大きく落ち込んでいる。グローバル社会は台湾有事の可能性を懸念しているが、現状では、中国が台湾に侵攻する可能性は高くない。軍上層部では腐敗が横行しており、国防部長(大臣)だった二人の幹部が追放されたばかりである。これは軍に対する統率がうまくいっていない証拠である。
習近平主席にとってプライオリティの高い政策は自らへの求心力を強化することである。経済成長が大きく落ち込むなかで、共産党への求心力が高まるどころか、社会不安が増幅するリスクが高まっている。
対外的にみると、中国はロシアからさらなる経済援助と軍事援助が要請されているが、このままロシアに対する援助を増やすと、欧米諸国はさらに制裁を厳しくする可能性がある。習近平主席が悩むのはロシアや欧米諸国とのバランスをいかに取るかという点である。とくに中国がハイテク技術を欧米諸国に依存する現状において、欧米諸国との関係を安定的に維持することは重要である。
一方のアメリカでは、中国とデカップリングするか、デリスキングするかについて議論が続いているが、簡単にいえば、かつての米ソ冷戦と違って、アメリカにとってゼロチャイナ、すなわち、完全なデカップリングではなくて、ウィズチャイナになるだろう。ウィズチャイナだからこそリスクをきちんと管理する必要がある。
ただし、習近平主席が心配しないといけないのは、トランプ前大統領が当選し、プーチンとのディールが成功した場合、予期せぬ悪夢になってしまうことである。プーチン大統領は演説のなかでアメリカにとっての真の脅威はロシアではなく、中国だと言っている。
結論的に米中露のトライアングルがどのような形で落ち着くかはまだわからないが、アメリカ大統領選をきっかけに駆け引きがますます激化する可能性が高い。習近平主席にとって内憂外患の困った状況が当面続くものと思われる。アメリカの対中戦略がかつての蜜月に戻る可能性は低く、ウクライナ戦争が終結しても、米中対立が続くものと思われる。
最後に、この米中関係の変化による日本への影響について論じたい。日本経済と日本企業にとって中国は重要な市場である。ただし、安全保障は日米同盟に大きく依存している。仮にトランプ前大統領が当選した場合、アメリカの安全保障政策と通商政策は大きく変化する可能性が高い。そこで問われるのは日本の独自の戦略と政策である。
まず、東アジア地域の地政学リスクを管理するために、日米同盟をさらに強固にする必要がある。一方、経済について、ウィズチャイナの戦略を日本独自で打ち出していかなければならない。これは簡単な作業ではないが、習近平政権との対話をレベルアップして、作業を続ける努力が求められている>以上
上記の論で小生が気になった点はいくつかある。「JETROの提案通り、『中国+1』か『中国+α』が望ましいと考えられる」の出典は不明だが、生産・販売において「中国への依存を減らしリスクを回避すべし」ということなら正論だ。それにしても日本国際貿易促進協会(国貿促)や日中友好協会などは「土下座すれば習近平閣下は商売をさせてくださる」という姿勢で、危機意識も日本人としての誇りもない“銭ゲバ守銭奴”のよう。産経によると河野洋平(通称=江(沢民)の傭兵)が日本企業幹部ら90人を引き連れて訪中し、7/1に「人的交流をもっと積極的に」と呼び掛けたそうだが、時代錯誤も甚だしい。つける薬なし。
柯隆氏は「グローバル社会は台湾有事の可能性を懸念しているが、現状では、中国が台湾に侵攻する可能性は高くない。軍上層部では腐敗が横行しており、国防部長(大臣)だった二人の幹部が追放されたばかりである。これは軍に対する統率がうまくいっていない証拠である」と説く。
しかし、習近平の友達のプーチンはウクライナ侵略の真最中でも気に入らない国防省の次官や参謀次長ら幹部を次から次と粛清・追放し、政治&軍事基盤しっかりを固めている。真似っ乞食の習近平も「台湾に侵攻するために非戦的な軍幹部を粛清し、己の命令に忠実な将兵で固めたい」と当然思っているだろう。「台湾に侵攻する可能性は高くなっている」と見るべきではないか。
「東アジア地域の地政学リスクを管理するために、日米同盟をさらに強固にする必要がある。一方、経済について、ウィズチャイナの戦略を日本独自で打ち出していかなければならない。これは簡単な作業ではないが、習近平政権との対話をレベルアップして、作業を続ける努力が求められている」・・・これも随分変な見方だ。対話すれば習近平は日本、台湾、フィリピンなど隣国を侵略しない、と言いたげである。
