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トランプ暗殺未遂に見る米国

2024-07-16 10:43:46 | 戦争
トランプ暗殺未遂に見る米国
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」311/通算742  2024(令和6)年7/16/火】トランプ前米大統領への暗殺未遂事件が起きた7月13日(日本時間14日)、氏は銃撃を危機一髪で免れ右耳を裂傷しただけで済んだのは幸いだった。小生にとってアメリカという国、とりわけ民主党政権下のアメリカは日本占領時のマッカーサーの兵士による蛮行で父母が嫌な思いをした、その影響もあって仲良くしたいなどとは思ったことはない。米国を取材して一番感激したのは周囲360度すべて地平線の砂漠で、小生は思わず寝転んで砂漠以外何もない大地と広大な青空を満喫したものだ。以下は、トランプ暗殺未遂に刺激を受けてまとめてみた小生の米国論である。
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我にも正義、彼にも正義、この世は正義と正義のぶつかり合い、と小生は思っている。「良い戦争、悪い戦争」「良い独裁、悪い独裁」「良い殺人、悪い殺人」「良い処刑、悪い処刑」「良い政治、悪い政治」「良い金儲け、悪い金儲け」「良い宗教、悪い宗教」「良い節税、悪い節税」「良い蓄財、悪い蓄財」・・・キリがない。良い人も悪い人も「俺が正義だ、文句があるなら決着を付けよう」となる。世に戦争の種は尽きまじ。

歴史は勝者が創るという。勝者は「正義」となって意気軒高だが、敗者は悪者にされ、口惜しいし、情けない気分になる。普通の健康な人は「臥薪嘗胆、次の戦争では絶対勝ってやる!」と思うのだが、酷い目に遭った上、洗脳により“去勢”までされたため「二度と戦争は御免だ」と言う人もいる。米国の51番目の州にされてしまった日本人にはこのような「戦争ダメ、絶対!」の人が少なくない。

United States of America、略称USA。 Americaの名称は新大陸を発見したイタリアの探検家・地理学者アメリゴ・ヴェスプッチに由来するという。米国を日本では「アメリカ合衆国」と言う。小生なら「アメリカ連邦国」と訳すが・・・「衆」は「多くの人」の意だから「アメリカ人民共和国」でも良かったかもしれない。

米国は「主に欧州からの衆(白人)が寄せ集まって創った国」ゆえに、1776年の建国の頃でも人種、宗教、言語、倫理、風習などは色々だったろう。共通の理念、価値観は「チャレンジ精神」「金儲けが大好き」「新しいモノ好き」「法治の範囲で自由尊重、自己責任で何をしても良い」などのよう。これが良しにつけ悪しきにつけアメリカの強み(タフ、強引、アバウト、進取、合理主義、えげつなさ)の源泉ではないか。「生き馬の目を抜く」ようで、「穏やかでお上品な国」などとは冗談でもとても言えない。

彼ら、主に北米で多数派を占める白人は英国ルーツを引きついでいるのかWASP(ホワイト、アングロ・サクソン、プロテスタント)という出自を重視、「我こそ正義、優秀で、WASP以外は外道、暗愚であり、逆らうものは駆除すべし」と誇り高かったようだ。武力を持って脅せば蛮族も従う、従わない蛮族は容赦なくつぶせ、というのが彼らの外交だった。
この米国から見れば江戸時代の我が日本も蛮族で、ペルー提督率いる米艦隊は軍事力を背景に強引に開国を迫った。「泰平の眠りを覚ます上喜撰(蒸気船)たった四杯で夜も寝られず」・・・日本は艱難辛苦を乗り越え辛うじて植民地や属国に陥らずに済んだ。

一事が万事、米国は建国から100~150年ほどで先住民族の多くは絶滅に追いやられた。1995年頃、懇意にしていた高橋順一・桜美林大学教授が、「生活保護」という名のカネで先住民族がアル中になって“殺されていく”模様をレポートしていた(知人に貸したらそれっきり、今は絶版のよう)。

米国には「邪魔者は殺せ」というDNAがあるのではないか。「米国 テロにあった大統領」で検索したら、リンカーン(16代、共和党、1865年暗殺)、ガーフィールド(20代、共和党、1881年暗殺)、マッキンリー(25代、共和党、1901年暗殺)、ケネディ(35代、民主党、1963年暗殺)。

死に至らないものの襲撃されて負傷した大統領も結構多そうだ。1981年にはレーガン大統領(共和党)がワシントンD.C.で銃撃され九死に一生を得た。警官、護衛担当も大怪我をしたが、ブレイディ大統領報道官は頭部に弾丸を受けたために障害が残り、2014年に死亡した際は、その時の傷が原因という。

<しかし犯人のヒンクリーは裁判では13の容疑で起訴されたが、精神異常を理由に無罪となり、病院で拘束された。その後ヒンクリーは両親の監督下に1999年に退院を許可され、2000年には監督なしでの釈放が許可された。これらの権利はヒンクリーの素行不良が判明し無効となったが、2016年7月釈放が許可され、2022年にはヒンクリーの全ての行動制限措置が解除された>(WIKI)

酷い目に遭った被害者より加害者に寄り添っているような米国。蛮族は皆殺ししてもOK、その一方で精神疾患の犯罪者に対しては何人殺そうが「人を憎まず、病気を憎む」と優しく見守る・・・WASP的な宗教に淫したかのよう。
米国の白人は少子高齢化もあって年々少なくなっているが、子孫を産み育てるよりカネ儲け=ビジネスに精を出しているのだろう。まるで銭ゲバだが、被害者に寄り添ってもカネにはならない、加害者を死刑にしたところでこれまたカネにはならない・・・カネにならないことに米国人はどんどん関心を持たなくなっているのかも知れない。WASP教から拝金教へ宗旨替え?

国民がそうであれば、票で選ばれる政治家もそれに倣わざるを得ない。その影響だろう、トランプの共和党もバイデンの民主党も何やら内向きで、中露北+イランに対して「断固として制裁を加える」という覇気が全く感じられない。

かつて米欧日などの自由陣営は世界革命を目指す戦狼のソ連、その子分の中共を「冷戦」で締め上げ、ソ連は自滅崩壊、ソ連の子分の中共はトウ小平の努力で共産主義から国家資本主義への転換に成功した。しかし共産主義思想は邪教とそっくりで「一度アカ、一生アカ」が普通である。アカ抜けしないプーチン・ロシア帝国、習近平・中共帝国は今や共産主義独裁体制復活を露骨に進めるようになった。“習プーチン”は「金儲けしたい? エネルギー資源を欲しい? それなら俺の子分になれ」とえげつないほど露骨である。

今の米国は「儲かれば良い」という金銭亡者的な感じがする。商売優先で軟弱になった米国は中露北+イランとの熱戦に本気で立ち向かう覚悟があるのかどうか・・・すこぶる怪しいものだと小生は思う。古人曰く「天は自ら助くる者を助く」、米国に国防を依存する、依存できる、という時代ではなくなった、他力本願ではなく自らしっかり戦争に備えよ、ということだ。