習は小学5年生あたりから20歳ほどまで毛沢東の文革浸け、「毛主席語録」で育っている。「鉄砲から政権が生まれる」「革命は武力、戦争による政権の奪取、問題の解決である」・・・習は生粋の毛沢東チルドレンであり、建国の父・毛と並び、さらに毛を上回る業績で「発展の父」として歴史に刻まれることを目指しているだろう。「毛を上回る業績」とはインド・太平洋を軍事力で制圧して米国と並ぶ「大中華帝国」を創ることだ。「戦争で勝つ」ということが箔をつけるのである。
習近平・中共の暴発的侵略に備えて多くの国は軍事力強化を進めている。各国の元首が習近平と対話し「平和と安定」を約束したところで「ただの紙切れ」と無視するのが習近平流だ。ヒトラー・ナチスドイツのように不可侵条約から1年ほど経てば平気で侵略を始めるのが独裁者のやり方だ。習とWinWinになったところで首根っこと金玉を握られるだけで「平和と安定」の実効性はゼロだろう。ウィズチャイナで儲けたい、習の奴隷になってもいい・・・その手の人はこんな思いなのだろう。
♪あなたと逢ったその日から 恋の奴隷になりました あなたの膝にからみつく小犬のように だからいつもそばにおいてね 邪魔しないから 悪い時はどうぞぶってね あなた好みの あなた好みの女になりたい(奥村チヨ 「恋の奴隷」)
カネの奴隷・・・銭ゲバ、拝金教徒多過ぎ! 過ぎたるは猶及ばざるが如し、日本を取り戻そう! 柯隆先生も舌鋒を取り戻して習近平・中共殲滅戦へイザッ!(石平氏のように日本国籍を取った方がよろしいのではないですか?)
・・・・・・・・・
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
必殺クロスカウンター https://www.mag2.com/m/0001690154.html
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“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」308/通算739 2024(令和6)年7/8/月】このところ33~35℃の猛暑が常態化している。7/6は体力のない小生は外の仕事を諦めたが、早朝にカミサンが看護学校の同期会で1泊2日の温泉へ出かけたので、簡単な2Fベランダ「すのこ」のペンキ塗りを楽しんだ。多動爺は肉体とオツムを動かしていないと生きている気がしないのである。「ほとんどビョーキ」だ。今朝は屋上に住み着いてスズメの餌場を荒らすネズミ(3匹ほど?)対策をし、続いて外廻りの排水パイプの定期点検と掃除をしたが、もう汗びっしょりになりシャワーを浴びた。焦っていたのでお湯ではなく水浴びになってしまったが・・・若い頃のプールを思い出したのは面白かった。
早朝7時から2~3時間の作業で疲れ果てるとベッドに横たわるが、今は永井荷風の作品を夢中になって読んでいる。荷風の趣味&生き甲斐&仕事は、墨田川と荒川放水路に挟まれた古き良き江戸の面影や陋巷(ろうこう)の散策で、「大丈夫なのか」と心配になるほどの熱意であれこれ観察しており「ほとんどビョーキ」、今風で言えば「オタク」である。
荷風の作品はほとんど再読、三読しているのだが、幸いにも小生は読んでもほとんど忘れてしまうという才能?がある上、読むたびに新しい発見があり、なんとなく小生は荷風に親近感を覚える。当時も今も荷風ファンは結構いそうだが、それを表立って言うと“変人”扱いされかねないから皆、そーっと読んで楽しんでいるのではないか。ベッドに横たわって「ふふふ、まったく面白い奴だ」と思いながら眠りにつく・・・まことに至福である。荷風の作品は不眠症に効くのではないか? お試しあれ。もっとも荷風自身は不眠症で昼夜逆転になり、だからこそ夕から夜の世相を描くことができたのだが・・・閑話休題。
1年前の産経2023/7/22、柯隆・東京財団政策研究所主席研究員へのインタビュー「改正反スパイ法 中国は全て監視 連携し自衛強化」を転載する。