7/13に藤谷昌敏氏の「衰退するアメリカ、その分断の歴史、日本の対応は」を転載したが、中露北による侵略に備えて日本は「自国民ファーストになることなく、複数の国や民族の多様性を受け入れる姿勢を持ち、対話と理解を重視して、共通の目標に向けて協力することが重要」という氏の論に対して、大手紙の記者だった先輩からメールを頂いた。

先輩曰く「複数の国や民族の多様性を受け入れる姿勢を持ち」は、具体的にどうすべきか、あまりにも抽象的。敵意を隠さず出鱈目な捏造の歴史観を押し付ける韓国をも受け入れるのか? 有事には、中共の指令で破壊工作予備軍となる中国人の入国を受け入れるのか? イスラム教の習俗を日本でも強引に押し通そうとする連中も受け入れるのか? 肝心なところをきちんと書かないと、記事自体が画竜点睛を欠くことになりますね」。

冷戦から熱戦の時代へ・・・我々が学び、かつ備えるべきことは五万とある。難しいことはプロの専門家に任せ、小生は天命により置かれた場所で狼少年の如く警報を発する、「みんな気を付けて!」。高校では応援団、大学ではアジテーター、現役時代はマーケティング、そして晩年の仕事は「吠えまくる戦狼老人」・・・一応筋が通っているが、なんか変な感じ・・・ではあるなあ。
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日米主導で中露北を抑止せよ

2024-07-13 11:18:41 | 戦争
日米主導で中露北を抑止せよ
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」310/通算741  2024(令和6)年7/13/土】今朝は久し振りの快晴。早朝7時からスズメの餌場にネズミが侵入しないようにバリケードを作った。欧米諸国も不法侵入者に悩まされているが、彼ら侵入者には「祖国を捨て他国に不法侵入する前に政権を倒す努力をしたのか」となじりたくなる。「中露北のような強権独裁者を武器のない庶民が駆除する・・・そんなことは無理筋、殺されるだけ。安心して暮らせるG7のような国に逃げ込むしかないんです」。そう反論されたらどうする? 情け容赦なく追放や駆除できるか?

数年前にカミサンがネズミ駆除の罠を仕掛けたが、ネズミではなくスズメが2羽死んでしまった。この悲劇がトラウマになって今も“不法侵入”のネズミを殺せない小生はバリケードを作ることしかできない。まるで不法移民に悩む米国トランプ支持の共和党のよう・・・♪みーんな悩んで大きくなった、って言うけれど幸せになれるのか? 「面白きこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり」(高杉晋作の辞世)、納得できる終末でありたいものだ。

日本戦略研究フォーラム(JFSS)2024/7/8、藤谷昌敏JFSS政策提言委員・金沢工業大学客員教授の「衰退するアメリカ、その分断の歴史、日本の対応は」はとても勉強になった。以下転載する。

<世界の歴史が大きく動く時、たくさんの人々が凶弾に倒れ、多くの血が流されてきた。例えば中国では、清の時代、洪秀全が中心となって太平天国の乱(1851-1864)が起きた。この大規模な反乱は、清を大きく揺るがし、数千万人の犠牲者が出たという。
イギリスと中国の間で行われたアヘン戦争(1840-1842)では、敗れた清において外国の影響力が増大し、中国の前近代と近代を画す重要な転換点となった。英中合わせて約2万人が犠牲となった。

西安事件(1936)では、東北軍閥の首領である張学良が、欧州旅行から帰国した際に感銘を受け、中国の統一を目指し、中国の政治的転換点となった。その後の国共合作による対日戦争の激化により、中日双方、約43万人が犠牲となった。

中華人民共和国の建国(1949)では、毛沢東率いる共産党が国民党を破り、中華人民共和国の建国に成功して、社会主義体制への移行を果たした。この内戦によって約497万人が犠牲となった。
中国は、伝統的に異民族の支配や影響力を受けることが多く、それまでの国の文化や制度を徹底的に破壊するという特徴を持つ。それ故、政治は苛烈で大衆に対して極めて強権的だ。

それでは、今、世界を分断して対立している米中の一方の雄であるアメリカ合衆国(米国、アメリカ)はどうなのだろうか。世界最高の強国として君臨する米国も多くの犠牲者を出しながら歴史を辿ってきたと言える。その歴史の転換点となった事件について解説し、米国の分断と衰退に備えて日本はどう対応すれば良いのか探ってみたい。

【アメリカの歴史的な分断と衰退】 1)アメリカ合衆国憲法起草時の分断: アメリカ合衆国憲法は、1787年に作成され、1788年に発効し、現在も機能している世界最古の成文憲法だ。この憲法の制定には、連邦派と反連邦派と呼ばれる対立があった。連邦派(Federalists)は、連邦政府の強力な権限を支持する立場であり、憲法起草者アレクサンダー・ハミルトン(Alexander Hamilton)などが連邦派に所属していた。ハミルトンは、古き英国の法思想「法の支配」に基づくコモン・ロー化した憲法を生み出した立憲主義の著名な思想家である。

これに対し、反連邦派(Anti-federalists)は、中央政府の権限を制限し、各州の権利を保護する立場だった。この対立により、憲法には連邦政府と州政府の権限分散が盛り込まれ、州の自治権が強調された。中央政府の強い権力に反対する立場で、トマス・ジェファーソン(Thomas Jefferson)などが反連邦派に所属していた。ジェファーソンは、アメリカ独立宣言(1776)の主要な執筆者であり、アメリカ合衆国の共和制の理想を追求したことで最も影響力のあったアメリカ合衆国建国の父の一人である。

両派の対立は、憲法制定会議での議論を活発化させ、最終的には、両派の妥協により、アメリカ合衆国憲法が制定された。だが、この両派の対立は、その後の南北戦争の原因となる。
 
2)南北戦争: 1861年から始まった南北戦争の際にも、連邦制や奴隷制をめぐる対立が戦争の原因となった。南部の州は奴隷制度を維持し、北部の州は奴隷制度廃止を求めていた。南部は農業中心であり、北部は工業化が進んでいたため、両者の経済的利害が対立した。南部の州は連邦政府の権限を制限し、州の権利を主張していたのに対し、北部は強力な中央政府を支持していた。
1861年4月12日、南部の軍隊がフォート・サムターを攻撃し、戦争が勃発した。両軍は激しい戦闘を繰り広げ、有名な戦場となったゲティスバーグ、アンティータム、シャイローなどでは多くの犠牲者が出た。
1863年、エイブラハム・リンカーン大統領はエマンシペーション宣言を発表し、奴隷制度を廃止した。これにより、戦争の目的が奴隷制度の廃止にも拡大されることなった。
1865年、北軍が南部の首都リッチモンドを占領し、南部の抵抗が崩壊して、南軍の将軍ロバート・E・リーが降伏したことで南北戦争は終結した。

この戦争による犠牲者数は、60万人以上とされ、世界的にも内戦としては最大級のものだった。この南北の対立は、その後も尾を引くこととなり、現在もその影響を見ることができる。

3)現在のアメリカの分断と衰退: 2000年代以降、アメリカの政治は極端な分極化が進んでいて、共和党と民主党の対立は、南北戦争以来といわれるほど根深いものとなっている。支持者の間には強烈な敵対意識、恐怖、憎悪が存在しており、相手を敵や脅威と見做す傾向が強まっている。

この分断の背後には、2大政党の支持基盤に起きた3つの巨大な変化があると言われる。[1]公民権運動により、南部の白人が共和党に移り、選挙権を得た黒人の大半が民主党員になった。[2]中南米やアジアからの移民の大半が民主党員になった。[3]レーガン政権以来、福音派は圧倒的に共和党支持になった。
これらの要因が絡み合い、アメリカの政治の分断を形成している。このほか、アメリカの経済政策の失敗による所得格差の増大、人種的対立の激化、一部の産業の衰退など、その対立の根本は複雑で根深く衰退の原因となっている。トランプ氏の登場はその象徴的出来事でしかないが、対立は国際情勢にも影響を及ぼし、同盟国との間での亀裂を生み出しかねない。

【日本の対応】 こうしたアメリカの分断と衰退に対して、日本はどう対応したら良いのだろうか。[1] 外交力の強化:日本は日米同盟を基軸に、他国との協力を進めることで国際的な分断を防がなければならない。特にインド太平洋構想の推進とNATOとの連携強化はこれからの国際情勢を踏まえて極めて重要だ。
[2] 防衛力の強化と文民統制の確保:日本の周辺国である中国、ロシア、北朝鮮の軍事冒険主義を抑止するためにも防衛力の強化は喫緊の課題だ。だが、あまりに強大な軍事大国となれば、東南アジアや太平洋諸国などに余分な警戒感を生んでしまう。文民統制を守りながらも防衛力を強化することが求められている。
[3] 多様性の尊重:日本が米国と並ぶリーダーとならざるを得ない状況となっていることを理解しなければならない。だが、自国民ファーストになることなく、複数の国や民族の多様性を受け入れる姿勢を持ち、対話と理解を重視して、共通の目標に向けて協力することが重要だ>(以上)
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最後の「中露北の軍事冒険主義を抑止せよ、日本は米国と並ぶリーダーにならざるを得ない状況となっている」は刺激的だった。人口1.2億の日本と3.4億の米国が、16億の中露北との熱戦、冷戦で最前線に立つ・・・考えただけでゾクゾクしてくる。半分は武者震い、半分は恐怖・・・

藤谷昌敏(ふじたにまさとし)氏の略歴を金沢工業大学のサイトから引用する。
<1973年3月 北海道立伊達高等学校卒業/ 1982年3月 学習院大学法学部法学科卒業/ 1982年4月 北海道公安調査局調査第一部第一課/ 2014年4月 金沢公安調査事務所所長/ 2015年4月 合同会社OFFICE TOYA 代表社員/ 2018年3月 北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科博士前期課程修了/ 2023年4月 金沢工業大学産学連携室客員教授 
専門分野:危機管理、経済安全保障、インテリジェンス、ナレッジマネジメント、国際関係。論文・著書:「新3世代のサービス・イノベーション(共著、社会評論社)」

氏の原点は「公安調査」のキャリアのよう。公安調査は日共によると<公安調査庁は、国民にたいするスパイ活動を日常的におこなっている秘密警察の一つです。破壊活動防止法(破防法、一九五二年制定)にもとづいて、政治的目的をもって「暴力主義的破壊活動」をおこなう団体の活動の制限、解散を公安審査委員会に請求し、そのための調査をおこなうことになっています。しかし、実際には、アメリカと大企業の利益最優先の政治を守るために、そうした政治をすすめる上で障害になるとみなした国民の運動を敵視し、これを監視することが公安調査庁の最大の課題になっています>。アカにつける薬なし! 日共は近く自滅するだろう。

そう言えば小生が航空新聞社の海外旅行促進業界紙「週刊ウイングトラベル」の編集長をしていた1985年頃、神田警察署に籍を置く諜報担当者が毎月「中国情報」を得るために小生を訪ねてきた。中国政府の「国際貿易促進協会(国貿促)」など中国系組織の動向などだ。毛沢東がようやく成仏(1976年)した後、長らく追放されていたトウ小平が復権して日米など国際社会と国交樹立し、「改革開放」政策で急速に経済発展を進めていた頃である。とは言っても、この政策を猛スピードで進めるには「上意下達の共産党一党独裁」は非常に便利であり、結果的に国際社会の「中国共産主義独裁国」への警戒心は薄れていった。「経済大国の中国」はトウ小平が創ったと言って良いだろう。「賢明なトウが創って暗愚の習が壊す」・・・閑話休題。

藤谷氏は「公安調査」のキャリアを活かした緻密で冷静な論稿を続けていただきたい。インド・太平洋版のNATO(北大西洋条約機構、32カ国加盟)の可能性についてご教授いただければ幸いである。
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草莽崛起で日本を取り戻せ

2024-07-11 12:15:30 | 戦争
草莽崛起で日本を取り戻せ
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」309/通算740  2024(令和6)年7/11/木】梅雨入りしたのか、ここ数日は涼しい。と言っても今朝は室温30℃だが、風もあるのでクーラーなしでもOK。外での作業は控えて2Fの経年劣化した扇風機を直したりしていたが、小生も経年劣化で腰や膝が痛み、治療はしているものの今年か来年にはオダブツになりそうな気がする。やり残しは嫌なので午前中の2、3時間は無理しない範囲であれこれ忙しいが、動けるうちが花だなあとつくづく思う。同志諸君、悔いなき晩年を!

それにしても人間はちっとも進化しないなあ、とこのところしばしば思う。平和を良しとしながら、その平和は「俺の平和」であり、そのために戦争を辞さない国は多い。文明・文化は進化していることになっているが、我々は100年前、1000年前、1万年前より幸せになっているのか? 小生は紀元前400年のプラトン著「ソクラテスの弁明」や西暦500年のマキアヴェッリの「君主論」などを愛読しているが、「ああ、人間は『万物の霊長』などと偉そうなこと言っているが、ちっとも成長していないなあ、バカは永遠にバカ、つける薬なしか」とガッカリすることがしょっちゅうだ。

ところで、以前から気になっていたが「文明」と「文化」の違いは何か。調べたら、「文明(c
ivilization)は、技術・機械の発達や社会制度の整備などが進み、物質的に生活が豊かになることを意味する。文化(culture)は、宗教・道徳・学問・芸術など精神的に心を豊かにすることを意味する」とあった。つまり人類は物質的にも精神的にも豊かになっている=進歩している(ことになっている)が、果たして本当に「豊か=幸福」になっているのだろうか。

日本では(世界でも?)相変わらず不満だらけの人がいるようで、「生活が苦しい」という世帯は急増しているという。朝日新聞デジタル2024/7/5「生活『苦しい』59.6%、子ども・高齢者世帯で急増 厚労省調査」から。
<生活が「苦しい」と感じる世帯は59.6%にのぼり、前年比で8.3ポイント増えた。厚生労働省が5日に公表した2023年の国民生活基礎調査でわかった。子どもがいる世帯や高齢者世帯では、前年から10ポイント以上の増加で、物価高などでより厳しくなっている家計の状況が浮かび上がった。
調査では全国の約7千世帯を対象に23年7月時点の生活意識を尋ねた。「大変苦しい」が26.5%(前年比6.3ポイント増)、「やや苦しい」が33.1%(同2.1ポイント増)となった。
年代別にみると、「苦しい」との回答は、高齢者世帯で59.0%(同10.7ポイント増)。子どもがいる世帯は65.0%(同10.3ポイント増)となり、いずれも大きく増えた。(厚労省によると)物価高騰が影響している可能性があるという>以上