<【前書き】 2023年7月1日に中国で施行された「改正反スパイ法」はスパイ行為の定義を拡大し、規制対象も曖昧だ。これまで以上に当局による恣意的な摘発が可能となることに日本企業からも懸念の声があがる。中国経済に詳しい東京財団政策研究所の柯隆(か・りゅう)主席研究員は「今まで問題なかったことでもこれからは問題になる」と指摘。中国の駐在員らは「100%監視されていると自覚すべきだ」と警鐘を鳴らし、リスク管理の徹底や毅然とした対応の重要性を説く。(聞き手 永田岳彦)
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【以下は柯隆氏の論】 まず念頭に置くべきは、日本や米国、欧州で言われている中国に関するタブーと中国国内におけるタブーの違いだ。また、中国におけるタブーは過去の政権で許されてきたものと今の政権では異なる。習近平政権でも昔はタブーでなかったが、今はタブーとなっている場合もある。時代とともに状況が変わっていることはしっかり認識すべきだろう。
◎近づきすぎない: 駐在員らが個人でできる対策は限られるが、大きく3点をまず指摘したい。1点目は、人民解放軍の施設など明確にわかる国家機密には近づかないことだ。まして写真撮影などは絶対ダメだ。
2点目は中国のビジネスパートナー、とりわけ中国政府や中国共産党の幹部とは、友人として親しくなっていたとしても正式な窓口を通じて面会などをすべきだ。また、そうしたビジネスパートナーとの面会は資料のある個室の執務室ではなく、誰でも利用可能な会議室などで必ず会うべきだ。執務室の机の上に国や中国共産党の機密文書があれば、意図せず国家機密に近づいたことになる。
3点目は、中国人のビジネスパートナーと会食する場合に、無理に話題提供などしない方がいい。変な話題を提供して、レッドラインを踏むと大変なことになる。タブーはチベット、ウイグルといった少数民族や習近平国家主席のこと以外でも多く存在する。
また、大企業の中には、中国駐在歴が長く、広大な人脈を持つ駐在員がいるが、こうした人は中国の権力闘争に巻き込まれやすいので注意が必要だ。決して人脈をひけらかさず、権力闘争に巻き込まれるリスクを意識しながら中国側のビジネスパートナーとは付き合わないといけない。
◎毅然と対応して: 日本企業は他の外国企業に比べるとリスク管理意識が若干薄い。まずは情報収集や分析で、日本企業同士で相互に助け合うことが大事だ。加えて、業界団体や経済団体も会員企業の従業員を守るため対応を強化する必要がある。欧米企業の中国駐在員との情報交換も重要だ。欧米企業の情報収集能力は非常に高い。先進7カ国(G7)の経済団体などが、中国進出時に情報共有や対策を話し合うための連携強化の仕組みも検討すべきだ。
実際に社員が反スパイ法で逮捕された場合、違法行為はしていないと毅然と対応すべきだ。当該社員を解放しないなら、中国から撤退するなどの駆け引きも含めた交渉にあたるべきだ。中国も日本を含む外国企業の中国離れは避けたいのが本音だからだ。
◎景気減速と連動: もう1つ強調したいのは、今回の反スパイ法改正の背景には中国政府の不安の表れがあるということだ。中国では景気減速が足元で鮮明になる中、失業率が高まっており、社会不安が増している。中国が一番恐れているのは、海外企業の進出に伴ってスパイも入り込み、国内の不満分子や反体制派と結びつき、現在の統治体制が揺らぐことだ。
外国企業に投資を呼びかけながら、反スパイ法を改正し取り締まりを強化することは一見すると矛盾しているようにみえるが、中国の考えではそうではない。中国は基本的には統治の強化と経済成長は両立できると思っている。中国で最も重要視されているのは現在の統治体制の維持だ。
ビジネス上、今までよかったことでも、今後は問題になる可能性もある。国家機密や国家の安全を脅かすといった反スパイ法が指すものは不明確だからだ。中国の経済が成長軌道に戻らず、景気が減速するほど取り締まりも増えるだろう。
日本政府や経済団体、企業のリスク管理意識を高めて、反スパイ法から自国民をきちんと守るための明確な戦略が必要だ>
以上は1年前の論。まったく正論である。柯隆氏の最新の論稿は2024/7/4「米中新冷戦の内実――アメリカ大統領選以降の米中関係の展望」(東京財団政策研究所)。以下、その一部を引用する。