7千世帯で「苦しい」が59.6%、約6割が苦しんでいるって・・・まるで敗戦後の食糧難時代みたいだ。苦しいとなれば自殺者も増えているだろうが、警察庁の「令和5/2023年中における自殺の状況」によると、自殺者総数2万8344人中、「生活苦」による者は1667人(男1667人、女261人)。1日当たりたったの4.6人に過ぎない。

TECHCANPというサイトによると「生活が苦しい」と感じてしまう経済的理由は、おもに「支出が多い」「そもそも収入が少ない」「借金がある」の3つ。支出が多くなる具体的な要因は「趣味に使ってしまう」「外食をしてしまう」「子供の教育費がかかる」「ギャンブルで生活が安定しない」などだという。

人並みの暮らしをしている人は、「生まれ育ちに恵まれた人」「一所懸命に努力した人」「運が良かった人」が多いだろう。
一方で、小生の観察だと「生活苦」の人は生まれが悪い(遊び人の家系)、勉強・学業は大嫌いだが遊びは大好き、我慢・忍耐・努力が大嫌い、職場をやたらと変える、「頑張って手に職をつける」という志向、思考がなく、結果的に収入は低く、結婚しても離婚に至り、惨めな晩年は避けられない。
小生の従兄で一番仲良しだった健ちゃんはそういう遊び人で、「一所懸命に努力する」とは真逆の人生だった。最後はにっちもさっちもいかず首を吊った。葬儀では誰も健ちゃんの名を口にせず、「ようやく逝った」と清々している風だった。ちょっとびっくりしたのは、健ちゃんの息子は外観も素振りも若い頃の健ちゃんにそっくりで、「遊び人のDNAも引き継がれていくのか」と思うと暗澹たる気分になった。人生はDNAや運次第の面がある。

我が母校は神奈川県立多摩高等学校である。多摩高の校訓は「質実剛健 自重自恃」で、「自主自立の精神で自己と社会の発展に努める、 どんな困難な状況の中でも自己を大切にして自分を見失わず行動する」という教えだ。小生もそうありたいと時折思っていたが、まあ甘い評価でどうにか80点か。明治、大正生まれの親を持った日本人(多くは今や老人?)は「質実剛健、自重自恃」、さらに教育勅語の「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」の教え、大和魂を良しとしている人が少なくないだろう。
日本戦略研究フォーラム(JFSS)2024/7/6、村井友秀JFSS顧問・東京国際大学特命教授の「戦いを忘れた日本人」は刺激的だった。以下転載する。

<現代の世界を見ると各地で武力紛争が続いている。戦争はウクライナとガザだけではない。ミャンマーでもスーダンでも多数の戦争の犠牲者が発生している。
何故、戦争が続くのか。多くの国で国民は好戦的であり軟弱外交は人気がないからである。何故、国民は好戦的なのか。嘗て戦争は勝てば利益があった。日本の戦国時代、戦争は「物取り(略奪)人取り(身代金または奴隷獲得)」が目的であった。現在でも戦争の利益の総量が不利益の総量を上回ると考える国はある。

また、戦争は人間の本能にプログラムされた攻撃本能の結果であり、戦争の悲惨さをどのように説明しても、人間は本能に逆らって戦争を止めることは出来ないという文化人類学や社会学の研究もある。遺伝子の9割が人間と同じチンパンジーも敵対するチンパンジーの集団を皆殺しにする(ゴンベの4年戦争)。

しかし、日本では戦争は人気がない。現在の日本人が好戦的でないのは、80年前に大敗北した敗戦の経験があるからである。80年前に日本は米国と戦い、300万人以上の犠牲者を出して戦争に敗れた。歴史的に勝利と敗戦を繰り返し経験した欧州の国民とは異なり、外国との大規模な戦争の経験が乏しく、戦争に関して素人であった近代の日本人にとって、敗戦は国民的PTSD(心的外傷後ストレス障害)になった。

多くの国で戦争記念日とは戦争に勝った日である。全国民が勝利の高揚感に浸り民族的誇りを再確認する日である。世界中の国で戦争に負けた日を記念日にしている国は少ない。それらの国では敗戦記念日は戦争に負けた屈辱を思い出し復讐を誓う日である(「臥薪嘗胆」)。現在の日本では、8月15日に多くの日本人が80年前の戦争を後悔し懺悔する。しかし、日本の8月15日をテレビで見た外国人の中には、大東亜戦争の復讐を誓う日本人がこんなに多くいるのかと驚く者もいるのである。日本人の常識は世界の常識ではない。

大東亜戦争後、日本人は1億総懺悔した。日本を占領した米国は、「米国に従順で軍事的に無能な日本」の実現を目指して日本の教育システムを改変した。日本国内でも大日本帝国時代に弾圧された社会主義者や共産主義者が活動を再開した。彼らは自分たちを弾圧した強い日本の復活を恐れ、弱い日本が彼らにとって安全だと考えた(強い国より優しい国へ)。

占領軍と左翼には共通項があった。占領軍が軍国主義の復活を警戒する中で、弱い日本を目指す左翼が教育界やマスコミに大きな影響力を持つようになった。日本の教育界とマスコミは、政治、経済、歴史、文化が複雑に絡み合った政治現象である戦争を、広島・長崎の原爆と東京大空襲に単純化して戦争を否定した。

戦後の日本は世界(国連)の常識である軍隊による平和を無視し、軍隊の暴力性を強調して軍隊からの安全のみを語る国になった。その結果、日本では軍事的無能を合理化する絶対平和主義が、対立や紛争が絶えない世界情勢とは関係なく蔓延していった。日本の常識は世界の非常識になった。

無抵抗主義は日本の対外関係を致命的に弱体化した。無抵抗主義である絶対平和主義は、人間の生まれながらの権利である正当防衛を否定する。日本は侵略された国を助けるという国連憲章(集団的自衛権)を公然と否定する唯一の国になった。集団的自衛権とは、侵略された国から援助を依頼された第三国が勇気を出して侵略者を攻撃し被害国を助けるという意味である。集団的自衛権は善意の行動である。日本のように侵略された国を助けないと公言している国が国際社会で尊敬されることはない。

日本の平和主義者の世界観は現実の世界と完全に乖離(かいり)している。嘗て日本の平和主義者が理想の平和国家としていたスイスは各家庭に銃がある全人民武装国家である。また、日本の平和主義者が日本よりも真摯に戦争を反省していると主張していた第二次世界大戦の敗戦国ドイツは戦後も徴兵制を維持し、武器輸出も世界のトップ5である。ドイツでは冷戦後に徴兵制は中断されたが、再開を支持する国民は過半数を超えている(2023年)。欧米では徴兵制は、絶対王政に反対し民主主義を守るために国民が持つ不可欠の道具なのである。

日本の安全保障の保険であった米国の影響力の限界が明らかになり、日本の国益を侵害する全体主義国家の活動が活発化する中で日本を取り巻く安全保障環境は悪化している。日本人が対決している外国人は平和ボケした非常識でナイーヴな日本人ではない。数千年にわたる権力闘争と殺戮の歴史を生き抜いてきた狡猾な曲者である。

日本人にとって安全が保証された環境の中でのんびりと有り得ない戦争を夢想していた時代は終わった。これからは道を誤れば「鉄の暴風」が国民に降り注ぐ時代になる。しかし、現在の日本で見られる安全保障の議論は、威勢はいいが実戦経験のない畳の上の水練である。日露戦争後、陸軍省は「平時剛胆であり勇者であるもの戦闘場裡に於いても敵弾の洗礼を受けし時に於いても依然剛者であり勇者であるかと云う事は何人も否と答えるであらふ」「概して平時鬼と称せられる人は戦時は婦女子の如く、反之(これとは反対に)平時婦女子の如き人に豪傑の多い事は否定の出来ぬ事柄である」と報告している。

今、安全保障の危機に直面する日本人に必要な精神構造は、何もしなければ死ぬ戦国時代の大名の家訓「武者は犬ともいへ、畜生ともいへ、勝つことが本にて候」(朝倉宗滴)であろう>以上

平和ボケの日本人に対する厳しい叱咤激励、血を吐くような論稿であり、小生は大感激した。村井氏は防衛大学校の教授も務めていた方だ。経歴は――
<1949年、奈良県生まれ。78年、東京大学大学院国際関係論博士課程単位取得退学。米ワシントン大学国際問題研究所研究員。93年より防衛大学校国際関係学科教授、国際関係学科長、人文社会科学群長、総合情報図書館長を歴任。
2015年、東京国際大学国際戦略研究所教授、防衛大学校名誉教授。20年より現職。日本防衛学会会長。国際安全保障学会理事。平和安全保障研究所研究委員。防衛省新防衛政策懇談会委員。
著書・編著に『中国をめぐる安全保障』『戦略の本質』『戦略論大系7 毛沢東』『日中危機の本質 日本人の常識は世界の非常識である』など>

氏の論稿を読んで「三島事件」を思い出した。「1970/昭和45年11月25日、三島由紀夫(本名・平岡公威)が、憲法改正のため自衛隊市ヶ谷駐屯地で決起(クーデター)を呼びかけた後に割腹自殺をした事件」(WIKI)である。「壮大なゼロ」で終わった70年安保後、ブラブラしていた19歳の小生は徹夜で友達と花札に興じていたが、ラジオニュースで三島事件を知った。「何故・・・やることはやり終えたから死に場所を自衛隊基地にしたのか・・・それにしても何故・・・」という思いだった。

三島が自決した1970年当時はイケイケドンドンの高度成長期の真っ盛り、日本はすっかり米国の属国、「51番目の州」に甘んじて金儲けに精を出していた。新・三種の神器「カー、クーラー、カラーテレビ」は普及し、狭いながらも楽しい我が家、まさに一族皆中流、昭和版の文明開化を満喫していた。そういう時代だった。

小生は三島の小説をいくつか読んだが、記憶に残っているのは「金閣寺」(1956年作)だけである。3回読んだが、「なぜこんなものが絶賛されるのか」とまったく分からなかった。三島は作家、識者、憂国の士などといろいろ評価されているが、「現実離れした世界をリアルのように描く芸術家」のようで、「現実を直視するのが商売」の記者である小生には理解し難かったのだなあ、と今になって思う。

それにしても三島は45歳で自死。今どきの45歳は現役バリバリ、55歳までは怖いものなしの第一線戦士である。だが、大正生まれの三島から見れば、45歳はぎりぎりの青年だが、50歳は初老、彼の美学からすればちっとも美しくないのだろう。「三島事件」の背景にはそういう事情もあったのではないかと19歳の小生はいぶかしんだものである。

「戦いを忘れた日本人」の目を覚ますのは容易ではないが、1945年以降の「戦後平和体制」が崩れ始めている今は「覚醒」の好機である。三島の早過ぎた決起から半世紀、草莽崛起で日本を取り戻すべし。
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続/習近平・中国は末期症状

2024-07-08 11:43:32 | 戦争
続/習近平・中国は末期症状
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」308/通算739  2024(令和6)年7/8/月】このところ33~35℃の猛暑が常態化している。7/6は体力のない小生は外の仕事を諦めたが、早朝にカミサンが看護学校の同期会で1泊2日の温泉へ出かけたので、簡単な2Fベランダ「すのこ」のペンキ塗りを楽しんだ。多動爺は肉体とオツムを動かしていないと生きている気がしないのである。「ほとんどビョーキ」だ。今朝は屋上に住み着いてスズメの餌場を荒らすネズミ(3匹ほど?)対策をし、続いて外廻りの排水パイプの定期点検と掃除をしたが、もう汗びっしょりになりシャワーを浴びた。焦っていたのでお湯ではなく水浴びになってしまったが・・・若い頃のプールを思い出したのは面白かった。

早朝7時から2~3時間の作業で疲れ果てるとベッドに横たわるが、今は永井荷風の作品を夢中になって読んでいる。荷風の趣味&生き甲斐&仕事は、墨田川と荒川放水路に挟まれた古き良き江戸の面影や陋巷(ろうこう)の散策で、「大丈夫なのか」と心配になるほどの熱意であれこれ観察しており「ほとんどビョーキ」、今風で言えば「オタク」である。
荷風の作品はほとんど再読、三読しているのだが、幸いにも小生は読んでもほとんど忘れてしまうという才能?がある上、読むたびに新しい発見があり、なんとなく小生は荷風に親近感を覚える。当時も今も荷風ファンは結構いそうだが、それを表立って言うと“変人”扱いされかねないから皆、そーっと読んで楽しんでいるのではないか。ベッドに横たわって「ふふふ、まったく面白い奴だ」と思いながら眠りにつく・・・まことに至福である。荷風の作品は不眠症に効くのではないか? お試しあれ。もっとも荷風自身は不眠症で昼夜逆転になり、だからこそ夕から夜の世相を描くことができたのだが・・・閑話休題。

1年前の産経2023/7/22、柯隆・東京財団政策研究所主席研究員へのインタビュー「改正反スパイ法 中国は全て監視 連携し自衛強化」を転載する。
<【前書き】 2023年7月1日に中国で施行された「改正反スパイ法」はスパイ行為の定義を拡大し、規制対象も曖昧だ。これまで以上に当局による恣意的な摘発が可能となることに日本企業からも懸念の声があがる。中国経済に詳しい東京財団政策研究所の柯隆(か・りゅう)主席研究員は「今まで問題なかったことでもこれからは問題になる」と指摘。中国の駐在員らは「100%監視されていると自覚すべきだ」と警鐘を鳴らし、リスク管理の徹底や毅然とした対応の重要性を説く。(聞き手 永田岳彦)
・・・・・・・・・
【以下は柯隆氏の論】 まず念頭に置くべきは、日本や米国、欧州で言われている中国に関するタブーと中国国内におけるタブーの違いだ。また、中国におけるタブーは過去の政権で許されてきたものと今の政権では異なる。習近平政権でも昔はタブーでなかったが、今はタブーとなっている場合もある。時代とともに状況が変わっていることはしっかり認識すべきだろう。