<アメリカ大統領選は本格的な政策論戦に突入している。この段階でバイデン大統領とトランプ前大統領のどちらが優勢かは判断できないが、両者の論戦を聞く限り、対中政策について、両者の考えは、濃淡の差こそあるが、おおむね対中経済制裁を厳しくする方向で一致している。このままいったら、米中貿易戦争はますます激化する可能性が高い。なぜならば、両者の相互信頼関係が完全に崩れてしまったからである。
アメリカで行われた世論調査によると、8割以上のアメリカ人は中国のことをよく思っていないといわれている。アメリカは民主主義の国であり、アメリカ人の対中国民感情が悪化している状況を考えると、アメリカ政府が中国に対して譲歩することはますます難しくなっている。バイデン大統領とトランプ前大統領は大統領選を繰り広げ、政策論争を行っているが、中国に対して厳しい姿勢で臨まないといけない点については完全に一致している。
しかも、コロナ禍を経験して、アメリカ企業はあらためてサプライチェーンを中国に集約させる場合のリスクを再認識させられた。むろん、ここですべてのサプライチェーンを中国以外の国へ移転させることはできない。JETROの提案通り、「中国+1」か「中国+α」が望ましいと考えられる。
◎ウクライナに対するロシア侵攻のインパクト: ソ連が崩壊したあと、ロシアは民主化したはずだが、気が付いたら、プーチン氏が率いるロシアは再び独裁国家と化している。フランシス・フクヤマ氏の予言とは裏腹に(対立、熱戦、冷戦の)歴史がまだ終焉していない証拠である。
アメリカにとって中ロ同盟の結成は明らかに悪夢である。独裁者プーチンはウクライナに侵攻して、既存の国際秩序に挑戦している。一方の習近平国家主席も憲法を改正して、もともと定められていた任期制を撤廃させ、自らが終身的な国家元首、すなわち、新たな皇帝になろうとしている。
米中の相互信頼関係が崩れてしまった現状において、アメリカ政府は中国をロシア以上の脅威と認識しているようである。ワシントンにある戦略国際問題研究所(CSIS)が行った調査では、三分の二ほどのアメリカ人有識者は米中関係を安定的に維持することは台湾有事を阻止するうえで有効であると答えている。アメリカが避けなければならないのは、ウクライナ戦争が終結する前に、中国が台湾に侵攻することである。
◎米中対立の新展開: 今のところ、習近平政権は硬直的かつ挑戦的な戦狼外交を改める兆しはない。ただし、コロナ禍の後遺症とアメリカをはじめとする先進国の経済制裁により、雇用が悪化し、経済成長が大きく落ち込んでいる。グローバル社会は台湾有事の可能性を懸念しているが、現状では、中国が台湾に侵攻する可能性は高くない。軍上層部では腐敗が横行しており、国防部長(大臣)だった二人の幹部が追放されたばかりである。これは軍に対する統率がうまくいっていない証拠である。
習近平主席にとってプライオリティの高い政策は自らへの求心力を強化することである。経済成長が大きく落ち込むなかで、共産党への求心力が高まるどころか、社会不安が増幅するリスクが高まっている。
対外的にみると、中国はロシアからさらなる経済援助と軍事援助が要請されているが、このままロシアに対する援助を増やすと、欧米諸国はさらに制裁を厳しくする可能性がある。習近平主席が悩むのはロシアや欧米諸国とのバランスをいかに取るかという点である。とくに中国がハイテク技術を欧米諸国に依存する現状において、欧米諸国との関係を安定的に維持することは重要である。
一方のアメリカでは、中国とデカップリングするか、デリスキングするかについて議論が続いているが、簡単にいえば、かつての米ソ冷戦と違って、アメリカにとってゼロチャイナ、すなわち、完全なデカップリングではなくて、ウィズチャイナになるだろう。ウィズチャイナだからこそリスクをきちんと管理する必要がある。
ただし、習近平主席が心配しないといけないのは、トランプ前大統領が当選し、プーチンとのディールが成功した場合、予期せぬ悪夢になってしまうことである。プーチン大統領は演説のなかでアメリカにとっての真の脅威はロシアではなく、中国だと言っている。
結論的に米中露のトライアングルがどのような形で落ち着くかはまだわからないが、アメリカ大統領選をきっかけに駆け引きがますます激化する可能性が高い。習近平主席にとって内憂外患の困った状況が当面続くものと思われる。アメリカの対中戦略がかつての蜜月に戻る可能性は低く、ウクライナ戦争が終結しても、米中対立が続くものと思われる。
最後に、この米中関係の変化による日本への影響について論じたい。日本経済と日本企業にとって中国は重要な市場である。ただし、安全保障は日米同盟に大きく依存している。仮にトランプ前大統領が当選した場合、アメリカの安全保障政策と通商政策は大きく変化する可能性が高い。そこで問われるのは日本の独自の戦略と政策である。
まず、東アジア地域の地政学リスクを管理するために、日米同盟をさらに強固にする必要がある。一方、経済について、ウィズチャイナの戦略を日本独自で打ち出していかなければならない。これは簡単な作業ではないが、習近平政権との対話をレベルアップして、作業を続ける努力が求められている>以上
上記の論で小生が気になった点はいくつかある。「JETROの提案通り、『中国+1』か『中国+α』が望ましいと考えられる」の出典は不明だが、生産・販売において「中国への依存を減らしリスクを回避すべし」ということなら正論だ。それにしても日本国際貿易促進協会(国貿促)や日中友好協会などは「土下座すれば習近平閣下は商売をさせてくださる」という姿勢で、危機意識も日本人としての誇りもない“銭ゲバ守銭奴”のよう。産経によると河野洋平(通称=江(沢民)の傭兵)が日本企業幹部ら90人を引き連れて訪中し、7/1に「人的交流をもっと積極的に」と呼び掛けたそうだが、時代錯誤も甚だしい。つける薬なし。
柯隆氏は「グローバル社会は台湾有事の可能性を懸念しているが、現状では、中国が台湾に侵攻する可能性は高くない。軍上層部では腐敗が横行しており、国防部長(大臣)だった二人の幹部が追放されたばかりである。これは軍に対する統率がうまくいっていない証拠である」と説く。
しかし、習近平の友達のプーチンはウクライナ侵略の真最中でも気に入らない国防省の次官や参謀次長ら幹部を次から次と粛清・追放し、政治&軍事基盤しっかりを固めている。真似っ乞食の習近平も「台湾に侵攻するために非戦的な軍幹部を粛清し、己の命令に忠実な将兵で固めたい」と当然思っているだろう。「台湾に侵攻する可能性は高くなっている」と見るべきではないか。
「東アジア地域の地政学リスクを管理するために、日米同盟をさらに強固にする必要がある。一方、経済について、ウィズチャイナの戦略を日本独自で打ち出していかなければならない。これは簡単な作業ではないが、習近平政権との対話をレベルアップして、作業を続ける努力が求められている」・・・これも随分変な見方だ。対話すれば習近平は日本、台湾、フィリピンなど隣国を侵略しない、と言いたげである。
習は小学5年生あたりから20歳ほどまで毛沢東の文革浸け、「毛主席語録」で育っている。「鉄砲から政権が生まれる」「革命は武力、戦争による政権の奪取、問題の解決である」・・・習は生粋の毛沢東チルドレンであり、建国の父・毛と並び、さらに毛を上回る業績で「発展の父」として歴史に刻まれることを目指しているだろう。「毛を上回る業績」とはインド・太平洋を軍事力で制圧して米国と並ぶ「大中華帝国」を創ることだ。「戦争で勝つ」ということが箔をつけるのである。
習近平・中共の暴発的侵略に備えて多くの国は軍事力強化を進めている。各国の元首が習近平と対話し「平和と安定」を約束したところで「ただの紙切れ」と無視するのが習近平流だ。ヒトラー・ナチスドイツのように不可侵条約から1年ほど経てば平気で侵略を始めるのが独裁者のやり方だ。習とWinWinになったところで首根っこと金玉を握られるだけで「平和と安定」の実効性はゼロだろう。ウィズチャイナで儲けたい、習の奴隷になってもいい・・・その手の人はこんな思いなのだろう。
♪あなたと逢ったその日から 恋の奴隷になりました あなたの膝にからみつく小犬のように だからいつもそばにおいてね 邪魔しないから 悪い時はどうぞぶってね あなた好みの あなた好みの女になりたい(奥村チヨ 「恋の奴隷」)
カネの奴隷・・・銭ゲバ、拝金教徒多過ぎ! 過ぎたるは猶及ばざるが如し、日本を取り戻そう! 柯隆先生も舌鋒を取り戻して習近平・中共殲滅戦へイザッ!(石平氏のように日本国籍を取った方がよろしいのではないですか?)
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