◎近づきすぎない: 駐在員らが個人でできる対策は限られるが、大きく3点をまず指摘したい。1点目は、人民解放軍の施設など明確にわかる国家機密には近づかないことだ。まして写真撮影などは絶対ダメだ。
2点目は中国のビジネスパートナー、とりわけ中国政府や中国共産党の幹部とは、友人として親しくなっていたとしても正式な窓口を通じて面会などをすべきだ。また、そうしたビジネスパートナーとの面会は資料のある個室の執務室ではなく、誰でも利用可能な会議室などで必ず会うべきだ。執務室の机の上に国や中国共産党の機密文書があれば、意図せず国家機密に近づいたことになる。
3点目は、中国人のビジネスパートナーと会食する場合に、無理に話題提供などしない方がいい。変な話題を提供して、レッドラインを踏むと大変なことになる。タブーはチベット、ウイグルといった少数民族や習近平国家主席のこと以外でも多く存在する。
また、大企業の中には、中国駐在歴が長く、広大な人脈を持つ駐在員がいるが、こうした人は中国の権力闘争に巻き込まれやすいので注意が必要だ。決して人脈をひけらかさず、権力闘争に巻き込まれるリスクを意識しながら中国側のビジネスパートナーとは付き合わないといけない。

◎毅然と対応して: 日本企業は他の外国企業に比べるとリスク管理意識が若干薄い。まずは情報収集や分析で、日本企業同士で相互に助け合うことが大事だ。加えて、業界団体や経済団体も会員企業の従業員を守るため対応を強化する必要がある。欧米企業の中国駐在員との情報交換も重要だ。欧米企業の情報収集能力は非常に高い。先進7カ国(G7)の経済団体などが、中国進出時に情報共有や対策を話し合うための連携強化の仕組みも検討すべきだ。
実際に社員が反スパイ法で逮捕された場合、違法行為はしていないと毅然と対応すべきだ。当該社員を解放しないなら、中国から撤退するなどの駆け引きも含めた交渉にあたるべきだ。中国も日本を含む外国企業の中国離れは避けたいのが本音だからだ。

◎景気減速と連動: もう1つ強調したいのは、今回の反スパイ法改正の背景には中国政府の不安の表れがあるということだ。中国では景気減速が足元で鮮明になる中、失業率が高まっており、社会不安が増している。中国が一番恐れているのは、海外企業の進出に伴ってスパイも入り込み、国内の不満分子や反体制派と結びつき、現在の統治体制が揺らぐことだ。
外国企業に投資を呼びかけながら、反スパイ法を改正し取り締まりを強化することは一見すると矛盾しているようにみえるが、中国の考えではそうではない。中国は基本的には統治の強化と経済成長は両立できると思っている。中国で最も重要視されているのは現在の統治体制の維持だ。
ビジネス上、今までよかったことでも、今後は問題になる可能性もある。国家機密や国家の安全を脅かすといった反スパイ法が指すものは不明確だからだ。中国の経済が成長軌道に戻らず、景気が減速するほど取り締まりも増えるだろう。
日本政府や経済団体、企業のリスク管理意識を高めて、反スパイ法から自国民をきちんと守るための明確な戦略が必要だ>

以上は1年前の論。まったく正論である。柯隆氏の最新の論稿は2024/7/4「米中新冷戦の内実――アメリカ大統領選以降の米中関係の展望」(東京財団政策研究所)。以下、その一部を引用する。
<アメリカ大統領選は本格的な政策論戦に突入している。この段階でバイデン大統領とトランプ前大統領のどちらが優勢かは判断できないが、両者の論戦を聞く限り、対中政策について、両者の考えは、濃淡の差こそあるが、おおむね対中経済制裁を厳しくする方向で一致している。このままいったら、米中貿易戦争はますます激化する可能性が高い。なぜならば、両者の相互信頼関係が完全に崩れてしまったからである。

アメリカで行われた世論調査によると、8割以上のアメリカ人は中国のことをよく思っていないといわれている。アメリカは民主主義の国であり、アメリカ人の対中国民感情が悪化している状況を考えると、アメリカ政府が中国に対して譲歩することはますます難しくなっている。バイデン大統領とトランプ前大統領は大統領選を繰り広げ、政策論争を行っているが、中国に対して厳しい姿勢で臨まないといけない点については完全に一致している。
しかも、コロナ禍を経験して、アメリカ企業はあらためてサプライチェーンを中国に集約させる場合のリスクを再認識させられた。むろん、ここですべてのサプライチェーンを中国以外の国へ移転させることはできない。JETROの提案通り、「中国+1」か「中国+α」が望ましいと考えられる。

◎ウクライナに対するロシア侵攻のインパクト: ソ連が崩壊したあと、ロシアは民主化したはずだが、気が付いたら、プーチン氏が率いるロシアは再び独裁国家と化している。フランシス・フクヤマ氏の予言とは裏腹に(対立、熱戦、冷戦の)歴史がまだ終焉していない証拠である。
アメリカにとって中ロ同盟の結成は明らかに悪夢である。独裁者プーチンはウクライナに侵攻して、既存の国際秩序に挑戦している。一方の習近平国家主席も憲法を改正して、もともと定められていた任期制を撤廃させ、自らが終身的な国家元首、すなわち、新たな皇帝になろうとしている。

米中の相互信頼関係が崩れてしまった現状において、アメリカ政府は中国をロシア以上の脅威と認識しているようである。ワシントンにある戦略国際問題研究所(CSIS)が行った調査では、三分の二ほどのアメリカ人有識者は米中関係を安定的に維持することは台湾有事を阻止するうえで有効であると答えている。アメリカが避けなければならないのは、ウクライナ戦争が終結する前に、中国が台湾に侵攻することである。

◎米中対立の新展開: 今のところ、習近平政権は硬直的かつ挑戦的な戦狼外交を改める兆しはない。ただし、コロナ禍の後遺症とアメリカをはじめとする先進国の経済制裁により、雇用が悪化し、経済成長が大きく落ち込んでいる。グローバル社会は台湾有事の可能性を懸念しているが、現状では、中国が台湾に侵攻する可能性は高くない。軍上層部では腐敗が横行しており、国防部長(大臣)だった二人の幹部が追放されたばかりである。これは軍に対する統率がうまくいっていない証拠である。

習近平主席にとってプライオリティの高い政策は自らへの求心力を強化することである。経済成長が大きく落ち込むなかで、共産党への求心力が高まるどころか、社会不安が増幅するリスクが高まっている。
対外的にみると、中国はロシアからさらなる経済援助と軍事援助が要請されているが、このままロシアに対する援助を増やすと、欧米諸国はさらに制裁を厳しくする可能性がある。習近平主席が悩むのはロシアや欧米諸国とのバランスをいかに取るかという点である。とくに中国がハイテク技術を欧米諸国に依存する現状において、欧米諸国との関係を安定的に維持することは重要である。

一方のアメリカでは、中国とデカップリングするか、デリスキングするかについて議論が続いているが、簡単にいえば、かつての米ソ冷戦と違って、アメリカにとってゼロチャイナ、すなわち、完全なデカップリングではなくて、ウィズチャイナになるだろう。ウィズチャイナだからこそリスクをきちんと管理する必要がある。
ただし、習近平主席が心配しないといけないのは、トランプ前大統領が当選し、プーチンとのディールが成功した場合、予期せぬ悪夢になってしまうことである。プーチン大統領は演説のなかでアメリカにとっての真の脅威はロシアではなく、中国だと言っている。

結論的に米中露のトライアングルがどのような形で落ち着くかはまだわからないが、アメリカ大統領選をきっかけに駆け引きがますます激化する可能性が高い。習近平主席にとって内憂外患の困った状況が当面続くものと思われる。アメリカの対中戦略がかつての蜜月に戻る可能性は低く、ウクライナ戦争が終結しても、米中対立が続くものと思われる。

最後に、この米中関係の変化による日本への影響について論じたい。日本経済と日本企業にとって中国は重要な市場である。ただし、安全保障は日米同盟に大きく依存している。仮にトランプ前大統領が当選した場合、アメリカの安全保障政策と通商政策は大きく変化する可能性が高い。そこで問われるのは日本の独自の戦略と政策である。
まず、東アジア地域の地政学リスクを管理するために、日米同盟をさらに強固にする必要がある。一方、経済について、ウィズチャイナの戦略を日本独自で打ち出していかなければならない。これは簡単な作業ではないが、習近平政権との対話をレベルアップして、作業を続ける努力が求められている>以上

上記の論で小生が気になった点はいくつかある。「JETROの提案通り、『中国+1』か『中国+α』が望ましいと考えられる」の出典は不明だが、生産・販売において「中国への依存を減らしリスクを回避すべし」ということなら正論だ。それにしても日本国際貿易促進協会(国貿促)や日中友好協会などは「土下座すれば習近平閣下は商売をさせてくださる」という姿勢で、危機意識も日本人としての誇りもない“銭ゲバ守銭奴”のよう。産経によると河野洋平(通称=江(沢民)の傭兵)が日本企業幹部ら90人を引き連れて訪中し、7/1に「人的交流をもっと積極的に」と呼び掛けたそうだが、時代錯誤も甚だしい。つける薬なし。

柯隆氏は「グローバル社会は台湾有事の可能性を懸念しているが、現状では、中国が台湾に侵攻する可能性は高くない。軍上層部では腐敗が横行しており、国防部長(大臣)だった二人の幹部が追放されたばかりである。これは軍に対する統率がうまくいっていない証拠である」と説く。
しかし、習近平の友達のプーチンはウクライナ侵略の真最中でも気に入らない国防省の次官や参謀次長ら幹部を次から次と粛清・追放し、政治&軍事基盤しっかりを固めている。真似っ乞食の習近平も「台湾に侵攻するために非戦的な軍幹部を粛清し、己の命令に忠実な将兵で固めたい」と当然思っているだろう。「台湾に侵攻する可能性は高くなっている」と見るべきではないか。

「東アジア地域の地政学リスクを管理するために、日米同盟をさらに強固にする必要がある。一方、経済について、ウィズチャイナの戦略を日本独自で打ち出していかなければならない。これは簡単な作業ではないが、習近平政権との対話をレベルアップして、作業を続ける努力が求められている」・・・これも随分変な見方だ。対話すれば習近平は日本、台湾、フィリピンなど隣国を侵略しない、と言いたげである。

習は小学5年生あたりから20歳ほどまで毛沢東の文革浸け、「毛主席語録」で育っている。「鉄砲から政権が生まれる」「革命は武力、戦争による政権の奪取、問題の解決である」・・・習は生粋の毛沢東チルドレンであり、建国の父・毛と並び、さらに毛を上回る業績で「発展の父」として歴史に刻まれることを目指しているだろう。「毛を上回る業績」とはインド・太平洋を軍事力で制圧して米国と並ぶ「大中華帝国」を創ることだ。「戦争で勝つ」ということが箔をつけるのである。

習近平・中共の暴発的侵略に備えて多くの国は軍事力強化を進めている。各国の元首が習近平と対話し「平和と安定」を約束したところで「ただの紙切れ」と無視するのが習近平流だ。ヒトラー・ナチスドイツのように不可侵条約から1年ほど経てば平気で侵略を始めるのが独裁者のやり方だ。習とWinWinになったところで首根っこと金玉を握られるだけで「平和と安定」の実効性はゼロだろう。ウィズチャイナで儲けたい、習の奴隷になってもいい・・・その手の人はこんな思いなのだろう。
♪あなたと逢ったその日から 恋の奴隷になりました あなたの膝にからみつく小犬のように だからいつもそばにおいてね 邪魔しないから 悪い時はどうぞぶってね あなた好みの あなた好みの女になりたい(奥村チヨ 「恋の奴隷」)

カネの奴隷・・・銭ゲバ、拝金教徒多過ぎ! 過ぎたるは猶及ばざるが如し、日本を取り戻そう! 柯隆先生も舌鋒を取り戻して習近平・中共殲滅戦へイザッ!(石平氏のように日本国籍を取った方がよろしいのではないですか?)
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習近平・中国は末期症状

2024-07-06 09:00:00 | 戦争
習近平・中国は末期症状
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」307/通算738  2024(令和6)年7/6/土】7/4から猛暑、終日クーラー。今日も33℃の猛暑、モウショウガナイ・・・老兵は死なず、ただ引きこもるのみ。梅雨子は寄り道でもしているのか? 中露北に拉致されたか? 世の中、人間、人生、思うようにはいかないから多動爺の小生はひたすら焦りまくっている。艱難汝を玉にす? 腰の具合は薄氷を踏むが如し。以下はその顛末。

今年は73歳になって終活に目覚め、猪突猛進でビルの営繕に精を出していたが、難作業を終えた5月3日の夕方から腰痛が始まった。どうにも改善しないのでカミサンに連れられて17日に整形外科医院へ。「改善するか歩行困難になるかの瀬戸際」との診断で、薬とリハビリの治療を始め、ガチガチの腰痛用ベルト(日本シグマックス)の効果もあって少しづつ改善していった。
しかし体力の衰えはいかんともし難く、営繕作業は2~3時間が限界で、一仕事終えるとフラフラ、すっかり無理のできない老体になってしまった。「華麗なる加齢」を目指していたのが「ただの加齢による経年劣化」・・・ま、ヨボヨボだが徒歩なら500m、チャリなら2時間ほど動けるだけ幸いだ。

7月3日は西側のとても狭いところに生えてきた細竹を塀に上ってできるだけ切り除草剤を散布した。除草剤を使いたくはないが、タフな竹は2か月ほどで復活するし、体力がないから除草剤にたよらざるを得ない。その作業に続いて駐車場脇の塀にある水道パイプが劣化し始めないように塗装した。やれやれと一息ついたら、カミサンが風呂場の浴槽の経年劣化したゴム製の栓をホームセンターに買いにいくというので小生も劣化した栓を持って同行、何十種類もあったがピッタリのを購入でき、ついでに浴槽を大掃除した。

ちょっとでも元気だと多動爺の血が騒いで無理をしがちになるが、メンテナンスを怠れば築40年の賞味期限切れのビルはあちこちが傷みだして修理費が結構な額になるから頑張るしかない。もっとも営繕は小生の趣味、生き甲斐でもあるから、あまり無理せず1~2日おきとかボチボチやるのがヨサゲである。今度、整形外科医院に行ったときは「おかげさまで随分元気になりました」とお礼を言おう。赤ワインでも贈るか? 受け取ってくれると嬉しいが・・・
・・・・・・・・・・・
人生、世の中、油断大敵だ。産経2024/7/4、石平氏のChina Watch「警戒せよ 第二の『義和団の乱』」から引用するが、小生は「義和団の乱」を反政府(反清朝)運動と記憶していたが違っていた。日本国語大辞典によると――
<義和団事件: 1899~1900年、中国清朝末期におきた反キリスト教的排外運動。義和団が生活に苦しむ農民を集め、清朝の保守派とも結びついて勢力を拡大、各地でキリスト教会や外国人を襲い、ついに北京に侵入して列国大公使館区域を包囲攻撃した。日本を含む8か国の連合軍が出動して鎮圧。その結果、清朝はいっそう激しい外国の圧迫を受け、植民地化に拍車をかけた。義和団の乱、北清事変、団匪事件とも>
結果的に清朝の没落を速めてしまったよう。以下、石平氏の論稿の抜粋。

<6月24日、中国・蘇州市内で、日本人母子が刃物で切り付けられ、負傷する事件が発生した。今のところ、凶行に及んだ犯人の動機などは不明だが、日本人学校のスクールバスを待つ場所で襲撃された状況を見れば、現地の日本人を標的にした計画的な犯行である可能性は否めない。27日、一部メディアが報じたところでは、今年4月には同じ蘇州市内の路上で日本人男性が中国人に切り付けられる事件もあった。蘇州市内で「日本人切り付け事件」が短期間内で2件も起きたとは由々しき事態である。

さらに問題となるのは、事件に対する中国政府の冷ややかな態度である。25日、中国外務省の毛寧報道官は記者からの質問に答える形で事件へのコメントを行った。その中で彼女は「遺憾」と表明したものの、犯行をとがめたり、非難したりすることは一切なく、日本人の被害者に対するお見舞いの言葉もない。毛報道官は「それが偶発的な事件」だと強調し「このような事件は世界のいかなる国でも起こり得る」とも主張した。
自国で起きた外国人襲撃事件に対し、一国の政府がとったこのような態度は冷淡というよりも無責任であろう。「どこの国でも起こり得る偶発的事件だから騒ぐ必要はない」と言わんばかりである。これでは中国政府が事件の再発防止に取り組むことは期待できそうもない。

その一方で、犯行に対する中国政府の生ぬるい態度に鼓舞されたかのように、中国国内のネット上では一時、犯行に対する称賛と支持の声があふれた。「お見事、よくやってくれた!」「やった人は民族の英雄だ!」「これは、国を挙げてお祝いすべきではないのか」「日本人に言う。中国にはお前らに安全な場所は一つもない」と・・・。

これら暴言の一つ一つを見ていると、蘇州での日本人襲撃事件の背後には、より深層的な社会的要因があることに気がつく。長年の反日教育の結果、多くの中国人は日本や日本人に対する極端な憎しみの感情が根強く植え付けられているのだ。
近年の経済崩壊に伴って失業者があふれ、国民に不平不満が高まっている中で、多くの中国人たちの行き場のない憤懣(ふんまん)や怨念はハケ口を求めて「憎むべき」日本人に向かってしまう。反米感情の扇動も習近平政権の国内「宣伝工作」のテーマになっているから、不満の矛先がアメリカ人に向けられることもあろう。実際、先月10日には吉林市でアメリカ人4人が襲撃される事件が起きている。

今から124年前、内憂外患の清国政府は、爆発しそうな民衆の不平不満を政権からそらしていくために、暴民的な排外主義の「義和団運動」を奨励した。その結果、外国人宣教師やビジネスマンなどに対する無差別大量殺害というべき「義和団の乱」(1900年)が各地で広がったのである。

今の中国の政治、経済、社会状況は、清王朝崩壊前のそれと類似している。こうした中で習政権はいずれ、清王朝政府のまねをして、国内危機転嫁のために「第二の義和団運動」を発動する可能性もないわけではない。
前述のような「日本人襲撃称賛」の声が検閲の厳しい中国のネット上でいっときに氾濫していたのも、中国政府がそのときにこうした暴論を容認していたからである。そして、中国共産党政権は今も、義和団の乱を「偉大なる愛国主義運動だ」と高く評価している。

蘇州で立て続けに起きた日本人襲撃事件や吉林市で起きた米国人襲撃事件は、暴民的な「義和団運動」が中国で再び起きる前兆と見るべきかもしれない。中国の日本人やアメリカ人は迫っている危険に警戒しなければならない>以上
・・・・・・・・・
中共は今も義和団の乱を「偉大なる愛国主義運動」と高く評価・・・つまり習近平は気に入らない外国人は現代版「義和団の乱」で叩き潰すと言っているわけだ。調べたら昨年7月から厳しく対処しているという。産経2023/7/22、柯隆・東京財団政策研究所主席研究員へのインタビュー「改正反スパイ法 中国は全て監視 連携し自衛強化」を転載するが、産経によると「改正反スパイ法」とは――
<2014年11月に施行された反スパイ法を初めて改正し、23年7月から施行された。中国におけるスパイ行為の定義を「国家機密」の提供や窃取などから「国家の安全や利益に関わる文書やデータ」などに拡大し、国家機関や重要インフラへのサイバー攻撃なども取り締まり対象とした。15年以降、スパイ行為に関与したなどとして拘束された邦人は17人だが、改正反スパイ法の施行で今後、邦人の拘束や日本企業の摘発が増える懸念もある>とのこと。

また、柯隆(か・りゅう)氏は<1963年生まれ。中国・江蘇省南京市出身。88年来日。名古屋大大学院修了。経済学修士。長銀総合研究所や富士通総研経済研究所を経て、2018年から現職。静岡県立大特任教授も兼務する。専門は中国経済論など。中国経済に関する論文や著書多数>と紹介している。

小生が柯隆氏を知ったのは3年ほど前で、国立研究開発法人・科学技術振興機構の「中国の科学技術の今を伝える Science Portal China」を通じてだった。中共批判が鋭かったので日本国籍の中国人と思っていたが中国籍だった。WIKIによると「1963年、江蘇省南京市生まれ。1986年に金陵科技学院日本語学科を卒業し、1988年に日本に渡る」とある。以下のScience Portal China 2021/2/12の「柯隆が読み解く 中国はハイテク分野で世界をリードできるのか」などは実に舌鋒鋭く、小生は感動したものだった。こんな具合である。

<結論的にいえば、中国産業の実力はまだ世界を凌駕するレベルに達していない。これまで多国籍企業のビジネスモデルや技術を見習って成長してきたが、これからはもっと市場を開放して市場競争のなかでさらに進化しなければならない。基礎研究を強化するなら、オープンイノベーションを含むありとあらゆる政策を実施して推進していく必要がある。仮に鎖国して内向きになった場合、中国企業のさらなる成長は絵に描いた餅になる>

これをインド太平洋制覇を目指している習近平一派が読んだら「国家のカネで学びながら中国をバカにしている、柯隆に行儀を教えろ! 逆らうなら殺せ!」となるだろう。今、柯隆氏は元気だろうか、舌鋒鋭く活躍しているだろうか、と気になった。
長くなったので氏の最新の論稿「米中新冷戦の内実――アメリカ大統領選以降の米中関係の展望」(東京財団政策研究所)は次回に紹介する。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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